HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

魔術的マネーの時代;呪文「g>r」の魔力を検証する

新型コロナウイルスの経済的打撃から立ち上がる方法として、先進諸国が採用しているのが青天井かのように加速される財政支出である。もちろん、日本も同様で5月27日に閣議決定された第2次補正予算は31.9兆円、第1次の25.7兆円と合わせて約58…

ウォール街と実体経済の乖離がひどい;これは米経済の復活を遅らせるだろう

ウォール街の楽観的ムードが、あまりに実体経済と離れていることが、注目されるようになってきた。連日、ニューヨーク株式取引所の株価は上がっているのに、ロックダウンが解除されても、消費や製造の立ち上がる速度が遅いからである。 この問題を早くから指…

黒川検事長の辞任はこれでいいのか;辞めるべきは別の人だろう

なんとも後味の悪い出来事である。黒川検事長はやめることになったのだから、これでよかったとは、とても言えない。そもそも、これまでのルールを自分の都合で破る人間がいて、そのためこの人が居残ることになっていたわけである。本来、やめるべきは、自分…

株価の急伸は回復の兆しか?;いえ、ただのトランポンミクスです

アメリカの株価が続伸して、エコノミストのなかには「もうカラ売りができない」と述べている人もいる。つまり、このまま回復基調に入ってしまうと、暴落を前提として仕掛けるカラ売りでは大損してしまうからだ。しかし、そのいっぽうでアメリカの失業率は2…

ポスト・コロナ社会はどうなる(6)甘い幻想より厳しい現実のほうが確かな根拠になる

安倍晋三政権は大都市以外の緊急事態宣言の解除を進めているが、そのいっぽうで地方都市に新たなクラスターが発生してショックを与えている。米トランプ政権も経済再開を目指して経済支援策を打ち出し、株価はかなり回復したように見えるが、失業は急進して…

ポスト・コロナ社会はどうなる(5)封じ込めの「空気」がオーバーシュートするとき

たとえ悲観論を多く集めても、いくらなんでも長期的に、いまの状態が続くことはないと予測するのが普通である。しかし、早々と新型コロナウイルスの封鎖から脱出したはずの中国経済が、思ったより大きなリバウンドを見せない。いい気味だと感じる人もいるか…

ポスト・コロナ社会はどうなる(4)危機の時代には世界が連携するという神話

今回は世界の経済がどうなっていくかを見てみよう。ポスト・コロナ社会にあっては、当面は貿易が縮小するから、デフレになると予想する人たちは多い。しかし、需要がないために経済が萎縮するわけではない。サプライチェーンが寸断されるから萎縮するのであ…