HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

EUがトランプのゴリ押しに屈服;関税は15%で対米投資6000億ドルはやっぱり不当だ

アメリカとEUとのあいだで関税をめぐる合意が成立した。EUの関係者たちが、15%との数値をみて日本と同じだと思い、日本の政府やマスコミと同じように安堵しているのだろうと思ったら間違う。EUはかなりのきわどい報復措置を掲げて交渉し、結局、予想さ…

中国の核兵器急拡大が世界の核戦略を変える(1)アメリカが求められる決断とは何か?

中国の核戦略が大きく変わったことで、いま世界の核戦略全体が大きく変わろうとしている。中国は核攻撃を受けたときに反撃することを前提とした核武装だったが、習近平時代に入ってから急速に核戦力を拡大しつづけ、すでに核弾頭の数が600に達し、203…

日米の貿易協定が妥結で本当にいいのか?;10%下がって喜ぶ日本の政府と財界はどうかしている

日本とアメリカの貿易協定は相互関税を15%に設定することで、いちおうの決着をみたようだ。日本のマスコミも財界も安堵している気配だが、しかし、これはアメリカの一方的な押し付けによって生まれた関税であって、交渉によって25%を15%に下げたこ…

エプスタイン事件が照らし出すトランプの恥部;口先だけで操作してきた「MAGA運動」の黄昏

陰謀説がこの世を動かしてしまうのは、必ずしも「ポスト・トゥルース(真実なき時代)」が指摘されてからではない。たとえばワクチンについての非科学的な説が、接種しておけば死ななかった多くの人たちを殺す悲劇は、コロナワクチンについての陰謀説が流布…

トランプ経済を乗り切る(3)ドナルド・トランプの思想的源流をさぐる

ほとんど思いつき次第のようなトランプ大統領の経済政策だが、その思想的水脈をたどる試みがいくつも行われている。トランプ経済についての思想的アプローチなど、無意味だと思う人も多いかもしれない。しかし、政治家が採用した経済政策には、そのブレーン…

迅速な社風の企業は私生活を犠牲にさせる?;在宅勤務とオフィス勤務の論争から出てきた新しく古い論点

在宅勤務は経済にとって益なのか害なのか。あるいは、在宅勤務は企業と従業員にとって得なのか損なのか。いまも世界中で議論が続いている。日本の場合、働くというのは組織でという考え方が強いので、在宅勤務はハイテクの企業の一部では評価が高いものの、…

イランのミサイルはイスラエルの軍事施設5つを直撃していた;いま注目すべきイランのミサイル増産能力

イランのイスラエルに対するミサイル攻撃は、完全に失敗したわけではなく、約16%がイスラエル内に着弾していたという報道が行われている。英紙ザ・テレグラフの記事は、数値を含めてかなり具体的な事実を並べている。もちろん、イスラエル当局はコメント…

世界的コンサル会社BCGがガザ住民排除計画を担当?;トランプの「中東のリビエラ」に群がるハエになったか

いまもイスラエル軍によるガザ地区への攻撃が続いているが、その政治的および戦略的意味がますます不明になり、嗜虐性と民族浄化の意図だけが顕著になっている。そのなかで、イスラエルやアメリカが支援する「ガザ人道財団」が設立されたが、背後にはガザ地…

イランのフォルドゥ核施設に同国の調査隊;濃縮ウランの行方と核施設の再開はどうなる?

トランプ大統領が「完全に破壊した」と主張する、イランのフォルドゥ核施設に爆撃後、調査のためとみられるイランの車両が訪れていると報道された。訪れるために新しい道路も作られているようで、この核施設はそれほど破壊されていないとの説を裏付けるもの…

トランプの半グレ的取引は続く;「日本は深刻な米不足なのに、アメリカ米を買わない」と脅しを入れてきた

トランプ政権は関税政策をめぐって、ほとんど化け物屋敷のようになりつつある。ちょっと先に歩いていくと、突然、別の化け物が現れて脅かしてくれる。また、先にいくとさらに別の化け物が飛び出してくるのだ。これでは超大国の経済政策などとは言えないのだ…