HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界を無秩序化するトランプ;ウクライナもガザ地区もその序曲にすぎない

すでにドナルド・トランプは、引き返せないところまで世界を無秩序化してしまった。ウクライナは鉱物資源の供給地にされ、イスラエルのガザ地区は新しい観光地として繁栄することになるらしい。ロシアはいまのところ、トランプの悪だくみの仲間のようだが、…

米国とウクライナが鉱物取引で合意した理由;なぜ安全保障が入っていないのか【増補版】

ウクライナとアメリカは「復興投資基金」を通じて、ウクライナの鉱物資源を共同開発する協定を締結したことはすでに報じられている。しかし、その細部については曖昧なところがあり、とくに安全保障について明示的に述べられていないため、このままではアメ…

イーロン・マスクのDOGEが危機に直面!;職員削減の方法があまりに悪趣味で反発を食らう

イーロン・マスクが繰り広げているDOGEによる政府機関の「改革」が、早くも挫折しかかっている。歳出削減と職員削減を急激に実行しようとしているが、前者については制度的な制約があり、後者についても職員の中から強い反発が生まれ、おそらくは停滞を…

迫られる「メルツの選択」;ドイツは安全保障で欧州をリードできるか

ドイツの次期首相となりそうなCDUのフリードリヒ・メルツが、選挙での勝利の直後に発言したアメリカとトランプ批判は世界を驚かせている。「アメリカはヨーロッパに関心を持っていない」とまで言ったのだ。つまり、トランプはヨーロッパ抜きにプーチンを…

ドイツのこれからを見通す3つの図版;「アメリカからの独立」はどこまで可能か?

ドイツの下院選挙でキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が勝利したが、極右といわれるドイツのための選択(AfD)が大躍進し、これまで政権党だったドイツ社会民主党(SPD)は第3位に転落した。CDUのフリードリヒ・メルツが首相になると思われ…

アメリカは自滅の時代に突入した!;スティーヴン・ウォルト教授が語る「絶望」と「光明」

トランプの暴走はとどまるところを知らない。良識的なアメリカ支持者はいうだろう。あの国には自浄作用があるから、かならず暴走を止めようとする力が働くと。しかし、これまでのところ、そうした自浄作用や拮抗力が働いている兆しはまるでない。それどころ…

トランプがゼレンスキーを「独裁者」と批判;いよいよ明らかになるウクライナ戦争の真実

トランプ米大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼んで批判したことが世界中で報じられている。来るとこまで来たという感じだが、これでウクライナ和平のペースは低下するという説は、かならずしも正しくない。ロシアのプーチン大統領が有…

ロシア経済は停戦後に危機に陥る?;ウクライナ戦争後の経済政策はかえって難しい

ロシアはアメリカとの交渉で、場合によれば、ウクライナ戦争をやめるかもしれない。そうすれば、世界的な経済制裁も終わり、戦場からは労働力が帰って来る。ロシア経済も回復するということになりそうだが、どうもそうではなさそうなのだ。そもそも、ロシア…

トランプが自分のやることはすべて合法だと言い出した;なぜなら彼はナポレオンになったと信じているから

トランプ大統領はいよいよアメリカ初代皇帝に即位するのか。それとも……。トランプはソーシャルメディアへの投稿のなかで、自分をフランス皇帝のナポレオンになぞらえて、自分がやることは何でも、法律違反にはならないという意味のメッセージを流した。いよ…

ゼレンスキーがトランプの資源権利要求を拒否;安全保障の確約がないのにレアアースの利権50%を強要か?

トランプ大統領の命でウクライナを訪れたスコット・ベッセント財務長官が、戦争で荒廃した同国の復興支援の見返りとしてレアアースの権利50%を要求したが、ゼレンスキー大統領はこれをけったと報じられている。もともと、ゼレンスキーが大統領選挙前のト…

イーロン・マスクのDOGEは失敗する?;英雄的な支出削減ができない大きな理由

世界一の大富豪イーロン・マスクが、トランプ政権の政府効率化省(DOGE)のリーダーになって、毎日、派手なパフォーマンスを繰り広げながら、財政支出を削減していることは世界的に知られている。しかし、世界一のビジネスマンを続けながらの忙しさなか…

トランプ大統領、ウクライナ和平を実現か?;プーチン大統領との電話会談の真実

トランプ大統領がプーチン大統領との電話会談でウクライナ和平に向けて大きく舵を切ったとの印象を与える発言を行い、世界中で朗報として報じられた。しかし、その詳細が分かってくるにつれて、それはまだ可能性の段階であり、いまのところトランプとプーチ…

日米首脳会談の設計者は誰だったのか;林芳正官房長官とそのチームとの説が浮上している

日米首脳会談については、さまざまな評価があるが、ざっといって思ったよりも穏やかに終わったという印象が強い。もちろん、第一回目の石破・トランプ会談が終わっただけで、問題がすべて解決したわけではけっしてない。これからの経緯を見守っていかなけれ…

オンライン詐欺が世界で急拡大している;数カ月かけて信頼させ最後の1滴まで搾り取る

世界中にインターネットを利用した詐欺が蔓延している。それも組織的なもので、司令塔となっている本部は、新興国の政府を動かすほどの資金力をもっているといわれる。日本でもアジアの新興国に本部のある犯罪組織に使嗾されて、強盗殺人を犯す若者たちが登…

石破・トランプ会談の内実を読む;日本製鉄の「買収」が「投資」に変わった本当の理由

石破・トランプ会談の評価については、まだ詳細が不明なので控えるが、世界の報道からどのように受け止められたかについて見ることはできる。これもまた、かなりのばらつきがあるのだ。日本のSNSなどでは石破首相は、トランプに押しまくられ惨めなことになる…

アメリカは友好国を失い孤立する;スティーヴン・ウォルト教授が予言する「世界の大転換」

トランプ大統領は就任以来、つぎつぎと新しい政策を打ち出して、世界を混乱に陥れている。なかには大胆さに快哉を叫んでいる日本人もいるようだが、トランプが打ち出す強圧的な行動が仮想世界の出来事でない限り、そうした人にも悪影響は及んでくるだろう。…

アメリカを炎上させるトランプの関税戦略;このままでは世界勢力の再編が始まる

トランプ政権のやりかたが、だんだん明らかになってきた。25%の関税を課すといっていたメキシコに1カ月の猶予を与えると言い出したが、これが彼のいう「ディール(取引)」というものらしい。脅しつけて、それから交渉を始めるという、昔ながらのならず…