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東谷暁による「事件」に対する解釈論

スコットランド、サッカー観戦で2000人が感染;専門家たちはさらなる拡大を憂慮している

スコットランドでは、開催されていたサッカー欧州選手権の観戦に出かけたファンが、6月30日までに約2000人が感染していたと報道された。もちろん、この数字はスコットランドの地元保険当局が発表した数値で、その広がりについて懸念されている。

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英紙ザ・タイムズ7月1日付の「スコットランドのコロナ:フットボール・ファンが新たに数千人感染した」によれば、ざっと計算しだだけでも約5000人にのぼるだろうと述べている。もちろん、どこかの国のオリンピックは、スコットランドのサッカーファンみたいに、ビールを片手に裸になったり抱き合ったりはしないだろうが、やはり気になる事件ではある。

スコットランド保健当局は、英北部において1991人が検査で陽性と診断されたが、彼らは競技場にでかけたか、パブに入って感染したと思われると発表した。本紙はR値を用いて分析を試みている」

 同紙によれば、感染倍率を示す数値=R値が1.1のときには、2190人に感染したとみられ、合計4181人に達するだろうという。また、R値が1.3の場合には、2588人に感染しており、合計4579人にまで拡大すると予測できるという。

「ただし、こうした推計に影響を与える要素で不明のものもいくつかある。たとえば、感染した何人かについては、競技場でお互いにウイルスを感染させあったのか、それとも大スクリーンのあるパブでそうなったのか、不明なままである」

数理生理学者のアダム・クレツコフスキーは、2000人の感染はドミノ効果(連鎖反応)が大きいとみている。ほとんどの20歳から39歳の人たちは、まだ、ワクチンを1回しか接種していないので、懸念されると彼はいう。

サッカー欧州選手権が始まってから、スコットランドでは感染者数が伸びており、拡大の速度も高い。病院に入院している人の数も増えて、昨年秋のパターンに似てきた。サッカー観戦のため旅行したか、集会に参加した者のうち10人に9人は男性で、1470人は20歳から39歳だった」

同紙によれば、NHSテスト&プロテクト(感染を追跡して隔離を申し渡す)が、グラスゴー・グリーン・ファンゾーンという、数千人規模の集会に加わった55人に聞き取りをしているという。この集会には、最大6000人まで、サポーターたちが毎日集まることが許可されていたらしい。

 【追加】スコットランドはもとよりイギリスでも、この事件について多くのメディアが報道するようになった。ここではBBC電子版7月1日付とロイター6月30日付をもとに、上の記事に引用した、ザ・タイムズ7月1日では紹介されていなかった情報を中心に追加しておきたい。

まず、試合場のあるウエンブリーにいた、2600人のスコットランド人ファンのうち、約400人がテストの結果、陽性と分かった。また、保健当局によれば、陽性と分かった人のうち、ハンプデンやウエンブリーの試合やグラスゴー・グリーン・ファンゾーンなど、サッカー選手権のイベントに参加していれば、データに追加されたという。

発表になった1991人のうち、1294人がロンドンに移動しており、そのうち397人は実際に試合をみている。また、前出ファンゾーンにいて陽性と判断されたのは55人、ハンプデンでのクロアチア戦を観戦した人で陽性と判断されたのが38人、チェコ戦の前の選手激励の公開集会に参加して陽性とされたのが37人である。

スコットランド自治政府首席大臣ニコラ・スタージョーンは、スコットランド自治政府が、スコットランドチームの試合中は、寛容な措置をとるといったという話を否定している。スタージョーン首席大臣は「私たちは前もってはっきりと、チケットを手に入れていない人は、試合のあるウエンベリーには行かないように言っていた。移動するすべての人たちを物理的に制止することなどできないし、実際、かなりの数の人が移動をしてしまっていた」と述べている。