HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

中国は「日本の罠」を回避できるか;大規模な試行錯誤と長い時間が必要となる

中国の不動産バブルが崩壊して、いまやどうすれば日本の「失われた20年」の轍を踏まないで済ませられるかが議論の中心になってきた。中国の場合は日本のバブル崩壊に似ているだけではない。規模がずっと大きいのだ。中国政府がこれから採用する回復策しだ…

ロシア軍もまた戦いから必死に学んでいる;ウクライナ軍の反転攻勢が停滞した大きな理由

ロシア軍もウクライナでの戦いから学んでいるという、当然のことが報道されなかった。いまになってようやく、その肝心なことが欧米の新聞に載るようになってきた。ウクライナ軍が反転攻勢で成功しない理由は、兵士が臆病だとか西側諸国の支援が少ないとかで…

ウクライナをめぐる米共和党の分裂:「私は彼に問いただしたい」発言の衝撃

ウクライナのゼレンスキー大統領が国連で演説したが、空席が目立っていてとても好評だったとは言えない。安保理の出席首脳はアメリカのバイデン大統領1人だけという異常事態で国連批判が加速しているが、それよりもウクライナをめぐる雰囲気が大きく変わっ…

ウクライナの今の財政状況が分かってきた;パッチワークでしのぐ軍事費の調達

ロシアとの戦いを続けているウクライナの財政事情は、これまでまとまった形では報道されてこなかった。軍事費だけで50%増やす計画のなかで、自国の財政支出の増額や西側諸国からの援助はもちろん、さまざまな金融のテクニックを駆使して、来年の防衛予算…

中国の国防相は失脚して取り調べ中だ;李尚福をめぐる混乱の根本的問題に迫る

中国の国防相だった李尚福の更迭あるいは失脚が確実になりつつある。アメリカの高官および情報関係者は、李が取り調べを受けていると見ている。これも不動産バブル崩壊によって生まれた混乱が関係していると思われるが、もちろん、それがそのまま習近平体制…

ウクライナの反転攻勢を邪魔しているのは誰か?;ウクライナ軍の戦術をめぐる論争のゆくえ

ウクライナの反転攻勢から3カ月余が過ぎたが、めぼしい成果が得られないまま、これからしばらくは停滞する。数十日後には冬に入り、天候が悪化して戦場はぬかるみと化すからだ。米英のシンクタンクを中心に、なぜウクライナ軍が反転攻勢の目的を達せられない…

こんどは中国の国防大臣が姿を消した;経済が急速に低迷する中で断行される腐敗摘発

中国の高官がまた姿を消した。この間は外務大臣だったが、こんどは国防大臣である。もちろん、前回同様、どこに行ったかは政府によって発表されていない。しかし、次から次へと要職にある高官が消える事件が続くということは、政府による単なる締め付けだけ…

ロシア軍も「改善」を続けている;ウクライナ軍の反転攻勢が停滞したのは武器の不足だけではない

ロシア軍における旧態依然の戦い方は、ウクライナ戦争でも変わっていないと指摘されてきた。しかし、ウクライナ軍が反転攻勢を始めると、何かが違うと感じられるようになった。反転攻勢の停滞は西側諸国の支援が遅いからだとか、守りより攻めが難しいからだ…

中国経済はもう世界最大にはなれない;日本の「失われた20年」の二の舞になる危険は大きい

中国はこれからどうなるのか。世界のなかの日本を考えるさいに、アメリカの動向と並んで最大の関心事である。中国経済の破綻を見て、この国は解体すると論じる人がいるいっぽうで、住宅価格も下げ止まったので再び繁栄が戻ってくるとの報道もある。では、中…

ウクライナ国防相が解任された本当の理由;反転攻勢に転換を迫った西側諸国

ウクライナの国防相が解任された。汚職がらみの混乱と報じるメディアもあるが、反転攻勢の真っ最中とあって、動揺が広がっている。この事態の内実を知るには、数日前のコロモイスキーの拘留についても思い出すべきだろう。ウクライナを支援する西側諸国は、…

なぜ民主党にはバイデンしかいないのか?;トランプがいるからバイデンが生き延びている

なぜこんなことになったのか? 来年の米大統領選挙に出馬する2人は、これまでなら名前すら上がらなかっただろう。民主党のバイデンはもう80歳であり、共和党のトランプは91の容疑で4つの裁判に起訴されている。トランプだって77歳だから、これまでな…

ウクライナがロシアの防衛線を突破した?;その規模はどれほどか、そして戦略的意味は何か

ウクライナ軍がロシアの防衛線を突破したというニュースが世界を駆け回っている。沈滞ムードが漂っていると報道されていたウクライナ軍が、反転攻勢で新しい段階に入り米国は「顕著な前進」とすら評価しているという。これまで何度も報道された「突破」だが…