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東谷暁による「事件」に対する解釈論

中国経済

中国は「日本の罠」を回避できるか;大規模な試行錯誤と長い時間が必要となる

中国の不動産バブルが崩壊して、いまやどうすれば日本の「失われた20年」の轍を踏まないで済ませられるかが議論の中心になってきた。中国の場合は日本のバブル崩壊に似ているだけではない。規模がずっと大きいのだ。中国政府がこれから採用する回復策しだ…

中国経済を破綻させたシャドーバンキングの威力;巨大なバブルを膨らませ破裂させたもの

中国の不動産バブルは、ついに金融・投資家の破綻に及んだ。とくに、バブルの元凶とされるシャドー・バンキングの崩壊が続いている。いわゆる「信託」と呼ばれる投資会社は、経営の不透明さで知られてきたが、破綻してみれば予想以上の悲惨さである。その投…

世界の金融機関が予測する中国の成長率;もっと刺激策を打ち出さないとさらに落ち込む!

中国経済の低迷は確実となってきた。中国に甘い日本の経済ジャーナリズムも、しぶしぶとそのことを認めている。政府目標のGDP伸び率5%は無理で、場合によれば4.5%で終わる可能性すらでてきた。もちろん、中国政府が団体旅行を許可したからといって…

中国のデフレと日本のインフレから考える;政策も経済学もそのときの課題に依存する

植田日銀総裁が国債の金利上昇を是認したというので、いよいよ日本もインフレに突入するという報道が見られるようになった。例によって単純なインフレ対デフレの構図だが、これまでの黒田時代とは異なる金融政策に、おずおずと進みつつあることは間違いない…

中国経済が勢いを失っている;コロナ対策失敗のツケが大きく回ってきた

中国経済の第2四半期は予想どおり思わしくなかった。奇跡的な復活を煽っていたビジネス誌もあったが、無理やりコロナ政策を変更して150万人ともいわれる死者を出し、それでも経済が順調に成長したら、それこそ世界中の人間の努力をあざ笑うものになって…

中国も長期停滞に陥りつつある?;「ピーク・チャイナ」論の憂鬱な予想

中国の経済的繁栄はピークを過ぎたのではないのか? それはゼロコロナを脱却して経済が急速に復活すると楽観したことの反動かもしれない。しかし、中国の経済成長予測は以前よりずっと控えめなものとなり、なかには成長の低下が始まるとする説すら現れている…

中国が発表したオミクロン下の経済データは正確なのか;突っ込み所はあるが悲惨な点は正しい

オミクロン株の影響で中国の経済が大きく後退している。5月16日には中国政府が4月の工業生産が2.9%減になったことを発表した。しかし、当然のことながら、この数値は正確なものだろうかとの疑いがもたれている。他のさまざまな経済指標も同様だ。は…

中国の経済成長は4.8%だった;この数字の中身をあれこれ検証する

中国の今年第1四半期(1~3月)は、GDP伸び率は実質で4.8%と発表された。ウォールストリート紙の予想が4.6%、日経が4.3%だったので、かなりよい数字だとして受け止められているようだ。しかし、その内実はインフラへの投資が支えていて、…

非公式データで見た中国経済の現実;オミクロン株の感染爆発は惨状を生み出している

中国はいま上海がロックダウンを継続していて、経済に対する影響はきわめて大きいはずだ。いくつもの非公式の指標をもちいて、その実態を浮き上がらせる試みの紹介したい。これまでも中国の経済データにたいする疑惑は多かったが、そのため、非公式あるいは…

中国の成長4.9%に減速の意味;ばらばらに見える事件は大変動の兆候だ

中国の国家統計局が10月18日に発表した、今年7~9月(第3四半期)のGDP伸び率は実質4.9%だった。これは中国にとって良い数字なのか、それとも悪い数字なのか。6四半期続けてプラスといえば良い話だが、伸び率が明らかに減速していることを見…

習近平のイデオロギー的な独裁政治;それは大躍進か、それとも文化大革命か

経済の論理からいうと、最近の習近平がやっていることには、おかしなことが多すぎる。不動産バブルを抑制するために、デベロッパーへの資金の流れを断ってしまい、恒大集団を破綻に追いやった。そうかと思えば、二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言して、…

危機の中国は何を打ち出すのか;恒大集団の破綻後にやってくるもの

中国恒大集団の経営危機は、これからの中国経済を占う事件として、いま世界が注目された。その後も同本社前では、理財商品の弁償条件をめぐって抗議のデモが繰り返され、株式や債券の下落が続いている。当然のことながら、この事態は中国恒大にとどまらない…

いま中国経済に起こっていること;恒大集団の破綻はバブル崩壊の引き金だ

この数日間、いよいよ来るべきものが来たと思わせる出来事が連続して起こっている。ほかでもない、中国恒大集団の経営危機である。9月13日には投資家たちが100人ほど、恒大集団の本社に押しかけて、理財商品(資産運用商品)のデフォルトについて抗議…

東南アジアは中国のものになるのか;米中衝突時代における戦略のヒント

ミャンマーのクーデターは大きな問題だ。そんなことは当然ではないかと言う人は多いかもしれないが、それはスーチー政府が軍政によって取って代わられたにとどまらず、これからの東南アジア、ひいては世界政治の趨勢を決していくという意味でも、きわめて大…

中国は本当にコロナに勝利したのか;春節を前に感染爆発におびえる北京

2020年12月30日のニューズウィーク電子版によると、中国政府は北京の一部での新型コロナ感染拡大に対し、ロックダウンを行ったという。もちろん、部分的なものだからパーシャル・ロックダウンあるいはローカル・ロックダウンというべき規模と思われ…

中国の経済成長が4.9%だそうだ;どれくらい信用できるのか検証する

中国の第3四半期の経済成長が4.9%と発表されて、喜んだ人もいれば悲しんだ人もいるだろう。しかし、そのまま信じたとすれば、ちょっとお人よしと思われかねない。なぜなら、中国の経済データは同国政府によって、かなり操作されているのではないかと、…

中国のGDPが急進したそうだ;それで、いったい何がよくなるのかね

7月16日、中国当局は第2四半期のGDP伸び率が、前年同期比で3.2%増と発表した。日本のある通信社が速報で手放しの肯定的報道をしたが、もちろん、世界中を見渡しても、そのまま肯定的に受け止めたマスコミはほとんどなかった。新型コロナに関心の…