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東谷暁による「事件」に対する解釈論

トランプのイラン核施設攻撃は無謀な賭けだ!;アフガン、イラク、北朝鮮での失態を繰り返す米国

アメリカは6月21日にイランの核施設3カ所を空爆したと、トランプ大統領SNSに投稿した。問題となっていたフォルドゥも含まれており、もし成功していればアメリカの狙い通りイランの核開発は挫折するだろう。しかし、この攻撃がイランの現体制を崩壊させたわけではなく、ましてや中東の勢力図からイランを消滅させたわけではない。世界を巻き込むことになるアメリカとイランの戦争の開始であり、おそらくアフガン戦争、イラク戦争とならぶ、アメリカ中東政策の大失敗となるだろう。


すでに前回投稿しておいたように、たとえフォルドゥを完全に破壊したとしても、イランの核開発を遅らせるだけで、イランの体制を根本的に変えたわけではない。これからハメネイ師の排除に成功したとしても、イランという国は存続すると思われるし、それはアメリカをあらゆる方法で攻撃してくる、やっかいな正式の敵国となる。ネタニヤフのイスラエルは中東の覇権国にはなれないし、また、その後ろ盾であるアメリカは、イスラエルの恐るべき勘違いの征服意欲に、引き摺られていくことになるだろう。

専門家の視点を入れるために、まだ、アメリカが「開戦」していなかった6月21日に、アメリカ国務次官補としてイスラエルパレスチナ問題を担当した、アンドリュー・ミラーフォーリン・アフェアーズに投稿した『アメリカは中東での大惨事の瀬戸際にある』からその概要を紹介しておこう。ミラーは予告している。「フォルドゥ攻撃は、湾岸のアメリカ軍に対するイランの報復や、在外アメリカ人に対するテロ攻撃など、アメリカのイランへの関与を長期化・深刻化させる大きなリスクを伴うことになる。イランの核開発を終わらせるどころか、持続可能な解決を困難にするだけなのだ」。


ミラーが観るところ、アメリカとイスラエルはいま「2つの病理」に陥っている。第一が、「航空戦力を、戦術的目標だけでなく戦略的目標の達成にも活用できるという誤った信念をもっていること」であり、第二が「敵対する政権が容易に転覆できるという誤った自信を抱いてしまっているだけでなく、イランの後継政権が現政権よりも善良なものになるという、まったく盲目的な信念を持ってしまっている」のである。たしかに、ハメネイ政権がイラン国民に人気のある政権であるとはいえないが、しかし、いまのイランは46年にも及ぶ継続性をもった体制であることを忘れるわけにはいかない。

ここからミラーは、たとえトランプの攻撃が成功したとしても、それは「一時的な成果、一時的な勝利でしかなく、破壊された施設は再建できるものであり、権威主義的な政府は、さらに強欲な政府にとって代わられるかもしれない」と予測している。ミラーは続ける。アメリカとイスラエルの軍事介入を支持する者たちは、たとえイランの核開発を終結させないまでも、時間を稼いでイランが核兵器を持つまでの期間を伸ばせると主張する。しかし、それはリビアイラクでの経験には当てはまるが、北朝鮮については当てはまらない。

「そして、たとえそのような賭けが成功して、イランの核開発を後退させ、核開発への急速な動きを停止させることができても、イランの核計画に厳格な検証を義務付け、核開発のブレークスルーを前もって察知し、それを未然に防ぐための時間を確保するという別の選択肢と比較すると、それはきわめて割の悪い博打である。トランプの試みは、今後何十年にもわたってアメリカ国民を悩ませる、新たな大失態を生み出す可能性のある無謀な賭けというしかない」