HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

習近平

欧米による停戦提案に立場を失うゼレンスキー;しかし世界はそれだけで済みそうにない

ウクライナ戦争は急速に世界の中心的トピックから外されつつある。もちろん、これはイスラエル・ハマス戦争に資源を回したい欧米の都合だが、ゼレンスキーの焦りは大きい。すでに欧米はウクライナ停戦を画策しており、来年の大統領選挙を行うようにゼレンス…

中国は「日本の罠」を回避できるか;大規模な試行錯誤と長い時間が必要となる

中国の不動産バブルが崩壊して、いまやどうすれば日本の「失われた20年」の轍を踏まないで済ませられるかが議論の中心になってきた。中国の場合は日本のバブル崩壊に似ているだけではない。規模がずっと大きいのだ。中国政府がこれから採用する回復策しだ…

中国の国防相は失脚して取り調べ中だ;李尚福をめぐる混乱の根本的問題に迫る

中国の国防相だった李尚福の更迭あるいは失脚が確実になりつつある。アメリカの高官および情報関係者は、李が取り調べを受けていると見ている。これも不動産バブル崩壊によって生まれた混乱が関係していると思われるが、もちろん、それがそのまま習近平体制…

こんどは中国の国防大臣が姿を消した;経済が急速に低迷する中で断行される腐敗摘発

中国の高官がまた姿を消した。この間は外務大臣だったが、こんどは国防大臣である。もちろん、前回同様、どこに行ったかは政府によって発表されていない。しかし、次から次へと要職にある高官が消える事件が続くということは、政府による単なる締め付けだけ…

中国経済はもう世界最大にはなれない;日本の「失われた20年」の二の舞になる危険は大きい

中国はこれからどうなるのか。世界のなかの日本を考えるさいに、アメリカの動向と並んで最大の関心事である。中国経済の破綻を見て、この国は解体すると論じる人がいるいっぽうで、住宅価格も下げ止まったので再び繁栄が戻ってくるとの報道もある。では、中…

中国経済を破綻させたシャドーバンキングの威力;巨大なバブルを膨らませ破裂させたもの

中国の不動産バブルは、ついに金融・投資家の破綻に及んだ。とくに、バブルの元凶とされるシャドー・バンキングの崩壊が続いている。いわゆる「信託」と呼ばれる投資会社は、経営の不透明さで知られてきたが、破綻してみれば予想以上の悲惨さである。その投…

世界の金融機関が予測する中国の成長率;もっと刺激策を打ち出さないとさらに落ち込む!

中国経済の低迷は確実となってきた。中国に甘い日本の経済ジャーナリズムも、しぶしぶとそのことを認めている。政府目標のGDP伸び率5%は無理で、場合によれば4.5%で終わる可能性すらでてきた。もちろん、中国政府が団体旅行を許可したからといって…

中国の外相が失脚した原因は何か;秦剛と王毅との暗闘を推理する

中国の元外務大臣・秦剛が行方不明になってから1カ月を超えた。外務大臣には政治局員に出世していた王毅が復帰したが、今回の混乱については憶測や噂が絶えない。それはもちろん事件の異常さにもよるが、米中の緊張が高まると同時に、ウクライナ戦争も微妙…

中国経済が勢いを失っている;コロナ対策失敗のツケが大きく回ってきた

中国経済の第2四半期は予想どおり思わしくなかった。奇跡的な復活を煽っていたビジネス誌もあったが、無理やりコロナ政策を変更して150万人ともいわれる死者を出し、それでも経済が順調に成長したら、それこそ世界中の人間の努力をあざ笑うものになって…

「平和勢力」を演じる中国の習近平;バイデンの硬直した姿勢では出し抜かれてしまう

ウクライナが大規模な反撃で成功したらどうするか。実は、これが世界の喫緊の問題となりつつある。そしていま、その大きな役割を担いそうなのが中国なのである。それは好ましいか否かは別として、アメリカがいまのような状態でいるかぎり、平和を復活させた…

