HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

プーチン

ゼレンスキーとプーチンの会談は成功するか?;いまや世界中が「二重外交」を展開している

プーチンとゼレンスキーの会談は5月15日に、トルコのイスタンブールで行われることが決まった。ウクライナと欧州諸国は30日の停戦を提案したが、プーチンはゼレンスキーとの会談を提言したので、停戦案は拒否されたと解され、ゼレンスキーは会談を拒否…

ウクライナと米国が資源協定で合意;どこまで合意でどこからが願望なのか区別が必要だ

アメリカとウクライナは4月30日、「経済パートナーシップ」協定の合意文書に署名した。トランプとゼレンスキーの「口論」以降、この協定の成立には暗雲が漂っていたが、フランシスコ法王の葬儀のなかでトランプとゼレンスキーが15分、法王庁の中庭で「…

ロシアの地方経済は戦争景気に沸いている;西側の経済制裁は逆効果ではないのか?

世界中から経済制裁を受けているのだから、ロシアの経済はボロボロだろうと、単純に考えている人は減ったようだ。しかし、同じロシアでも地方の経済はさすがに落ち込んでいるだろうと思うかもしれないが、それがかなり違うのだ。地域によっては逆に停滞して…

ゼレンスキー大統領への支持率が急上昇!;その誇らしいデータと厳しい現実との乖離も直視すべきだ

荒っぽい外交と非合理的な関税戦略によって、アメリカのトランプ大統領は世界と国内の支持を失いつつある。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに侵攻されたクルスク奪還を試みていることもあってか、国内の支持は失ってはいない。では、ウクライナのゼレ…

迫られる「メルツの選択」;ドイツは安全保障で欧州をリードできるか

ドイツの次期首相となりそうなCDUのフリードリヒ・メルツが、選挙での勝利の直後に発言したアメリカとトランプ批判は世界を驚かせている。「アメリカはヨーロッパに関心を持っていない」とまで言ったのだ。つまり、トランプはヨーロッパ抜きにプーチンを…

ロシア経済は停戦後に危機に陥る?;ウクライナ戦争後の経済政策はかえって難しい

ロシアはアメリカとの交渉で、場合によれば、ウクライナ戦争をやめるかもしれない。そうすれば、世界的な経済制裁も終わり、戦場からは労働力が帰って来る。ロシア経済も回復するということになりそうだが、どうもそうではなさそうなのだ。そもそも、ロシア…

ウクライナ国民の大半はもう戦争をやめたい;世論調査が再確認したゼレンスキーの危機状況

アメリカと英国は自国が供与した長距離ミサイルを、いまさらウクライナに使わせて戦局が変わるかのような幻想を世界に与えている。しかし、肝心のウクライナ国民はすでに戦争をやめたくてしかたがないのだ。すくなくとも半数以上の人がこの戦争が勝てるとは…

ウクライナのクルスク侵攻の意味を間違えるな;スティーヴン・ウォルト教授が提案する「停戦への道」

今回のウクライナによるクルスク侵攻は、果たして成功だったのだろうか。もし、成功だとすればどのような未来に結びつけるべきなのか。いよいよ世界支配をたくらむプーチン帝国を完全に撃破するステップであり、ウクライナへの援助も制限を取り払って加速さ…

ウクライナは何故ロシアに侵攻したのか;これからの停戦交渉に備えるためとの説が有力だ

ウクライナ軍がロシアのクルスク州に侵攻してから、すでに6日がすぎている。この間、ロシア軍はウクライナ軍を領内から排除するのに成功していない。可能性としてはこの戦線での戦いが続くことも考えられ、ウクライナのこの作戦が何を目指しているのかが、…

ウクライナ軍が国境を超えた急進撃に成功!;ただし、戦略的な意義はまだ不明とされている

ウクライナ軍がロシア領内のクルスク地方に攻め込んで、いまも優位に立って戦い続けている。このままでいくと、去年に失敗した反転攻勢が実現してしまうのではないと思われるほどの勢いなのだという。しかし、そのいっぽうでウクライナ軍のコストも大きく、…

