HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

アメリカ経済

中国のデフレと日本のインフレから考える;政策も経済学もそのときの課題に依存する

植田日銀総裁が国債の金利上昇を是認したというので、いよいよ日本もインフレに突入するという報道が見られるようになった。例によって単純なインフレ対デフレの構図だが、これまでの黒田時代とは異なる金融政策に、おずおずと進みつつあることは間違いない…

米国の物価上昇は他人事ではない;日本でも企業物価は40年ぶりの急上昇だ

アメリカではインフレがじわじわ続き、ついに今年10月は31年ぶりの消費者物価6.2%上昇を記録した。コアCPIも4.6%であることから、いよいよインフレ時代に移行したとの見方も出てきた。日本でも企業物価指数が40ぶりの前年比8・0%上昇と…

インフレ時代が始まった?;米国インフレ率5.4%が予感させる未来

7月13日に第2四半期におけるアメリカの消費者物価指数が5.4%に達したと発表されショックを与えている。エコノミストたちの予想はせいぜい2.6%くらいだったのに、その2倍を上回った。しかも、前期にくらべて0.9%という数字も大きいし、コア…

米国は5%のインフレで政策を変えるか?;もう少し先まで行くと思いますが

アメリカの労働省が発表した5月のインフレ率は5%に達し、予想されたこととはいえ、現実となるとやはり衝撃は大きい。もちろん、政府やFRBは「一過性」だという見解を変えていないが、たとえば、民主党政権に批判的に振る舞うウォールストリート紙6月10…

米国の累積赤字は対GDP比220%まで可能?;ゴルディロックス理論が予想する可能性と限界

バイデン大統領は大胆な財政支出を行ない、ワクチンの接種率が高まるなかで、経済の回復を達成しつつあるように見える。しかし、この状態はいつまで続けられるのだろうか。具体的には対GDP比で何%まで財政累積赤字が許されるのだろうか。注目されている3人…

米国のインフレが昂進している;短期で終わるか長期となるかの分かれ目

アメリカ経済の回復に世界の注目が集まっているが、5月12日に発表された4月の消費者物価が前年比で4.2%もの上昇を見せてショックを与えた。同日の株式市場はS&P500が2%の下落を示した。こんなに急激に物価が上昇すれば、「金利を上げることを考…

米財務長官イエレンが前言訂正;アメリカはインフレにならない?

アメリカの財務省長官ジャネット・イエレンが、少し前のインフレを懸念するコメントを修正したというので話題になっている。バイデン政権の巨額の追加支出については、元財務長官のラリー・サマーズのようにインフレ懸念を表明する者もいる。ジャネットの以…

バイデンの刺激策でデイトレーダーが燃え上がる;こんどの給付金の37%は株式に回るとの予想

アメリカのバイデン政権によるコロナ対策の財政支出が1兆9000億ドル(200兆円相当)になることは、もう何度も目にしたことだろう。そのうちのかなりの部分が最大1400ドル(約15万円)の現金支給であることもご存じだろう。そして、そのまたか…

米バイデン政権の200兆円はどこへ行くのか;レストラン、コンサート会場、そして航空製造業が勝者だという

アメリカの上院は、3月6日にバイデン政権の1.9兆ドル(約200兆円)規模のコロナ対策法案を可決した。日本の報道で注目しているのは、1人あたり最大で1400ドル(約15万円)の現金給付だが、ほかにも財政難に陥った地方公共団体への3500億…

ゲームストップ株の異常な乱高下;その背後にあるものは何なのか

ゲームショップ・チェーン「ゲームストップ」の株価が乱高下して話題になっている。ロイターによれば、同25日に始まる週になってからだけで、なんと360%以上値上がりした。ところが28日には急落して、日本円にして約1兆1500億円が消滅した。ニ…

株価下落の「恐怖の岬」は来ない?;ワクチンで楽観が広がる米国が危ない

新型コロナのワクチンが超スピードで接種が行われることになり、大統領選挙の結果も落ち着くところに落ち着いた。そこでアメリカの株式は、まるで脱皮した怪獣のように、さらに急成長する兆候を見せている。経済ジャーナリズムのなかにも、手放しでこうした…

米国経済は33.1%の急伸だそうだ;その内実をよく見てみよう

数日前、ネットでニュースを見ていたら、トヨタが生産過去最高とあったので、見間違いではないかと思ったほどだった。このコロナ禍のなかで、そんなことが起こりうるのだろうか。よく読んでみると、9月の生産が前年同月比で11.7%増で、限定付きではあ…

米国は来年からバイデノミクスだそうだ;せこくて優柔不断な大統領の経済学

アメリカ経済は来年からは「バイデノミクス」になるそうだ。このままトランプ大統領が大統領選挙の討論会で暴走を続ければ、それほど忍耐強くなく、際立った魅力にもかけた、息子の疑惑問題に明快に答えられない、地味な大統領候補バイデンが当選することに…