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東谷暁による「事件」に対する解釈論

イスラエル軍がイランの核施設を攻撃!;綱渡りのネタニヤフ政権による予定通りの決断

イスラエル軍がイランの核施設および首都テヘランを攻撃した。いまも攻撃中であると思われる。もちろん先制攻撃だが、イスラエルはイランの核開発放棄がなければ、早ければ15日には攻撃すると予告しており、また、アメリカのトランプ大統領は攻撃の可能性は高いと記者会見で述べていた。すでに昨年のイスラエルによるイラン核施設攻撃のさい、イラン側のミサイル防衛網は役に立たないと分かっていた。とはいえ、イランとしては反イスラエル勢力の中心として、何らかの報復をせざるを得ないだろう。

ウォールストリート紙より


ウォールストリート紙6月12日付ニューヨーク時間8時38分によれば、イスラエルの国防相が、同国はイランに対して攻撃を実施したと述べ、中東はいまや広範囲にわたるあらたな紛争へと突き進んでいるという。「イスラエル軍当局は、同国の攻撃はアメリカとイスラエルの当局者が攻撃は差し迫っていると警告してから数時間後に行われ、イランの核計画をめぐる対立を外交的に解決しようとするアメリカ主導の取り組みに引導を渡した」。

もちろん、イランはまだ核兵器保有していないし、アメリカの情報機関による調査によっても、核兵器保有を模索している兆候もないといわれていた。しかし、その一方で、イランは核燃料(ウラン)の濃縮を継続しており、数週間以内に核爆弾を製造するための核分裂物質を保有できるレベルに達しているという情報も流れていた。とはいえ、その核爆弾がどれほどの精度をもち、またミサイルに搭載できるほどに小型化できるかという点については、まだ時間が必要だというのが信頼度の高い認識だっただろう。

ウォールストリート紙より


今回のイスラエルによる攻撃は、対象が核施設であり、前回の攻撃の継続ということになるが、首都テヘランにおいては、軍事施設と思われる建物に攻撃が継続されていると、ウォール紙の続報では述べている。もちろん、イランの核施設も無防備に攻撃にさらされているわけではなく、地下にあるものが多いと報じられているが、その防御の強度はどれほどのものかは分からない。また、イスラエルは数十機の軍用機で数十カ所に攻撃したと発表されているが、その成果についてはまだ不明である。世界への経済的影響は大きく、当然ながら石油価格は即座にジャンプした。

ウォールストリート紙より


イスラエルの攻撃前には、アメリカがイランとの間で進めている交渉において、イランがウラン濃縮を放棄しなければ、早ければ15日にイスラエルは攻撃するという予測が有力だった。しかし、トランプの発言からも明らかなようにアメリカは交渉が成立するとは期待しておらず、イランがアメリカの求めに応じることはほとんどないとされていたので、イスラエルとしてはプリエンプティブ攻撃(先制攻撃)、正確に言えばプリベンティブ攻撃(防衛的攻撃)を断行したとみられる。イスラエルによる敵対国核施設の攻撃は、常に開発途上で核開発を断念させることを意図するもので今回も同様だった。

フィナンシャルタイムズ紙より


イスラエル国内に目を転じれば、野党が提出した議会解散法案に対して、ネタニヤフ政権内部の宗教的右派が、超正統派ユダヤ教徒学生の兵役免除を停止するなら、解散賛成に回るとの露骨な威嚇を行ったので、政権の分裂状態がさらに顕在化していた(フィナンシャルタイムズ紙6月11日付)。結局、宗教的右派の2グループが解散に反対したため、これから6カ月は野党も解散案を提出できず、なんとかネタニヤフ首相は、政権崩壊の危機から一時的に逃れることができたばかりだった。