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東谷暁による「事件」に対する解釈論

イスラエル・ハマス戦争

イスラエル軍はハマス指導者シンワル殺害に成功!;次に来るのは平和ではなくイスラエルの孤立だ

イスラエル軍はハマスの指導者シンワルの殺害に成功した。これでガザ地区を含むイスラエルに平和が来るのだろうか。まったくそれはありえない。すでにイスラエル軍は次の殺戮のための作戦を立てており、そのことによってネタニヤフ首相は政治生命を保ち続け…

ネタニヤフの「勝利」は長く続かない;スティーヴン・ウォルト教授が憂慮する「イスラエルの暗転」

いまイスラエルのネタニヤフ首相は絶頂にある。ハマスを掃討し、ヒズボラを抑え込み、そしてイランとの戦いについても、アメリカのバイデン大統領は全面的な支援を約束している。しかし、戦争の歴史が示していることは、華々しい勝利が長期的な戦いでの敗北…

イスラエル軍はレバノン侵攻を開始した;なぜヒズボラは指導者の暗殺を阻止できなかったのか

イスラエル軍は、「限定的」とは付いているものの、レバノンへの地上戦を開始した。報道を聞いている限りでは、レバノンのヒズボラ勢力は、ガザ地区のハマスなどとは比べものにならないほどの「脅威」だということになっていたが、どうも違うようだ。すでに…

このまま戦争を続けるとイスラエル経済はどうなる?;すでにキャピタル・フライトが始まっている

イスラエルはヒズボラとの全面戦争に突入しようとしている。ガザ地区での徹底した戦いかたをレバノンにも適用しようとしているのだろうか。軍備について考えれば、素人目にみてもアメリカ製を含めて圧倒的であるように思われる。しかし、ではイスラエル経済…

イスラエルの戦略的思考が衰弱してしまった;スティーヴン・ウォルト教授が提示する「最悪を避けるための処方箋」

厳しい状況のなかで建国して、地位を確立してきたイスラエルが、なぜ、いまになって戦略において驚くべき拙劣さを見せているのか。それがたとえ陰惨なハマスの急襲への報復だとしても、自国の信頼を損傷してしまっては、将来につなげることができない。ハー…

終らない紛争を終わらせる方法;スティーヴン・ウォルト教授が指摘する「矛盾する2つの世界潮流」

なぜ大国は世界の紛争を解決する力を失ったのか。そもそも、本当は解決する力などなかったのではないのか。根本的に考えれば、いま世界で進行している2つの潮流が対立しているからだと、ハーバード大学のスティーヴン・ウォルト教授は指摘している。したが…

道徳を主張する限り停戦は実現しない;スティーヴン・ウォルト教授が提示する「停戦への道」

イスラエルのガザ地区での戦闘も、ウクライナでの戦争も、停戦交渉の兆しはあっても具体化するまえに振り出しに戻ってしまう。なぜなのだろうか。それぞれの当事者たちが本気でないのか、介在者たちが何か肝心な点でミスを犯すのか、それとも根本的な点で世…

リアリストはなぜガザ戦争に反対しているのか;スティーヴン・ウォルト教授が語る「戦略と倫理」

国際政治学におけるリアリストはたいがいの戦争に反対してきた。不思議に思う人もいるかと思うが、リアリストの代表であるスティーヴン・ウォルトが、なぜリアリストは戦争を喜ばず、今回の「ガザ戦争」についても反対しているのかを語っている。ポイントは…

アメリカ発の戦後ガザ地区における平和維持軍構想;米軍は派遣しないプランでアラブ諸国も呆れ顔

バイデン政権は戦争が終結した後のガザ地域に、アラブ諸国が平和維持軍を派遣するよう促しているらしい。それは戦後に生まれるガザ地区の真空状態を避けるためだが、肝心の点が欠けているので、アラブ諸国からは参加はするが、条件が整わないと出来ないとの…

バイデンにネタニヤフは抑えられない;彼のイスラエル・ギャンブルは負けが決まっている

もう、バイデン大統領にできることはないだろう。それは当然の帰結だった。国内のイスラエル・ロビーにはいい顔をしたいが、パレスチナ人に同情的な若者たちの支持も失わないようにしたい、なんてことができるわけはないのだ。「イスラエル軍の米製武器の使…

