HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

コロナ・ジャーナリズム

デルタ株は克服できるか?;英国の最新調査から考えてみる

新型コロナウイルスについての最大の話題はいまやデルタ株となっている。いうまでもなく、これまで作られてきたワクチンが、効かないのではないかとの憂慮が生まれているからだ。報じられるデータもまちまちで、デルタ株の有効性は16%まで落ちたという報…

集団免疫神話が終わるとき;英国のコロナ規制が解除されるとどうなる?

英国では7月19日に、これまでのコロナ関連の規制をすべて終わりにするというので、賛否の議論が盛んになっている。なかでも大きいのは、このまま規制をやめてしまって、感染拡大がひどいことになるのではないかという憂慮だろう。そもそも、日本でもいろ…

武漢の研究所から流出したという説は正しいのか;論争があぶり出すバイデン政権の思惑

バイデン大統領は、5月26日、新型コロナ・ウイルスの起源について、動物からの感染説と武漢の研究所からの流出説の2つがあることを指摘して、情報機関にさらに詳しい調査を命じた。その波紋は大きく広がり、メディアのなかにも激しくバイデン大統領の遅れ…

バイデン大統領がコロナ起源の再調査を命じた;いま情報機関を繰り出す狙いは何か

バイデン大統領が、5月26日、ワクチン政策の成功を自画自賛するとともに、コロナウイルスの起源説について、情報機関に90日以内に再調査するよう命じたというので、報道の世界が沸き立っている。バイデンによれば、中国の武漢において発見されたコロナ…

ワクチン副反応研究の最前線からの報告;原因は「ドラゴンが目覚めた」だって?

アストラゼネカ製ワクチンなど、ベクター型のコロナ・ワクチンを打つと、なぜ重度の血栓症が引き起こされるのか。もちろん、いくつかの研究がすでに行われている。最近、ドイツで報道された研究のひとつは、ワクチンに含まれているプロテインの一種が、血球…

コロナ・パンデミックは自殺を増加させない;医学専門誌ランセットの論文が主張している

新型コロナ・ウイルスのパンデミックは、世界的に見て、どれくらい自殺者を増やしたのか。医学専門誌ザ・ランセットの電子版4月13日号に掲載された「コロナ・パンデミックにおける初期数カ月の自殺トレンド」は、その意外な結論から注目された。「自殺の…

アストラゼネカのワクチン接種停止;ヨーロッパに広がる過剰な副反応恐怖【増補版2】

【注記】ヨーロッパ医薬品庁は、アストラゼネカ製ワクチンのワクチンを接種することを推奨すると発表し、早い国では金曜日(19日)から接種を再開することになりました。ただ、同庁は同ワクチンが血栓を起こす可能性を完全には排除できないと述べています…

コロナウイルス変異種にどう対処するか;英国の南アフリカ変異種騒動から考える

もし、南アフリカ変異種がコロナワクチンで制御できないとしたら、いまですら新コロナウイルス変異種で大混乱の英国は、どうなってしまうのか。2月6日にアストラゼネカ社のワクチンの効果が、南アフリカ変異種に対しては限定的だと報じられたとき、多くの…

南アフリカ変異種にはアストラゼネカは効かない?;他社のワクチンも何らかの対策が必要らしい

2月6日、南アフリカで発見されたコロナウイルスの変異種には、アストラゼネカ製のワクチンの効果が限定的だと分かって、世界中にショックが広がった。特に、同社製のワクチンをコロナ対策の中心においている国にとっては深刻である。その後、2月7日に南…

シミュレーションの最悪値に向かうスウェーデン;今の事態はすでに予測されていた

スウェーデンのコロナ禍の現実について、関心をもつ人が多い。それはそうだろう。日本でも一時は非ロックダウン方式が正しいと主張する論者が増えて、「集団免疫だけがコロナ問題を解決する」とか「若者と老人との接触を遮断すれば怖くない」と口にする人も…

人の移動は感染を拡大しないだって?;まったく転倒した説が流行る背景

昨年の暮れには、東京都の1日の感染者数が1300人を大きく上回って、もう「緊急事態宣言」は間近なのではないかと思う人も多いだろう。不安がつのるなか、例によってコロナに関する情報が混乱している。たとえば、ワイオミング大学の研究では人間の移動…

中国は本当にコロナに勝利したのか;春節を前に感染爆発におびえる北京

2020年12月30日のニューズウィーク電子版によると、中国政府は北京の一部での新型コロナ感染拡大に対し、ロックダウンを行ったという。もちろん、部分的なものだからパーシャル・ロックダウンあるいはローカル・ロックダウンというべき規模と思われ…

