HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

ウクライナ戦争

ロシア軍もまた戦いから必死に学んでいる;ウクライナ軍の反転攻勢が停滞した大きな理由

ロシア軍もウクライナでの戦いから学んでいるという、当然のことが報道されなかった。いまになってようやく、その肝心なことが欧米の新聞に載るようになってきた。ウクライナ軍が反転攻勢で成功しない理由は、兵士が臆病だとか西側諸国の支援が少ないとかで…

ウクライナをめぐる米共和党の分裂:「私は彼に問いただしたい」発言の衝撃

ウクライナのゼレンスキー大統領が国連で演説したが、空席が目立っていてとても好評だったとは言えない。安保理の出席首脳はアメリカのバイデン大統領1人だけという異常事態で国連批判が加速しているが、それよりもウクライナをめぐる雰囲気が大きく変わっ…

ウクライナの反転攻勢を邪魔しているのは誰か?;ウクライナ軍の戦術をめぐる論争のゆくえ

ウクライナの反転攻勢から3カ月余が過ぎたが、めぼしい成果が得られないまま、これからしばらくは停滞する。数十日後には冬に入り、天候が悪化して戦場はぬかるみと化すからだ。米英のシンクタンクを中心に、なぜウクライナ軍が反転攻勢の目的を達せられない…

ロシア軍も「改善」を続けている;ウクライナ軍の反転攻勢が停滞したのは武器の不足だけではない

ロシア軍における旧態依然の戦い方は、ウクライナ戦争でも変わっていないと指摘されてきた。しかし、ウクライナ軍が反転攻勢を始めると、何かが違うと感じられるようになった。反転攻勢の停滞は西側諸国の支援が遅いからだとか、守りより攻めが難しいからだ…

ウクライナ国防相が解任された本当の理由;反転攻勢に転換を迫った西側諸国

ウクライナの国防相が解任された。汚職がらみの混乱と報じるメディアもあるが、反転攻勢の真っ最中とあって、動揺が広がっている。この事態の内実を知るには、数日前のコロモイスキーの拘留についても思い出すべきだろう。ウクライナを支援する西側諸国は、…

ウクライナがロシアの防衛線を突破した?;その規模はどれほどか、そして戦略的意味は何か

ウクライナ軍がロシアの防衛線を突破したというニュースが世界を駆け回っている。沈滞ムードが漂っていると報道されていたウクライナ軍が、反転攻勢で新しい段階に入り米国は「顕著な前進」とすら評価しているという。これまで何度も報道された「突破」だが…

プーチンはクレムリンのゴッドファーザーか?;マフィア国家にしてしまったロシア体制移行期の失敗

プリゴジンの墜落死が、プーチンによる「処刑」であった事実がほぼ明らかになったことで、改めてプーチン体制の本質とウクライナ戦争の行く末がさかんに論じられている。多くの欧米のジャーナリズムがロシアを「マフィア」に、プーチンを「ゴッドファーザー…

ついにプリゴジンが殺害された;なぜ今なのか、そして影響はどうか

プリゴジンが殺害された。もちろん、ロシア当局は事故であるかのように発表すると思われるが、これはモスクワ行進といわれた反乱への報復であり、見せしめだと考えて間違いない。旧ソ連時代はもちろんのこと、ロシアになってからも、権力への反逆者は何らか…

ロシアは通貨ルーブルが下落しても平気な理由;この軍事大国にとってウクライナ戦争は総力戦ではない

ロシアの通貨ルーブルが下落して、いよいよ戦争継続は困難かと思わせたが、他の指標がそれほど悪くならない。戦時ロシア経済の粘り強さは、何から生まれるのか。データを見ながら根本からしっかり考え直してみよう。そこには、この軍事大国の戦争の驚くべき…

世論調査が浮き彫りにしたウクライナの試練;アメリカ人の過半数が今以上の支援に反対している

アメリカのウクライナ支援について、CNNが世論調査したところ、約55%が今後の支援を続けるための基金に反対していることが分かった。すぐにホワイトハウスが支援を訴える声明を発表したが、民主党と共和党のイデオロギー的対立を超えて、全体でも懐疑…

