HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

英国でオミクロン株の最初の死者がでた;なによりも正確な状況の把握が必要だ

現地時間の12月13日朝、英国のジョンソン首相は同国でついに最初のオミクロン株による死者がでたと発表した。感染は早いが症状は軽いとの予想が広がっていたが、一転して死亡の危険が現実のものとなった。ジョンソン首相も「オミクロンでは死なないという判断は間違っている」と強調した。

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このジョンソン首相の会見を報じたBBCに始まり、いっせいに世界中で「オムロン株で最初の死者」のニュースは報じられている。たとえばCNBCはすぐにスカイ・ニュースで報じられたジョンソン首相の言葉をネット上で報じた。

「オミクロン株はややマイルドなバージョンだという考えは脇に置いておいて、この株がきわめて早いスピードで人びとに感染していくということを認識しなくてはならない。わたしたちができることは、3回目の接種を受けることだ」

英国のあるメディアは「首相が国民にできるのは、3回目の接種を勧めるだけ」などと報じていたが、ちょっと大人気ない感じがする。しかし、いまも英国は毎日5万人前後の感染者を出しており、ロンドンの感染者のうち40%がオミクロン株だという説が報じられている。死者が出たとなれば、恐怖が高まるのは当然で、こんな報道も政府の無力に対する焦燥から出ているのだろう。

CNA電子版は英国ジャヴィド保健相の「フェノメナルな(ものすごい)感染力」という言葉を伝えた。さらに保健相は「10人のオミクロン感染者が入院中」と語り、「オミクロン株は、たぶん(プロバブリー)、すでにロンドンでは感染の40%がオミクロン株だ」と述べている。

もちろん、オミクロン株に感染すると必ず重症化するということではなく、これまでの報道ではワクチン2回接種者の場合には感染回避の有効性が落ちるが、ブースター(3回目の接種)を行うとそれが比較的高い有効性(CNAの報道では「70%以上」)が期待できるというものだった。ここに、「しかし、感染すれば場合によっては重症化して死亡する危険がある」という現実が付け加わったということである。その「場合」の詳細はまだである。

「亡くなった人がオミクロン株に感染していたのか、また、オミクロン株が死亡の原因なのかも明らかではない。英国保健局は死去した人は病院で診断されたが、これまでのワクチン接種歴については、はっきりしていないと述べている」(ウォールストリート紙12月13日付)

最初にオミクロン株が確認された南アフリカでは、専門家たちは「たしかに症状はデルタ株より軽いように見えるが、重症化しないということではない」と語っていた。なお、いまのところ南アフリカでは死者は確認されていないようだ。