アメリカで接種が始まっていたジョンソン&ジョンソン製のコロナワクチンが、アメリカの保健当局によって一時停止になったと報じられている。これはアストラゼネカ製のワクチンと同様、重篤な血栓症が起こったとみられるからで、ワクチンのタイプが同じベクター型であることから、共通した理由による可能性がでてきた。
すでに「アストラゼネカ製ワクチンの混迷;悲惨な結果から日本は何を学べるか」で、血栓症が発見されたところまで触れておいたが、4月13日付のフランクフルター・アルゲマイネ紙電子版では「アメリカがジョンソン&ジョンソンのワクチンを停止」との記事を掲載して「ごくまれだが重篤なタイプの血栓症」を理由に、アメリカ当局が停止を勧告したことを伝えている。
「アメリカでは全部で6件が確認されている。18歳から48歳までの女性たちで、ワクチン接種の後、6日から13日で症状がみられた。……アメリカでの発覚はEUの医薬品当局EMAがジョンソン&ジョンソンのワクチンの安全に懸念を示してから数日後のことだった」
ft.comより:ジョンソン&ジョンソン社の研究施設
英経済紙フィナンシャルタイムズも4月13日付電子版に「US保健当局がジョンソン&ジョンソンのワクチン接種に停止を要請」との記事を載せ、「当局はジョンソン&ジョンソンのワクチン接種を受けた人の6人に『まれだが重い」血栓が報告されたと明らかにしている」と述べている。すべて女性で18歳から48歳、接種後6日から13日などの内容はフランクフルターと同じである。
両紙によれば、これまでアメリカではジョンソン&ジョンソンのワクチン接種を受けた人は700万人に達しようとしており、フィナンシャル紙によれば、ジョンソン&ジョンソン社は「わが社は血小板減少をともなう血栓症が、ワクチンの接種との関係で報道されたことを認識しております。現在のところ、これらの希な事例とわが社のワクチンとの因果関係は明らかではありません」とコメントしている。
faz.comより:ジョンソン&ジョンソン社のワクチン
ベクター型のワクチンの副反応は、無毒化されてワクチンの「乗り物」になっているウイルスが原因の可能性があるという説もあり、また、すでに伝えたようにドイツなどではヘパリンが関係しているのではないかとの仮説も提示されている。ただし、まだベクター型コロナワクチンの副反応についてのまとまった研究は、一般には公表されていないようである。
【追加】同じ4月13日付の英紙ザ・タイムズ電子版にも「ジョンソン&ジョンソンのコロナワクチンがアメリカで血栓症が6例あって接種一時中止に」が掲載されている。このなかで、ますます微妙な位置づけとなっている、アストラゼネカ製ワクチンについて、バイデン大統領のアドバイザーとなったアンソニー・ファウチがコメントしている。ざっというと、「アストラゼネカ製は使えないわけではないが、アメリカは必要ないということだ」というものだが、では、アメリカ製のジョンソン&ジョンソン製についてはどういうのだろうか。
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