クリミア橋が再びウクライナに破壊される!;ロシアにとっての実質的および象徴的意味を考える

クリミア橋が再び攻撃され、かなりの損害が出たと報道されている。ロシアにとってクリミア半島とロシアをむすぶ唯一の橋といわれ、その破壊の度合いによっては、これからの戦局に大きな影響を生み出すと思われる。ロシアとしては、なぜ2度目の攻撃が阻止で…

プリゴジンのソーシャル・メディア帝国;なぜレストラン経営者が軍事ビジネスを支配できたか

反乱の直後は、ロシアを救う英雄のように称賛されたプリゴジンは、いまや行方知れずとなった。私邸に捜査の手がおよび、変装写真や膨大な資産が暴露されつつある。なかでも彼が支配していたソーシャル・メディアの規模は予想よりもかなり大きく、あれほどロ…

ゼレンスキーはNATOから何を得たのか;ウクライナ戦争の実像が浮かび上がる瞬間

はたしてウクライナはNATOから望むものを手に入れたのか。7月12日に閉会したNATO首脳会議に出席したゼレンスキー大統領は、「領土とNATO加盟を交換する気はない」と語っている。今後、NATOへの依存が大きくなればなるほど、ロシアによる…

ウクライナはなぜロシアを一気に放逐しないのか;プリゴジンの乱で明らかになった肝心な事

プリゴジンの反乱によってロシアの脆弱な状況が露呈したと、メディアは毎日のように報じている。しかし、それならば、なぜウクライナは一気に攻勢をかけてロシア軍を放逐してしまわないのだろうか。この謎に迫るには、まず、プリゴジンの反乱とはどれほどの…

プーチンとプリゴジンは双子の兄弟だった;ただし兄は大統領になり弟はいかがわしい商売人だった

反乱は失敗したものの、悪辣なプーチンに逆らったとして、プリゴジンを英雄視する者が増えている。しかし、間違ってならないのは、彼は大量の若者の血を叩き売って這い上がった人物だという事実である。ワグネルにしても最初は民間軍事会社で報道していたが…

プリゴジン以後のプーチンの運命;戦争継続どころか政権も危うい?

ロシアの傭兵隊長プリゴジンの反乱は、軍事組織内の対立を白日の下にさらしただけではなかった。ほかでもない、プーチン大統領による内政の手法のほころびも暴露してしまった。プーチンが直面しているのは、ウクライナによる反転攻勢の激化だけではなく、国…

ワグネルの反乱はプリゴジンの亡命で決着なのか;ロシアの内乱はウクライナ和平を遠ざける

ロシアの傭兵隊ワグネルの反乱は、創始者プリゴジンのベラルーシによる受け入れ、反乱軍への罪は問わない、反乱に参加しなかった隊員は正規軍に繰り入れるとの、一見、ずいぶんと寛容な線で落着しているように見える。しかし、プリゴジンがなぜここまで抵抗…

プリゴジンはついにお払い箱になった?;彼がここまでやれた権力と根性の秘密

ロシアの傭兵隊ワグネルの創始者プリゴジンが排除されようとしている。プーチンは他の民兵組織を含めて、ショイグ国防相の指揮下に入れる方針を決めた。いよいよウクライナの反転攻勢が始まるなかで、ロシア軍組織を強化する意図があると思われる。プリゴジ…

ウクライナの反転攻勢は失敗したのか?;オーストリアの戦略専門家が分析する

満を持して反転攻勢をかけたウクライナ軍だったが、大きな成果が上がったようには見えない。それは予期されたことだったのだろうか? オーストリア軍のマルクス・ライスナー大佐は、独紙フランクフルター・アルゲマイネのインタビューに答えて、反転攻勢の緒…

ついにウクライナの反転攻勢が本格化した;ドイツ製戦車レオパルトが前線に姿をあらわす

ウクライナの反転攻勢はすでに開始されている。ドイツが供与した戦車レオパルトも、前線に登場したと報じられた。非公式ながらウクライナの兵士は同国の南東部の前線で反転攻勢に入っていると認めている。いっぽう、ロシア軍高官はザポリージャの戦線で西側…