ロシアの「ステロイド経済」はいつまで続くか;戦争は継続できても終結したときが怖い

第5期目を迎えたプーチン大統領は矢継ぎ早に人事の刷新をはかり、米国から追加の武器が届く前にウクライナへの侵攻を加速している。その戦いを支える経済は好調で、経済制裁を受けている国とは思えないほどだ。しかし、よく観察すれば「ステロイド経済」の…

プーチンは世界制覇を目指しているという説の危うさ;スティーヴン・ウォルト教授が論じる「ウクライナ戦争後のロシア」

プーチンは世界支配を目指しているという話ほど、根拠がないだけでなく危険なものもない。ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたことは確かでも、ヨーロッパ支配の一段階だという説や世界全体を征服する野望の一端であるというのは、歴史的に見れば独裁的な人…

ウクライナをNATOに加盟させるのは危険だ;スティーヴン・ウォルト教授の「停戦への道」

NATOはウクライナを加盟させる方向でロシアに対抗しようとしているようだが、本当にウクライナを加盟させれば戦争は終るのだろうか。停戦への道だとする論者たちはNATOの条約第5条を根拠としているので、他の加盟国がウクライナに兵力を送ることに…

ロシア経済は崩壊どころか成長している;プーチンの表情が明るい理由をデータとグラフで見る

ロシア経済がなかなか崩壊しない。それどころか成長すらしている。データを改竄して発表しているのではないかとの疑いはあるが、さまざまな他のデータから推測すれば、それほど奇妙なことではない。プーチンはこのまま大統領に再選するだろうし、また、その…

ロシア軍の戦死者はどれだけ増えたか?;グラフでみるプーチンの軍隊の内情

ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の戦死者数を3万1000人と発表した。では、ロシア側の戦死数はどれほどになっているのか。ゼレンスキーによればウクライナの6倍だそうだが確認されていない。ロシアの死傷者数は31万5000人とのロイターによ…

ウクライナとロシアの停戦が具体的に論じられている;アメリカや西側諸国はもう反転攻勢に期待していない

ウクライナとロシアの停戦について、水面下の交渉と駆け引きが行われている。いずれも表向きは継続と勝利を口にするが、しだいに現実味のある情報が流れるようになってきた。そのうちのひとつが、ウクライナは反転攻勢をあきらめて防衛に徹することとし、ロ…

停戦に「栄光」は必要なのだろうか?;ウクライナ戦争の終わり方が議論になっている

ウクライナ戦争をどのように停戦にもっていくのか。いま問題になっているのは、冬が終わってからウクライナが再び開始する「反転攻勢」ではなくなっている。イスラエル・ハマス戦争によって一度話題の中心から外れたウクライナだったが、その結果が、この戦…

ゼレンスキーはどれくらい困っているか;データで読むウクライナの現在の窮状

ウクライナでは戦争が続いているが、イスラエル・ハマス戦争に世界の目が集中するなかで注目度が低下している。しかも、欧米のウクライナへの支援に重大な懸念が生じている。いうまでもなくアメリカの軍事・財政支援が、米国内の政争のために追加できず、今…

ロシアの核サイトに新しい動きが見られる;プーチンは核戦争の訓練を始めさせた

最近、ロシアでの核兵器についての報道が少なかったが、もちろんプーチンが忘れてしまったわけではない。ソ連時代の核兵器実験場に新しい動きが続いている。全土におよぶ核戦争のさいの避難訓練も行われている。ウクライナでの戦いにおける、重要な駆け引き…

ロシア軍も「改善」を続けている;ウクライナ軍の反転攻勢が停滞したのは武器の不足だけではない

ロシア軍における旧態依然の戦い方は、ウクライナ戦争でも変わっていないと指摘されてきた。しかし、ウクライナ軍が反転攻勢を始めると、何かが違うと感じられるようになった。反転攻勢の停滞は西側諸国の支援が遅いからだとか、守りより攻めが難しいからだ…