イスラエルとハマスの交渉は難航する;その背後でのバイデン大統領の工作が醜い

イスラエルとハマスの停戦交渉が始まっている。まずはハマスの代表団とカタール、エジプトとの協議だが、楽観的な見方もあれば悲観的な見方もある。何がネックになっているのかの基本的事項を改めて振り返ってから、背後で行われていたさまざまな工作、こと…

エジプトの情報機関長官がイスラエルを説得?;ラファ侵攻の作戦中止を検討中との情報もある

エジプトの情報機関のトップがイスラエルを訪れ会談し、ラファ攻撃の計画を白紙に戻して新たな交渉を開始することを提案していたが、これに対してイスラエル側が、エジプトの提案に対して検討する意志があることを表明したというニュースが流れている。これ…

イスラエルはイランに再度攻撃をしかけるのか;スティーヴン・ウォルト教授による「起きていることの本質」

イスラエルはイランに報復するのか。それが今の国際ニュースのトピックだが、まずイランの攻撃自体がイスラエルへの報復だったことを言っておくべきだろう。日本の報道も「悪の権化イラン」のイメージを先行させ、いかにもイスラエルに正当性があり、報復を…

イスラエル軍がガザ南部ハンユニスから撤退した?;ラファ攻撃や米国の圧力との関係はどうなのか

イスラエル軍がガザ地区南部から撤退したとのニュースが流れている。これはどの程度確度の高いニュースなのか。また、その撤退はどの程度の撤退で、目的は何か。いまのところまだはっきりしていない。とりあえず、最初のロイターによる報道と日本でのニュー…

イスラエルが米国のいうことを聞かないのはなぜか;スティーヴン・ウォルト教授が指摘する「問題の核心」

もうラファ攻撃においてイスラエルの大義は成立しない。それでもアメリカがラファ攻撃をやめさせられないのは何故なのか。ネタニヤフの自暴自棄か、米国イスラエル・ロビーの圧力か。もういちど、超大国の影響力とは何かを考え、そのうえでアメリカとイスラ…

バイデンがネタニヤフを説得できない理由;米大統領の最初の曖昧メッセージが暴走を生んだ

イスラエル軍によるガザ地区攻撃は、いまや間違いなく虐殺の範疇にあるというのに、なぜアメリカはそれをやめさせられないのか。たとえハマスの行為が虐殺であったとしても、ここまで規模を拡大して報復する必要はないのではないのか。それは世界中の人道派…

イスラエルがハマスとの停戦に合意か;ラマダン月が迫るなかでバイデンは時間との競争に

アメリカ国務省の高官は、イスラエルはハマスとの6週間の停戦に「基本的に合意」したと発表した。「いまボールはハマスのコート内にある」。もちろん、まだ正式に決まったわけではない。取り決めの細部はまだまだこれからのようだ。フィナンシャルタイムズ…

アメリカ空軍がガザ地区に食料投下を始めた理由;バイデンが直面した「飢民暴発」の真実

ようやくアメリカはガザ地区の海岸地域に空から3万8000人分の食糧を投下した。しかし、すでに50万人が餓死の危機に直面している。なぜ、こんなに遅れたのか。この空輸は継続されるのか。イスラエルはまだ邪魔をしているのか。アメリカとイスラエルの…

ネタニヤフ首相による情報操作;米国人のイスラエル支持率がガザ殲滅戦の正当性に化ける仕組み

イスラエルのネタニヤフ首相は、2月27日、アメリカにおけるイスラエル支持が80%以上であることを根拠に、いま進行中のガザ地区南部への攻撃を、「完全に勝利するまで」継続すると述べて注目された。前日にはアメリカのバイデン大統領が、3月4日まで…

米国の紛争介入が無力化する構造的な理由;スティーヴン・ウォルト教授が指摘する「解決法ギャップ」

バイデン政権がかかわった紛争はすべて事態が悪化している。ウクライナ戦争も援助したのに反転攻勢に失敗し、イスラエル・ハマス戦争もアメリカの警告など無視したイスラエル軍の暴走といってよい状態である。それ以前にもアフガニスタンからの撤退は失敗し…