ウクライナの今回の攻勢は何だったのか;精鋭部隊を含まない陽動作戦だが本番は間近だ

ウクライナ軍が反転攻勢を開始したとのニュースは世界を駆け巡った。ところが、肝心のウクライナ政府はそれを否定している。しかし、ドネツクでのロシア軍との衝突は間違いなくあった。何が始まって何が始まっていないのか。例によって両軍の情報戦は激しく…

衛星データから読むウクライナ決断の時期;激しい温度上昇は大規模反攻の前触れだ

ウクライナ軍の大規模反攻が何時何処で始まるのか。いまや世界中の注目が集まっている。それは宇宙から衛星で見ていれば、本当は分かっているのではないかと思うのは自然で、実際にサテライト・データによるAI分析が雑誌にも載っている。しかし、そこには…

ゼレンスキーがG7で得た武器とプレッシャー;そして大規模反攻を迎え撃つプーチンの策とは

ゼレンスキー大統領の広島訪問は、原爆に反対するためや、岸田総理大臣に会うためではなく、G7の支援を取り付けているとの演出を世界的に行うためだった。たしかにそれは達成されたかもしれないが、その分、あらたな重い問題がゼレンスキーの頭上にのしかか…

「素顔」のないプリゴジンの正体;傭兵隊ワグネルの創始者は何者か?

バフムトでのウクライナ軍反撃が続くなかで、傭兵隊ワグネルの創始者プリゴジンについての報道が際立ってきた。彼はウクライナ軍とも取引をしているとか、いや、それは彼を失脚させるためのプロパガンダとか、プリゴジンはもう捨て鉢になっているとかの「報…

ウクライナのロシア軍4機撃墜で「本当の戦争」に突入!;次の攻撃はザボリージャかクリミアか

ウクライナとロシアとの間で「本当の戦争」が始まった。ロシア国内でウクライナ勢力と思われる部隊の攻撃により、4機のロシア軍機が撃墜された。これまでウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナ領土内での防衛」を主張していたが、かなりの確率でこ…

バフムトでのウクライナの反撃は大規模反攻の狼煙なのか;「戦場の霧」の中でさらに過熱する情報戦

ウクライナはすでに大規模反攻に踏み切ったとの情報が流れている。ウクライナ東部のバフムトで小規模ながら奪還を達成しているからだ。もちろん、「戦場の霧」はきわめて濃いので不明な点は多いが、バフムトの反撃が大規模反攻そのものではないとしても、陽…

ロシア民間軍事会社ワグネルがバフムトを攻略か?;現代の傭兵隊長プリゴジンに翻弄される両軍

やれやれまたかというのが、ロシア国防相たちの思いだろう。ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジンは、激戦地バフムトで再び攻撃を開始したらしい。5月10日にはバフムトから撤退すると言っていたのに、ショイグ国防相が「必要な武器弾薬を送る」…

ウクライナがドローンでクレムリンを直撃!;ロシアはプーチン暗殺の企てと非難している

クレムリンがドローンによる攻撃を受けたとの報道が1時間ほどまえからネット上に流れている。いまのところ明確ではないが、ロシア側の発表によれば、このドローン攻撃はプーチン大統領を狙ったものだったが、プーチンは無事でその他の損害もたいしたことは…

「平和勢力」を演じる中国の習近平;バイデンの硬直した姿勢では出し抜かれてしまう

ウクライナが大規模な反撃で成功したらどうするか。実は、これが世界の喫緊の問題となりつつある。そしていま、その大きな役割を担いそうなのが中国なのである。それは好ましいか否かは別として、アメリカがいまのような状態でいるかぎり、平和を復活させた…

ウクライナがセヴァストポリ軍港の急襲成功!;いつ、どこで、大攻勢が始まるのか

ウクライナ軍のドローンによるセヴァストポリ軍港攻撃が成功した模様で、ウクライナ側の関係者によれば10棟以上の燃料庫を破壊し、約4万トンの燃料を炎上させたという。ロシアの黒海艦隊は大打撃を受けたわけで、クリミアへの大反攻がやりやすくなったと…