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東谷暁による「事件」に対する解釈論

イランの濃縮ウランは持ち出されていた;テヘランは備蓄の大部分を確保している

ヨーロッパ諸国に提供されたイランの濃縮ウランについての情報によれば、イランはかなりの量のウランをフォルドゥなどの核施設から持ち出しており、イランが保有していた兵器級に近いとされる408キロのウランは、もともと分散されていたらしい。これはトランプ政権がいま流布させている「完全な成果」と比べると、かなり異なったイメージを与えるが、現実の問題として、これからのイランにとって、また、世界にとって、何を意味するだろうか。


英経済紙フィナンシャルタイムズ6月26日付は「初期情報はイランのウラニウムはほとんどが無傷であることが示唆されていると、複数の欧州当局は観ている」を掲載した。「関係者によると、EU諸国政府は、山岳地帯の地下深くに建てられたフォルドゥの被害状況についての完全な情報報告を待っているところであり、初期報告書のひとつによれば『甚大な被害があったものの、建物が完全に破壊されたものではない』と示唆しているという」。

ハメネイアメリカは「何もしていない」とまで言っている。さすがにこれは強がりと言われても仕方ないだろう。また6月27日のロイターによれば、イランのアラグチ外相はいまのところアメリカと協議を行う予定はないという。これもトランプとは大きな食い違いを見せている


同記事にも報じられているが、すでに同紙が述べていたようにIAEAラファエル・グロッシ事務局長は木曜日、フランスのラジオに対して、「イランの核兵器計画は甚大な被害を受けたとしながらも、完全に破壊されたという(トランプたちの)主張は誇張だ」と語っているという。すでに、同じことを意味する情報が、世界に流れていたが、責任のある立場の関係者が、イランの濃縮ウランはすでに移動されていて、爆撃によって消滅したわけではなく、兵器級とされる400キロ(408キロと報じられるようになっている)は無傷だとすらいわれるようになっている。

アメリカのイラク爆撃についてはまだ不明瞭なことが多い


こうした報道に対して、おそらくトランプ政権は激しく否定するだろうが、いずれにせよ新しい情報が発表されるまで、この論争は続くだろう。そして、おそらくトランプ政権が権威づけた新しい情報が流れても、しばらくは「イランの濃縮ウランは無傷」との解釈が拡散していくことになるだろう。アメリカはその真実を手にしたとき、再びイランの核施設を爆撃するのだろうか。それはしないだろう。イスラエルが再び「独自に」再攻撃することは黙認するだろう。自ら再攻撃すればトランプ政権としては自分たちの信用を失うことになるからだ。始まるのは事実を曖昧にするさまざまなプロパガンダであり、そのいっぽうで、非公式の政権中枢の暗殺を含めた工作が始まると思われる。