HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

トランプという名のジェットコースター;いまや支持率は頂上から急降下を始めている

トランプの支持率が急速に下落している。そんなことは当然だと思う人は多いかもしれないが、では、その下落の仕方はどんな特徴があるのだろう。そして、その下落は2026年の中間選挙にどのような影響を与えるのだろうか。もちろん、神さまでない者には完全には分からないが、未来という闇をほんの少しだけ照らしてくれる統計というものがある。世論調査会社ユーガブと英経済誌ジ・エコノミストのデータと分析を見てみよう。


経済誌ジ・エコノミスト4月16日付の「ドナルド・トランプの支持率は低下している」によれば、任期が始まって3カ月が経過したが、「支持率が低下している兆候がある」。支持率は就任以来14%低下しており、第一期の同じ時期が5%の下落だったので、これだけを見ても今回の低下の速度はかなり早い。経済政策については特に下落率が大きい。

トランプ第一期に比べて第二期は下落の速度がおおきい


「第一期のこの時点ではまだプラスだったのに、今回はマイナス7%にまで下落している。2024年のトランプに投票した人のほぼ5人に1人がインフレと物価への対応に不満があると述べ、12%が雇用と経済全般への対応に不満足だと答えている。同様に、ミシガン大学が4月初旬に消費者を対象に行った調査によれば、共和党支持者はトランプが再選に失敗した2020年12月を除く第一期のどの時期よりも、経済に対して楽観的ではないことが明らかになっている」

やはり大きいのはトランプの先が見えない関税政策の影響であるように見える。「関税というジェットコースターが下りにさしかかったのだ」。トランプ自身は短期的にはある程度の苦しみがあっても、長期的には製造業の景気を回復させると強気な発言をしているが、「この根拠なき信念こそが支持率低下の要因となるかもしれない」と同誌は述べている。トランプは舞い上がって、憲法が禁じている3期目も狙うようなことを言っているが、いま正気で未来を見つめる共和党議員たちは苦しい状況にある。多くのトランプ離れの兆候が見えているからだ。


「たとえば、トランプは昨年の選挙では、若年層やヒスパニック系有権者から目覚ましい支持を獲得したが、彼らは筋金入りの共和党ではない。2020年と2024年の選挙の両方でトランプを支持した有権者の84%は白人で、74%が共和党系、72%が45歳以上だった。そのいっぽうで、2024年だけに限ると、トランプが獲得した新たな有権者は、かなり異なっている。白人が65%、共和党系は42%、45歳以上も41%だった」

同誌の記述がちょっと分かりにくいのだか、昨年の選挙でトランプに新たに流れ込んだ票というのは、持続的で固定的な有権者ではなくて、何らかの理由でこれまで投票してきた民主党候補に入れたくなかっただけのことであり、「トランプが選挙運動中に約束した経済成長を実現できない場合、これらの有権者たちは容易にトランプから離れる可能性がある」とエコノミスト誌は言っているのだろう。

激戦州でトランプの支持率は急激に下落している


興味深いのは、トランプに勝利をもたらしたいわゆる「激戦州」の有権者たちが、すでに先行してトランプ離れを始めていることだ。「ヒスパニック系の回答者の間では、トランプの支持者はマイナス37%、三十歳未満の回答者の間ではマイナス25%と、大きな動きを見せている。これらの傾向を予測すると、トランプに勝利をもたらしたまさにその地域で、トランプに不利な方向に動いているのである」。具体的には、6つの激戦州、アリゾナネバダジョージアペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンで、支持率がマイナスとなっている。


こうなってくると、民主党の回復が予想されるが、それが必ずしも次の大統領選を決定的にするとは限らない。いつまでもバイデンの撤退を促せずに、ぎりぎりになってからハリスでごまかした民主党が、よほど反省していなければ、これから中間選挙で大逆転を果たし、さらに次の大統領選でも勝つと予想できるとは、まったく言えないだろう。とはいえ、2024年の大統領選挙でトランプに投票した有権者が、わけの分からない関税政策とかで、どうもこの政権はだめだなと思い始めていることは間違いない。