HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

スウェーデンのコロナ委員会が報告;対策は遅すぎ、そして不十分だった

【追記】いまスウェーデンは、政治的混乱のさなかにある。ロベーン首相の辞任をうけて女性初のアンデション次期首相が選出されたかとおもうと、たった1日で辞任してしまった。さらに与党の社会民主党が政権の座からおりる可能性は高いと報じられている。そ…

米中冷戦は米ソ冷戦よりずっと危険だ;ミアシャイマーが指摘する5つの理由

中国が台湾にいつ侵攻するのかが話題になっていたと思ったら、一足飛びにアメリカと中国の「新冷戦」の行く末について論じる人が増えてきた。国際政治学におけるリアリストのひとりジョン・ミアシャイマーは『フォーリン・アフェアーズ』11月/12月号に…

「新しい資本主義」の本当の現実;パンデミックがもたらす「即時経済」は監視経済だ

新型コロナのパンデミックはいまも世界を蔽っているが、この大混乱が新しい資本主義をもたらしつつあるという議論は、いまのところ期待と希望をもって語られているといってよい。ことにコロナウイルスとの戦いのなかで、データの収集と分析は急激に進歩した…

英国のコロナ感染急増が鎮静化しない;ワクチン3回接種と規制復活で乗り切れるか

英国での新型コロナ感染再拡大については、すでにニュースでも目にしていることだろうが、10月20日には4万9139人の感染者が確認されたから、同国政府の焦りもはなはだしいものがある。先日行われたサジド・ジャヴィド保健相のブリーフィングでは、…

英国のコロナ感染がぶり返したのは新型ウイルス?;さらに感染力のあるデルタ・プラスが登場した

英国では新型コロナの感染が、またしても急拡大して、同国民を不安におとしいれ、政府をあわてさせている。10月18日現在で1日の感染が5万人に近づいており、とくに子供の感染が広がっているという。そのなかで、デルタ株から枝分かれした新しい「デル…

中国の成長4.9%に減速の意味;ばらばらに見える事件は大変動の兆候だ

中国の国家統計局が10月18日に発表した、今年7~9月(第3四半期)のGDP伸び率は実質4.9%だった。これは中国にとって良い数字なのか、それとも悪い数字なのか。6四半期続けてプラスといえば良い話だが、伸び率が明らかに減速していることを見…

中国の極超音速ミサイルの何が脅威か;飛行を把捉できず破壊もできない滑空体

フィナンシャル・タイムズが10月17日朝(日本時間)、中国が核搭載可能な極超音速ミサイルの実験を8月に行っていたと報じて、アメリカを含む世界の軍事関係者にショックを与えている。世界の核兵器の構図が大きく変わる。たとえば、台湾問題にとっても…

習近平は毛沢東になった?;2人の指導者による支配はどこが違うのか

習近平の独裁的支配は、かつての毛沢東による文化大革命に発展してしまうのではないかとの説があることは、すでに紹介した。最近の中国恒大集団の経営危機が、習近平の「共同富裕」に示される、かなりイデオロギー的な傾向の規制から始まったからだ。もちろ…

英国がコロナ対策は最低だったと認める;閉鎖的な「集団思考」が14万人の死者をもたらした

英国の下院にある保健社会福祉委員会と科学技術委員会が『コロナウイルス:現在まで得られた教訓』と名づけたレポートを作成、10月12日、下院が発表した。150ページほどのもので、いかにして英国が「西ヨーロッパで最悪」(ザ・タイムズ紙13日付)…

中国が台湾に侵攻するとき;その条件を海峡危機論争から読み取る

中国の習近平が、10月9日、「台湾統一を必ず実現する」と演説して、台湾およびアメリカなどの台湾支援国を牽制した。これは辛亥革命110年の式典のなかでのことで、必ずしも武力統一を意味したものではないというが、同月7日に台湾の国防部長・邱国正…

習近平のイデオロギー的な独裁政治;それは大躍進か、それとも文化大革命か

経済の論理からいうと、最近の習近平がやっていることには、おかしなことが多すぎる。不動産バブルを抑制するために、デベロッパーへの資金の流れを断ってしまい、恒大集団を破綻に追いやった。そうかと思えば、二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言して、…