いまごろ、こんなことを書いているのもナンだけれど、自民党と公明党を合わせても過半数を割るかもしれないというのは、可能性として低くはないだろう。しかし、それが即政権交代になるような話はいくらなんでも安易で、おかしなバイアスがかかっているとみるべきだ。自民党も公明党もこれまで長年与党を維持してきた政党だ、当然、もうひとつ、比較的立場の近い政党を加えて連立することを考えるだろう。それがそんなに異常なことなのだろうか。ちょっと考えてみたい。

51%、46%、33%、28%。この四つの数字をみて、日本人における同じものの支持率だと信じられる人は多くないだろう。しかし、これは石破内閣の支持率で、左からNHK、毎日新聞、朝日新聞、そして時事通信社ということになる。それぞれの正しいと思われる方法によって行った世論調査であったとは思うのだが、ここまで差が開くと言うのは、やはり統計学的にかなり異常なことで、何かとんでもない仕掛けがあったのではないかと思うほうが普通である。そしてまた、異常値28%だけを取り上げるのはアンフェアだろう。

また、日本は小選挙区制を中心に組み立てられた選挙制度だから、与党の中心となる政党は圧倒的な勝利をしないまでも、過半数くらいは獲得するのが当然だろうと思うのは、必ずしも間違いではない。しかし、今回のように多くの自民党の不祥事の後に、同党のなかも分裂したような状態で迎えた選挙で、本来の圧倒的多数とか手堅く過半数とかを取れないからといって、それですぐに首相退陣とか政権交代を主張するのは、選挙報道を面白くしたいマスコミによる、煽りすぎと考えたほうがいいのではないだろうか。
しかも、石破政権にとって代わるのが、自民党内でもいまの政治状況を生み出してきた、安倍派もしくは安倍周辺の勢力だといっている集団は、けっして客観的にいって妥当性があるとは思えない。それどころか、自分たちがいまの混乱の問題の中心でありながら、今回の選挙で自民党が窮地を陥ることを、ひたすら願っているというのは、倫理的にいっても正当性があるわけないだろう。

これまでも、ひとつの政党が多数を取れなければ、もうひとつ、あるいはもうふたつの政党と連立を組むというのは、憲政の常道にそったやりかたであり、まったく恥じる必要はないだけでなく、むしろそれを批判している勢力の憲政感覚を疑うべきだと思う。いうまでもないことだが、石破首相は選挙の結果をみて反省すべき結果なら反省すべきだろう。しかし、それで政権を投げ出す必要はどこにもない。危機にあってもなんとか連立政権で乗り切ったとなれば、これからの自民党にとって新しい自信と活力が生まれるだろう。