HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

イスラエルとハマスの停戦が提案されている;これ以上の惨禍を阻止するには何が必要なのか

アメリカ、カタール、エジプト、イスラエルの4カ国代表がパリに集まってハマスとの交渉枠組みを協議した。これに対してハマスの政治指導者ハニヤが「検討中」だとの反応をした。もちろん、この検討中は否応のどちらにも転ぶもので、たとえ応じると答えても…

国連職員はなぜハマスの急襲に参加したのか;イスラエル情報機関から米国に渡された報告書から読む

国連パレスチナ難民救済事業機関の職員が、ハマスの急襲に加わっていた。イスラエルによる情報機関文書を根拠に、アメリカを始めとする先進国が救済資金の拠出を停止している。では、このイスラエル情報機関が、アメリカ政府に見せた文書の内容とはどんなも…

国際司法裁判所のガザ地区改善の命令;強制力のない裁定のいっぽうでカウンター情報による反撃

国際司法裁判所は1月26日、イスラエルに対してガザ地区でのジェノサイド的行為を防ぐために、あらゆる措置を講じるよう命じた。しかし、実質的な強制力はまったくないといってよい。事実、同裁判所は戦闘の停止を命じていないし、報道も「シンボリック」…

イスラエル軍はハマスの3割弱を殺害したのみ;完全掃討するにはさらなる一般住民殺戮が予想される

イスラエルのネタニヤフ政権が行っているガザ地区攻撃は、ハマス全体の2割から3割を殺害したにとどまる。他の情報も併せて考えれば、この作戦はいつになったら終わるか分からないことがますます明らかになっている。ネタニヤフの党リクードを支持するイス…

イスラエル・ハマス戦争がすぐには終らない理由;スティーヴン・ウォルトが指摘する5つの要素と批判

イスラエル・ハマス戦争はなぜ停戦の見通しがたたないのか。その5つの理由をハーバード大学のスティーヴン・ウォルト教授が分かりやすく簡潔に説明してくれている。すでにハマスの急襲から100日が過ぎ、ガザ地区はほとんど廃墟と化しているが、アメリカ…

台湾の総統選挙をめぐる情報戦の内幕;終わりのない熾烈な戦いは続いている

台湾の総統選挙は1月13日に行われているが、選挙運動中にも中国の情報操作の試みは続いていた。それに対して、台湾もさまざまな方法で中国の介入に抵抗してきた。すでに結果が出ようとしているが、いまに至るまでの情報戦について、思い出しておくのも無…

日本経済は世界でどの程度の位置なのか;冷静に判断して2024年を過ごすために

日本経済は世界のなかでどの程度の位置をしめているのだろうか。昨年、名目GDPでドイツに逆転されて3位から転落したと報じられたが、では他の国との比較ではどうなのか。それを正確に知るのは難しい。とはいえ、各種のデータがあるのだから、まずはそれ…

やっぱりバイデンとトランプで戦う米大統領選;評判の悪い者どうしの危機的な選挙になる

アメリカ大統領選はいよいよバイデン大統領とトランプ前大統領との戦いになる。他の可能性はほとんどないといってよい。民主党がこれから新しい有力な候補を見つけたとしても「もう、遅すぎる」。そして共和党がトランプ以外の候補になる可能性は、トランプ…

ガザ地区はハマスもイスラエルも支配しない;ガラント国防相が提示した「戦後」プランの内容と実現性

イスラエスのガラント国防相が発表した、戦後におけるガザ地区の統治案が話題になっている。イスラエルが占領せず、もちろんハマスによる支配でもなく、イスラエル、パレスチナ自治政府、エジプト、アメリカを中心とする多国籍軍が共同で秩序を維持するとい…

イスラエル・ハマス戦争を停戦に持ち込めるか;そしてガザ地区は誰が統治すべきなのか

すでにイスラエル軍はガザ地区のハマス勢力のほとんどを掃討していて、問題はこれからどのように戦いを収束させていくかに移っている。しかし、この地域に平和が戻ってくるのかといえば、決してそうではない。いったい誰がこの地域を統治することになるのか…