ウクライナ戦争
ウクライナ軍は7月4日、同国東部のリシチャンスクがロシア軍に制圧されたと認めた。ロシア政府はすでに3日に、東部ルハンシク州全域を掌握したと発表していたので、ウクライナ側は認めたくない事実を認めたという形になった。もちろん、ゼレンスキー大統…
ロシア軍の侵攻後、ウクライナの経済はどのような状態にあるのだろうか。世界銀行の推計によると前年比で45%縮小しており、IMFとウクライナ中央銀行の調査では侵攻前との比較でGDPの3分の1が失われたとされている。他にも様々な推計が行われてい…
いまウクライナ戦争の主戦場となっているドンバス地方は、今回のロシアによる侵攻が始まる以前から「戦闘」が続いてきた地域だった。ここには親ロシア派の分離独立派がいると同時に、それに対抗する武装した国粋的団体が存在していて、すでに7年にわたって…
バイデン米大統領は、6月10日、侵攻前にゼレンスキー大統領にロシア侵攻を警告したが、彼は「聞く耳を持たなかった」と非難した。さんざん武器を供与して戦わせておきながら、いまさら梯子を外す気かと思ったが、それはさすがになかった。しかし、ウクラ…
ウクライナ戦争は第3次世界大戦になりつつあると論じる人もいる。ウクライナの背後にはアメリカがいて、ロシアの背後には中国が控えているから、新冷戦といってよいという指摘もある。第3次大戦はともかくとして、すでに新冷戦あるいは第2次冷戦の様相を…
プーチン大統領が、今回のウクライナ侵攻の直前、すでにロシアは核戦争すら辞さないという姿勢を見せた。それに対して世界は「単なる脅し」と捉えて、ウクライナ侵攻もあり得ないと受け止めた。しかし、プーチンは多くの誤算があったものの、ウクライナ侵攻…
アメリカはウクライナに長距離ロケットシステムの供与を決定した。少し前にはバイデン大統領が「供与しない」と明言していたのに、この急激な政策変更はどうしたことだろう。そして、こうしたアメリカによるひたすらなウクライナの軍事力強化は、これまでの…
ロシアが一方的に対ナチ戦勝記念日に自軍の勝利を称賛するなか、民間人の脱出・退避が完了したとされるマリウポリで、戦闘を続けてきたアゾフ大隊の将校の中から、自国のキーウ政府に対する不満の声が上がっている。称賛されてきたアゾフスタル防衛戦のなか…
ロシアの旗艦モスクワが撃沈された事件については、いまも議論がつきない。あまりにも意外な出来事だったからだ。とくにアメリカの関与については不明な点が多かったが、いまや関与は当然視されており、むしろどのように関与したのかが論じられている。5月…
ロシア軍は首都キーウを攻略できず、こんどはウクライナ東部に戦線を移して、新たに戦闘を繰り広げている。しかし、こちらの戦場ならばロシア軍が勝てるという保証は何もない。それどころか、キーウ攻略の失敗や黒海の旗艦モスクワが撃沈された反省が、いま…
プーチン大統領はウクライナ東部での戦いに勝てなければ、核兵器を使うだろうとの憂慮が生まれている。こんどのドンバス地方を舞台にした戦闘においては、ロシア軍の有利な戦術が使えるとの指摘もあるいっぽう、ロシア兵の士気が低く、武器も旧式が多く、作…
ロシアがウクライナの首都キーウの攻略をいったんあきらめて、東部のドンバス攻略に集中するというニュースは、すでに世界中に行き渡っている。では、そこではどのような戦争が行われるのだろうか。また、なぜ、ロシアはドンバスならば有利な戦争ができると…
ロシアの旗艦モスクワがウクライナのミサイルで、あっけなく沈没した事件については、ウクライナ軍の健闘ぶりを示すひとつとして讃えられている。逆にロシアのだらしなさの一例となって、プーチン体制の脆弱さをあらわすものとされている。しかし、この事態…