やはりスウェーデンは集団免疫を目指していた;テグネルのメールが暴く悲惨な失敗

スウェーデン政府が、満員の電車のなかでのマスク着用を推奨したニュースは世界を駆け巡ったが、興味深かったのは、英国のジャーナリズムがこの話題に飛びつかなかったことだ。これまでスウェーデンのコロナ対策については賛否両論さかんに報じていたものだ…

いまもマスクを否定するスウェーデン;むしろ危険とする根拠の論文72%は実はマスク支持だった

いまもスウェーデン政府はマスクを推奨していない。もし、同国の文化がいわれているように合理主義的でプラグマティックならば、完全な効果は期待できなくとも、すでに何らかのかたちで採用していておかしくない。ところが、同国の国家免疫学者アンデッシュ…

ワクチンを有効にするのは何か;先頭を切って接種する英国の騒動から読む

いわゆる先進諸国では、まず、英国がコロナワクチンの接種を開始し、その次にアメリカがかなりの規模で始めようとしている。もちろん、すべてがうまくいくという保証はなく、ワクチンの本当の効果や安全性があきらかになるのはこれからだ。また、どれほどの…

アストラゼネカのワクチンはどうなったか;生き残りをかけて追試に挑むらしい

コロナワクチンのレースで先頭を切っていたはずのアストラゼネカとオクスフォード大学のワクチンが、90%と発表した有効性に疑問符が付いた。ファイザーとモデルナの有効性が95%であるのに加えて、さらに厳しい試練に直面している。しかし、これは単に…

スウェーデンでも集団免疫は効いていない;国家免疫学者テグネルすら認めている

スウェーデンの国家免疫学者アンジェス・テグネルが、今週の火曜日(11月24日)同国の「集団免疫」は新型コロナ感染をおさえていないと認めたというニュースが流れた。まず、『ザ・プリント』電子版、次に『フォーチュン』電子版が同内容の記事を掲載し…

いまこそ根拠と論理で語りたい;宮坂昌之著『新型コロナ 7つの謎』を読む

新型コロナウイルスの感染が広がって、パンデミックとなってからも、マスコミによって報道される情報がどこまで正しいのか、どこまで根拠のある話なのかを判断しようとすると、基本的な知識がないことに気がつかざるを得なかった。それは当然のことで、実際…

モデルナとファイザーのワクチンの違い;有効性だけでなく4つほどあります

「コロナ・ワクチンが出来るのを待つのは、やってくるバスを待っているのとちょっと似ている」と英経済誌ジ・エコノミスト11月17日号は書いているが、バス停はいまも惨憺たる荒野のなかにあるといってよい。英国では同日に死亡率が一気に40%も上昇し…

日本のスウェーデン報道がおかしい;コロナ対策を8月時点での感覚で報じる危険

普通の判断力をもっていて、さまざまな報道を目にしていれば、いまスウェーデンのコロナ対策がうまくいっているなどという人はいないだろう。ましてや、報道機関に属していて、世界の情報も広く取り入れて判断している記者たちが、いまも今年8月ころの事態…

ファイザーのワクチンが直面する難関;冷静に考えればまだ第一歩にすぎない

ファイザーとビオンテックによるコロナワクチンが、第3相臨床試験において有効性90%を示したというニュースは、世界を駆け巡って多くの人が「コロナ禍からの脱出が可能になった」と明るい気持ちになった。なかでも株式市場は急騰して、経済においても大…

やっぱりマスクが決め手だった?;コロナ第2波のなかで義務化が広がる

アメリカは大統領選の間もあいかわらず新型コロナ感染が拡大しているし、ヨーロッパでは第2波ないし第3波がいよいよ始まっている。さまざまな、感染拡大阻止策をやってきたはずなのに、やはり秋冬の急拡大は免れ得ないようだ。そのなかで、マスクへの評価…

どうすればコロナ対策に「失敗」できるか;ボブ・ウッドワードがトランプから聞いた話

9月15日に刊行が予定されている、ボブ・ウッドワードの新著『レイジ(怒り)』の内容が紹介されて話題になっている。その関心の多くは、トランプ大統領が新型コロナウイルスが脅威であることを知っていたのに、「普通の風邪なみ」と述べて十分な対策を取…

コロナに短期間2度感染した例の発見;ワクチン開発は無意味になるのか?

8月24日から、香港大学の研究者たちが、いちど新型コロナウイルスに感染して治癒した人が、4カ月半ほどで再び感染した例を発見したと発表して、話題になっている。この現象が頻度の高いものであるなら、新型コロナに対する集団免疫が生じない可能性があ…

コロナ・ワクチンが完成目前か?;沸き立つ英国マスコミをのぞく

英国のメディアが、新型コロナウイルスのワクチンがうまくいきそうだと、沸き立っている。いうまでもなく、同国が誇るオックスフォード大学の研究グループが、かなりいいところまできたというのだから、意気が上がるのも当然だろう。この投稿は、その様子を…