プーチンはクレムリンのゴッドファーザーか?;マフィア国家にしてしまったロシア体制移行期の失敗

プリゴジンの墜落死が、プーチンによる「処刑」であった事実がほぼ明らかになったことで、改めてプーチン体制の本質とウクライナ戦争の行く末がさかんに論じられている。多くの欧米のジャーナリズムがロシアを「マフィア」に、プーチンを「ゴッドファーザー…

ついにプリゴジンが殺害された;なぜ今なのか、そして影響はどうか

プリゴジンが殺害された。もちろん、ロシア当局は事故であるかのように発表すると思われるが、これはモスクワ行進といわれた反乱への報復であり、見せしめだと考えて間違いない。旧ソ連時代はもちろんのこと、ロシアになってからも、権力への反逆者は何らか…

クリミア橋が再びウクライナに破壊される!;ロシアにとっての実質的および象徴的意味を考える

クリミア橋が再び攻撃され、かなりの損害が出たと報道されている。ロシアにとってクリミア半島とロシアをむすぶ唯一の橋といわれ、その破壊の度合いによっては、これからの戦局に大きな影響を生み出すと思われる。ロシアとしては、なぜ2度目の攻撃が阻止で…

プーチンとプリゴジンは双子の兄弟だった;ただし兄は大統領になり弟はいかがわしい商売人だった

反乱は失敗したものの、悪辣なプーチンに逆らったとして、プリゴジンを英雄視する者が増えている。しかし、間違ってならないのは、彼は大量の若者の血を叩き売って這い上がった人物だという事実である。ワグネルにしても最初は民間軍事会社で報道していたが…

ワグネルの反乱はプリゴジンの亡命で決着なのか;ロシアの内乱はウクライナ和平を遠ざける

ロシアの傭兵隊ワグネルの反乱は、創始者プリゴジンのベラルーシによる受け入れ、反乱軍への罪は問わない、反乱に参加しなかった隊員は正規軍に繰り入れるとの、一見、ずいぶんと寛容な線で落着しているように見える。しかし、プリゴジンがなぜここまで抵抗…

プリゴジンはついにお払い箱になった?;彼がここまでやれた権力と根性の秘密

ロシアの傭兵隊ワグネルの創始者プリゴジンが排除されようとしている。プーチンは他の民兵組織を含めて、ショイグ国防相の指揮下に入れる方針を決めた。いよいよウクライナの反転攻勢が始まるなかで、ロシア軍組織を強化する意図があると思われる。プリゴジ…

ウクライナの反転攻勢は失敗したのか?;オーストリアの戦略専門家が分析する

満を持して反転攻勢をかけたウクライナ軍だったが、大きな成果が上がったようには見えない。それは予期されたことだったのだろうか? オーストリア軍のマルクス・ライスナー大佐は、独紙フランクフルター・アルゲマイネのインタビューに答えて、反転攻勢の緒…

ウクライナの今回の攻勢は何だったのか;精鋭部隊を含まない陽動作戦だが本番は間近だ

ウクライナ軍が反転攻勢を開始したとのニュースは世界を駆け巡った。ところが、肝心のウクライナ政府はそれを否定している。しかし、ドネツクでのロシア軍との衝突は間違いなくあった。何が始まって何が始まっていないのか。例によって両軍の情報戦は激しく…

ゼレンスキーがG7で得た武器とプレッシャー;そして大規模反攻を迎え撃つプーチンの策とは

ゼレンスキー大統領の広島訪問は、原爆に反対するためや、岸田総理大臣に会うためではなく、G7の支援を取り付けているとの演出を世界的に行うためだった。たしかにそれは達成されたかもしれないが、その分、あらたな重い問題がゼレンスキーの頭上にのしかか…

ウクライナのロシア軍4機撃墜で「本当の戦争」に突入!;次の攻撃はザボリージャかクリミアか

ウクライナとロシアとの間で「本当の戦争」が始まった。ロシア国内でウクライナ勢力と思われる部隊の攻撃により、4機のロシア軍機が撃墜された。これまでウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナ領土内での防衛」を主張していたが、かなりの確率でこ…