HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

オミクロン株

習近平が直面しているジレンマ;中国のコロナ制圧と経済回復を両立させる方法はない

このままいけば、1日に4500万人の感染もありうるとのシミュレーションが発表されている。中国のゼロコロナ政策の失敗は、ここまで来てしまった。さまざまな説が飛び交っているが、その内実を知れば知るほど、習近平はいま深刻なジレンマに直面している…

中国が発表したオミクロン下の経済データは正確なのか;突っ込み所はあるが悲惨な点は正しい

オミクロン株の影響で中国の経済が大きく後退している。5月16日には中国政府が4月の工業生産が2.9%減になったことを発表した。しかし、当然のことながら、この数値は正確なものだろうかとの疑いがもたれている。他のさまざまな経済指標も同様だ。は…

ロックダウンの陰で広がる戒厳令体制;上海も北京も不満が充満している

上海や北京から新しいデータが伝わってこない。外信を含めて中国のオミクロン情報は、明確な根拠のないものになっている。そのなかで国営メディアが「馬」の姓をもつ男性が拘束されたと報じたため、元アリババCEOの馬雲だろうというので株価が暴落し、約…

中国のコロナとの戦線は上海から北京へ;2200万人の首都を守り切れるか

中国のコロナとの戦いは、いよいよ首都北京が主戦場となりつつある。2200万人のこの都市で、いま徹底したコロナ検査が行われていることは、報道で知っている人も多いだろう。では、実際の感染者の数はどれくらいなのか。死者はいるのか。そして、これか…

中国の経済成長は4.8%だった;この数字の中身をあれこれ検証する

中国の今年第1四半期(1~3月)は、GDP伸び率は実質で4.8%と発表された。ウォールストリート紙の予想が4.6%、日経が4.3%だったので、かなりよい数字だとして受け止められているようだ。しかし、その内実はインフラへの投資が支えていて、…

中国のコロナ死者数はなぜこんなに少ないのか;いま上海で行われているデータの扱い方

上海がオミクロン株の蔓延で感染者があれほど多いのに、なぜ死者はゼロですむのだろうか。これは誰もがもつ疑問だが、「中国のことだから正しい数値は期待できない」と簡単に達観してしまうと、経済や政治を含めて本当の中国の現状が分からなくなる。さまざ…

目で見る中国のコロナ感染爆発;上海は例外か、それとも中国全土の近未来か

上海のオミクロン株感染はさらに拡大している。4月8日発表の中国全土での新規感染は2万5701人だが、そのなかの2万3600人が上海での数値だ。このデータから思い浮かぶのは上海のオミクロン株感染は中国のなかの例外的現象なのか、それともこれか…

非公式データで見た中国経済の現実;オミクロン株の感染爆発は惨状を生み出している

中国はいま上海がロックダウンを継続していて、経済に対する影響はきわめて大きいはずだ。いくつもの非公式の指標をもちいて、その実態を浮き上がらせる試みの紹介したい。これまでも中国の経済データにたいする疑惑は多かったが、そのため、非公式あるいは…

オミクロンの派生型BA.2の性質;これまで発表されたデータを読む

オミクロン株の派生型「BA.2」がデンマークや英国で感染が広がり、「ステルス変異株」などとのニックネームもついたこともあって、欧米では緊張が走った。1月28日、英国の保健安全保障庁が暫定的な見解を発表したことで、ひとまず見通しがついたかっ…

スーパー免疫はどれくらい神話でないか;ハイブリッド免疫を正しく理解する

これまでワクチンの接種を何回か受けていて、それにオミクロン株に感染すると、きわめて強い抗体ができる。こうした研究が南アフリカと米国オレゴン健康科学大学(OHSU)から発表され、「スーパー免疫」と呼ばれるようになっている。もちろん、いずれの…

オミクロン株についての神話;危険を呼び込む誤解と錯覚に気をつけろ!

オミクロン株の性質が、これまでの新型コロナ変異株と大きく異なっているために、さまざまな誤解が生じている。その中には専門家が発表した論文の誤読によるものもある。たとえば、オミクロン株がデルタ株を「駆逐」しているのなら、ワクチンは打たなくとも…

オミクロン専用ワクチンを巡る闘い;「できたときには流行は終わっている」のか?

すでに製薬メーカーが開発中のオミクロン専用ワクチンに、アメリカの保健当局が待ったをかけている。専用ワクチンは必要ないというわけである。これが果たして純粋に医学的および免疫学的な議論と言えるのかを含めて、論争に発展しつつある。 ウォールストリ…

第3回目の接種はオミクロンに有効か;ロンドンとニューヨークの比較から考える

今日(1月11日)の朝、岸田首相は3月から一般の人に対する3回目のコロナワクチン接種の「前倒し」をして開始すると表明した。追加確保したモデルナ1800万人分を使うのだそうである。しかし、これが世界的にみれば「前倒し」といえないことは明らか…

オミクロン株が急伸する世界;目で見るコロナ禍の現状

オミクロン株が登場して以降、1日あたりの感染者数が、これまでのピークを大幅に超えてしまう国が多くでてきた。この新しい変異株はきわめて感染力が強いというのは、ほぼ間違いないと思われる。しかし、そのいっぽう、オミクロン株が引き起こす症状が本当…

オミクロン株は本当にマイルドなのか?;最前線の研究が提示する希望と警告

オミクロン株の感染力はすさまじい。12月22日現在ですでに106カ国に拡散している。この新しい変異株についてはさまざまな議論があるが、ようやくいくつかの研究がその感染の諸傾向をぼんやりとだが提示しつつある。ここでは海外の2つの報道機関が取…

中国の「ゼロ・コロナ」は維持できない;オミクロン株がもたらした新しい条件

中国のコロナ対策はこのまま維持できるのか? オミクロン株が登場することによって、この疑問はますます強いものになっている。これまで中国は新規感染が見つかるたびに、その地域の感染疑惑者を全員隔離するといった「ゼロ・コロナ」戦略を採用してきた。し…

英国でオミクロン株の最初の死者がでた;なによりも正確な状況の把握が必要だ

現地時間の12月13日朝、英国のジョンソン首相は同国でついに最初のオミクロン株による死者がでたと発表した。感染は早いが症状は軽いとの予想が広がっていたが、一転して死亡の危険が現実のものとなった。ジョンソン首相も「オミクロンでは死なないとい…

南アフリカがオミクロン研究を発表;新変異株の何がどこまで分かったのか

オミクロンについて最初の研究レポートが、12月2日、南アフリカ国立伝染病研究所から発表になった。(データは4日のものを追加した)同研究はこれまで得た新型コロナへの免疫を、オミクロン株は回避する可能性があることを指摘していて、世界中のオミク…

オミクロン株へのワクチン開発がすでに始まっている;いまのところmRNA型が有利だというが

新型コロナウイルスにオミクロン株が登場したことで、新たな恐怖が世界に広がっている。まだ、その性質がよく分かっていないのだが、ともかく可能な対策はとらなくてはならない。なかでも機敏に動いているのが、コロナワクチンを供給してきた製薬会社である…