習近平はゼレンスキーに和平交渉をすすめた;中国・ウクライナ首脳電話会談の真実

4月26日に行われたウクライナのゼレンスキー大統領と中国の習近平主席の電話会談は、習近平が「ロシアとの交渉」を勧めて、それをゼレンスキーが蹴ったものだった。ゼレンスキーが習近平に「中国がロシアを支援すればするだけ平和は遠ざかる」と教え諭し…

中国は実はロシアを弱体化したい?;ウクライナ外相が指摘する中露外交の本質

中国の習近平主席がロシアのプーチン大統領と会談したと思ったら、こんどは習にウクライナからゼレンスキー大統領との会談の誘いがあった。ウクライナをめぐる世界の外交は複雑怪奇といってもよい。ウクライナのドミトロ・クレーバ外相が、こうした複雑で冷…

米中が台湾をめぐって戦うとどうなる?;すでに具体的な訓練も始まっている

中国の習近平国家主席は台湾問題について述べ、外部勢力の干渉に言及してアメリカを批判した。それはポーズだけだと思ったらまちがいだ。すでに中国もアメリカも台湾問題で、戦闘状態に入ったさいの準備を着々と続けている。それはシミュレーションだけでな…

世界は本当の感染者数と死者数を知りたい;誰よりも知りたいのは中国人民だろう

中国のコロナ禍はピークより感染者と死者が約98%減ったと中国政府が発表した。嘘ではないだろう、ただし同国の統計に従う限り。しかし、中国の人民と世界の人びとは、この発表を信用する者はほとんどいない。世界は本当のことを知りたいと思っているが、…

春節以降の中国のコロナ禍はどうなる?;政策を変えてもウイルスは消えない

今年の1月22日は、中国の正月「春節」にあたる。習近平はゼロコロナを放棄してからコロナ感染を事実上放置し、春節の人民大量移動もなすがままにした。その結果は悲惨なものになると思われる。この数年の移動制限の反動もあり、今年の春節は例年以上の人…

中国はついにmRNA型ワクチンを手にした?;事実なら多くの国民の命が救われる

習近平はついにメッセンジャーRNA型ワクチンを手にした。これでゼロコロナで大失敗を繰り返していた中国のコロナ対策も、なんとか正常に戻る? まだ情報が少ないが新型ワクチンを手にしたのは本当らしい。しかし、それが中国人民の多くの命を救うには、こ…

中国の感染爆発はこれからどうなる?;ネット上のサーチが示す悲惨な近未来

中国の感染爆発について、もう少し細かい部分をデータで見てみよう。ネット上のサーチエンジンから明らかになった近未来はかなりネガティブだ。そのいっぽうで中国政府は、海外からの渡航を奨励し、また、海外への渡航も加速しようとしている。「経済を回す…

中国のコロナ感染者はすでに2億5000万人に!;この巨大な波に対して日本はどうするのか

中国のコロナ感染者が2億5000万人に達したらしい。これは中国人口の約18%に相当し、12月に入ってから20日間での数値だという。ゼロコロナから転じて、ほとんど放置したような中国政府のやり方は、コロナ政策の体をなしていない。すでに海外から…

中国の急激なゼロコロナ撤廃は自殺行為だ;反省もなく準備もない危機への突入

中国が行っているゼロコロナ政策の「撤廃」に対して深刻な憂慮が生まれている。それがあまりにも急速で、しかも準備なしで断行されているからだ。国民への忍従の強制を緩和することは好ましいとしても、それがコロナ禍の爆発を伴っているのでは、社会的およ…

習近平が直面しているジレンマ;中国のコロナ制圧と経済回復を両立させる方法はない

このままいけば、1日に4500万人の感染もありうるとのシミュレーションが発表されている。中国のゼロコロナ政策の失敗は、ここまで来てしまった。さまざまな説が飛び交っているが、その内実を知れば知るほど、習近平はいま深刻なジレンマに直面している…