ロシアの旗艦モスクワがウクライナの対艦ミサイルの攻撃をうけて沈没したことは、アメリカの偵察機がかなり早い時点で確認していたのではないか。ウクライナのオデーサ市長が最初にその事実を発表するという奇妙な事態も、世界の多くのメディアがロシアが沈…
中国の今年第1四半期(1~3月)は、GDP伸び率は実質で4.8%と発表された。ウォールストリート紙の予想が4.6%、日経が4.3%だったので、かなりよい数字だとして受け止められているようだ。しかし、その内実はインフラへの投資が支えていて、…
ウクライナで戦争が起こると、はるか離れたスリランカで、食料がさらに高騰してデモが頻発する。これはいまの世界で別に珍しい現象ではない。では、それがどの程度のものになるのか。いまのところ分かっているデータをもとに、みてみよう。 英経済誌ジ・エコ…
ロシア軍のウクライナ侵攻が現実のものとなったとき、台湾海峡についての関心が高まったのは当然のことだった。あれだけ中国が「ひとつの中国」を強調してきただけでなく、アメリカで試みられた各種の中国による台湾侵攻シミュレーションが、中国の勝利を示…
3月29日の午後から、ウクライナとロシアの4回目の停戦交渉が、トルコのイスタンブールで始まった。最新のニュースではウクライナ側は「中立化」を受け入れてNATOへの参加をあきらめ、ロシア側はウクライナの「非ナチ化」「非軍事化」は要求しないと…
3月22日、ロシアのペスコフ大統領報道官が、核兵器の使用を否定しなかったとの報道が世界を駆け巡った。CNNのインタビューに答えたもので、「ロシアが存立の危機に直面した場合、核兵器の使用を否定しない」との発言だったが、ウクライナ戦争が膠着状…
ウクライナとロシアの停戦交渉はなぜ進展しないのか。もちろん、そこにはプーチンが戦争遂行の野望をもち、ゼレンスキーに抗戦継続の意志があるからだが、さらに、いまや流動的な戦争の状況そのものが、それぞれの交渉条件となってしまったからだ。「戦争も…
なぜロシア軍はウクライナのキエフを攻略できないまま、戦車を渋滞させているのだろうか。もちろん、その理由はいろいろ論じられているが、有力な説が「兵站(補給線)」の問題と、「軍事テクノロジー」の問題だ。しかし、そんなことは侵攻を決断する前に分…
アメリカの国際政治学者ジョン・ミアシャイマーがジ・エコノミスト3月11日号にエッセイを寄稿した。このエッセイの結論から紹介しておこう。「プーチンは確かにロシア軍の実力を見誤り、ウクライナの抗戦を甘く見たかもしれない。しかし、追い詰められた…
ウクライナとロシアの外相会談は3月10日に開かれたが、「見解の相違は大きく、進展はなかった」と報じられている。何も決まらなかったが、何も話さなかったわけではない。ウクライナのクレバ外相は世界的な安全保障のもとでのウクライナの「中立化」を提…
ウクライナとロシアの第3回目の交渉も進展がなかった。そのいっぽうでウクライナのゼレンスキー大統領を亡命させる計画が進んでいる。しかし、ゼレンスキーは「私はキエフにとどまる」とビデオメッセージでウクライナ国民に宣言しているため、欧米による救…
2022年2月24日は世界史にとって、決定的な転機の日だったとフランシス・フクヤマは述べている。プーチンのロシア軍がウクライナに侵攻することによって、「歴史の終わり」だった1991年以来続いてきたリベラルな世界が終わり、「プーチンの世界」…
世界はウクライナ情勢に引き付けられているが、同時に中国にも目を向けなくてはならない。少し前まで、習近平主席は今年秋の中国共産党大会で、盛大な拍手のなかで異例の第3期目の党総書記に就任するはずだった。しかし、いまや3つの失態が彼に大きな影を…
ウクライナ戦争の勃発はアジアにおける領土問題に大きな影響をもたらす。それは間違いないことだ。ところが、奇妙なことにウクライナと台湾は「違う」と主張して、ウクライナと比較して台湾有事について考えるのは危険だとか、あるいは10年早いとか述べて…