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東谷暁による「事件」に対する解釈論

世界的コンサル会社BCGがガザ住民排除計画を担当?;トランプの「中東のリビエラ」に群がるハエになったか

いまもイスラエル軍によるガザ地区への攻撃が続いているが、その政治的および戦略的意味がますます不明になり、嗜虐性と民族浄化の意図だけが顕著になっている。そのなかで、イスラエルアメリカが支援する「ガザ人道財団」が設立されたが、背後にはガザ地区からのパレスチナ人の排除の計画があり、しかも、その計画にはアメリカのトップ級コンサルティング会社が深くかかわっていたことが詳細に解明されつつある。


世界でトップと評価されるコンサルティング会社ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が、イスラエル政府とアメリカ政府の支援で設立された「ガザ人道財団(GHF)」に深く関わっていることをスクープしたのは、米紙ワシントンポスト6月3日付の「米コンサル会社、批判を受けてガザ人道活動から撤退」だった。「BCGはイスラエルと緊密に連携してこの計画の発展を支援しただけでなく、ガザ南部に支援物資を届けるための4つの配送拠点を建設する請負会社への給料と機材の値段を仕切っていた」。

同紙は6月6日付には「ボスコンのCEO、イスラエルが支援するガザ支援プロジェクトについて謝罪」を掲載して、CEOが同社の社員とクライアントに謝罪したことを報じている。「BCGが自らの基準を満たせず、お客様、そして地域社会の皆さまからBCGに寄せられた信頼にも応えられなかったことを深くお詫び申し上げます」。さらには「世界中の多くのBCG社員諸君にも、深く失望させてしまったことをお詫び申し上げたい」と続く。


しかし、今回、英経済紙フィナンシャルタイムズ7月5日付に掲載した「BCGはパレスチナから移住させる計画のモデルを作成していた」は、さらにBCGがイスラエルとトランプの望むパレスチナ人移住計画について、細部にわたってかかわっていたことを暴露している。「BCGはパレスチナ人を『移住』させるコストについてもモデル化し、破壊されたガザ地区への援助計画を開始するための数百万ドル規模の契約を結んでいた」。

同紙によれば、このプロジェクトでは、BCGの役割は同社が公表している内容よりはるかに広い範囲にわたり、7カ月以上にわたって400万ドル以上の契約業務をカバーしており、社内においても上級レベルの管理者での議論も行われたという。注目すべきは、単に人道的支援にアドバイスしただけでなく、ガザ地区の戦後復興の財務モデルも構築しており、数十万人のパレスチナ人をガザ地区から『移住』させる費用の見積もりを行っていた。「あるシナリオでは50万人以上のガザ地区住民が、1人当たり9000ドル、総額50億ドル相当の『住民パッケージ』を与えられてガザ地区を去ると仮定されていた」。


BCGがフィナンシャルタイムズ紙に語ったところによれば、「外部法律事務所による継続中の調査により、これらのプロジェクトの全容は、経営陣をふくめた関係者に開示されていなかった」という。また、同社は実施された作業は「わが社のポリシーとプロセスにまったく違反しており」、それが明らかになった段階で「わが社は作業を中止し、それを主導した2人の社員を解雇し、費用を一切徴収せずに独立した調査を開始した。今後、このようなことが2度と起こらないよう対策を講じている」と述べている。

フィナンシャル紙が徹底した取材で得られた、参加会社や団体についての詳細な役割や経緯については省略するが、要するに、トランプ大統領ガザ地区についての「解決」を「中東のリビエラ」にすることだと述べたときから、カネの匂いがぷんぷんするようになったため、チャンスに敏感なコンサル会社やその周りの連中が、自分の取り分を求めて殺到するようになったということである。それから2カ月後には、BCGはいくつものシミュレーションを含む、パレスチナ人を駆逐する財政モデルを提示していた。


トランプ大統領が「中東のリビエラ」を口にしたとき、この金まみれの大統領はガザ住民の220万人をすべてガザから「移民」させるとすら述べていたことを思い出しておくべきだろう。それに比べれば、コンサル会社が考えた50万人の移住などずっと規模が小さいと思う人もいるかもしれない。しかし、彼らはこの50万人は、単なるいくつかあるモデルのひとつの、仮定として考えた数値に過ぎないと述べているそうだ。抽象的思考は鋭い予測を生み出すが、具体的に人間がどのような目に合うかを忘れさせるのである。