上海で警察隊とデモ隊が衝突!;ウルムチとゼロコロナを批判、習近平退陣の連呼も【増補】

上海のウルムチ通りでは、11月26日の深夜から翌日の未明にかけて、抗議のデモ隊と警察隊が衝突した。ロックダウンが続いていた新疆ウルムチ自治区で、同月24日に発生した火事で10人が死亡する事件が起こっていた。上海でのデモはウルムチでの大規模…

「部屋には大人がいなくなった」;習近平を制止する者が誰もいない中国の恐怖

中国共産党大会での習近平による独裁体制確立の余波はいまもやまない。なかでも世界の金融市場に与えた影響は大きい。中国企業の株は軒並み下落して、投資家たちを震え上がらせている。投資家たちは「これほどの転換は予想していなかった」というのだが、こ…

習近平の独裁体制確立で株価は下落;日本についても5年後、10年後を考える時だ

中国共産党大会第20回が終わって初めての平日、西側にある証券取引所では中国企業や関連株が下落した。これは習近平が第3期目を独裁的な体制で始めたことに対する、市場の反応だといわれる。つまり、かつてのように中国は、西側の世界の有力な協力者では…

胡錦涛が党大会で排除された理由;習近平はどこまで「たくらんで」いたのか

中国共産党第20回大会は、閉会式に前国家主席の胡錦涛が、職員に腕を掴まれて退場する光景が見られた。これはいったい何が起こったのだろうか。大会そのものは圧倒的な習近平独裁体制の確立を見せつけて終わったが、最後のこの「ドラマチック」な光景は、…

習近平の中国は黄昏を迎えた?;中国共産党大会の最中にGDP発表が延期される

中国共産党大会が開催されている最中の10月17日、翌日に予定されていた国家統計局による第3四半期のGDPの数値発表が「延期」された。さまざまな憶測が飛び交っているが、権力者が満足できるものを隠すわけがなく、いずれにせよ党大会への悪影響を避…

ロシア経済制裁の失敗が示す未来;軍事の意味が改めて問われるとき

ロシアに対する経済制裁がそれほど効いていないというのは、もう常識に近いものになりつつある。あれほど規模の大きな「経済戦争」をしかけても、ロシア経済が崩壊に向かわないのはなぜか。世界の経済紙・経済誌が次々と「失敗」について特集しているのは、…

台湾は本当に中国の侵攻を阻止できるか;最新のシミュレーションがあぶり出す危機の真実

ペロシ米下院議長の訪台をきっかけに行われた中国の軍事演習をめぐって、直前の駆け引きの報道や台湾危機シュミュレーションが、台湾をめぐる現実を明らかにしつつある。米国が中国の台湾侵攻を阻止できるとすれば、どのような条件が必要となるか。ここでは…

中国の台湾侵攻はすでに始まっている?;ペロシ訪台を口実に準備が急速に進行中

アメリカの下院議長ペロシが台湾訪問を断行したことで、中国は台湾侵攻の「口実」を得たという説が注目されている。実は、中国はすでに台湾侵攻を決めているのだが、そのチャンスがつかめない。実際に侵攻するには何度か実際と同じレベルの訓練をしておかね…

中国の「軍事演習」は台湾侵攻の序曲か;11発のミサイルは「新常態」を生み出した

米国ペロシ下院議長による台湾訪問の直後、中国は弾道ミサイルを11発も発射して、台湾と日本を威嚇した。ペロシ議長の行動の当否は措くとして、これで中国と米国・台湾との緊張関係は「新しい時代」に入ったと報じられている。この「新しい時代」とはどう…

中国経済がどんづまりに;恒大集団など不動産業の政府救済策が半端すぎる

中国政府は後退する自国経済を、もうどうすることもできなくなっているようだ。まず習近平がいまの政策一般を改めることがないかぎり、大胆な改革案を断行することができないということが基本にある。さらに、改めて注目されているのが、不動産部門のどうし…