米国による国際紛争への介入は有効なのか;スティーヴン・ウォルト教授が提示する4つの疑問

いまアメリカが行っている紛争への介入は、果たしてよく考えられたものなのだろうか。継続されているウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争への関与のしかたや、イエメンやシリアへの爆撃は本当に効果をもっているのだろうか。ハーバード大学の政治学者ス…

イスラエルは自滅してしまうのか?;ネタニヤフの国家のあとに来るものを考える

イスラエルはハマスから提示されていた停戦案を問題外として拒否した。介在していたアメリカの顔は完全に潰された感がある。しかし、これはイスラエルの孤立を加速したのではないだろうか。いかにハマスの行為に対する憎しみが深いとしても、その報復は過剰…

イスラエルとハマスの停戦が提案されている;これ以上の惨禍を阻止するには何が必要なのか

アメリカ、カタール、エジプト、イスラエルの4カ国代表がパリに集まってハマスとの交渉枠組みを協議した。これに対してハマスの政治指導者ハニヤが「検討中」だとの反応をした。もちろん、この検討中は否応のどちらにも転ぶもので、たとえ応じると答えても…

国連職員はなぜハマスの急襲に参加したのか;イスラエル情報機関から米国に渡された報告書から読む

国連パレスチナ難民救済事業機関の職員が、ハマスの急襲に加わっていた。イスラエルによる情報機関文書を根拠に、アメリカを始めとする先進国が救済資金の拠出を停止している。では、このイスラエル情報機関が、アメリカ政府に見せた文書の内容とはどんなも…

イスラエル軍はハマスの3割弱を殺害したのみ;完全掃討するにはさらなる一般住民殺戮が予想される

イスラエルのネタニヤフ政権が行っているガザ地区攻撃は、ハマス全体の2割から3割を殺害したにとどまる。他の情報も併せて考えれば、この作戦はいつになったら終わるか分からないことがますます明らかになっている。ネタニヤフの党リクードを支持するイス…

イスラエル・ハマス戦争がすぐには終らない理由;スティーヴン・ウォルトが指摘する5つの要素と批判

イスラエル・ハマス戦争はなぜ停戦の見通しがたたないのか。その5つの理由をハーバード大学のスティーヴン・ウォルト教授が分かりやすく簡潔に説明してくれている。すでにハマスの急襲から100日が過ぎ、ガザ地区はほとんど廃墟と化しているが、アメリカ…

ガザ地区はハマスもイスラエルも支配しない;ガラント国防相が提示した「戦後」プランの内容と実現性

イスラエスのガラント国防相が発表した、戦後におけるガザ地区の統治案が話題になっている。イスラエルが占領せず、もちろんハマスによる支配でもなく、イスラエル、パレスチナ自治政府、エジプト、アメリカを中心とする多国籍軍が共同で秩序を維持するとい…

イスラエル・ハマス戦争を停戦に持ち込めるか;そしてガザ地区は誰が統治すべきなのか

すでにイスラエル軍はガザ地区のハマス勢力のほとんどを掃討していて、問題はこれからどのように戦いを収束させていくかに移っている。しかし、この地域に平和が戻ってくるのかといえば、決してそうではない。いったい誰がこの地域を統治することになるのか…

イスラエル・ハマス戦争の「二国家解決」は可能なのか;まずはバイデンの覚悟だが、それが一番危うい

イスラエルとハマスの停戦を目指して、さまざまな試みが行われている。もちろん、それは一時的な休戦に過ぎないが、いずれにしてもアメリカの役割は大きい。これまでの水面下での交渉にもかかわらず、双方が仲介者を信用できないのは、背後にいるアメリカの…

イスラエル・ハマス戦争がバイデンの再選を阻む?;世論調査から浮かび上がる大統領選の逆説

イスラエル・ハマス戦争がアメリカの大統領選に意外な影を落としている。バイデン大統領はイスラエルを支持したが、そのいっぽうでイスラエルのネタニヤフ首相に、過度な攻撃は控えるように示唆した。完璧だったように見えたが、このパフォーマンスは曖昧に…