新型コロナのパンデミックはいまも続いていて、感染や重症化の度合いも国によってマダラ状になり、これからどうなるかの予想は難しい。そんななかで、コロナワクチンに何を選ぶかの問題はいよいよ重要になっている。もちろん、個人が勝手に選べる状況にはないが、自分が接種してもらうワクチンは、全体でこんな位置づけだと分かるのは悪くない。
何度か紹介しているが、英経済誌ジ・エコノミストはコロナ禍が始まって以降、かなり力を入れてコロナ禍に関するデータを、整理し分析して発表してきた。同誌11月17日号は「デルタ株に対してどのワクチンが有効か?」という記事を掲載いる。文章は長くないが、分かりやすい図版をつけている。図版を中心に引用しておくので参考にしていただきたい。群青色のドットが入院を阻止する有効性、空色のドットが感染(症状をともなった感染)を防ぐ有効性である。(説明は図版の下に)
さまざまなワクチンが並んでいるが、上からモデルナ、ファイザー=バイオテック、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンは多くの人が知っているワクチンだと思う。以降のSichuan Clover Biophamaceuticalは中国の四川省にある企業、Suputnik Vはロシアのワクチン、Bharata Biotech(Covaxin)はインドの会社(ワクチン)、Sinovac(coronaVac)/Sinopharmは中国の企業(ワクチン)である。
同誌は簡単なコメントをつけているが、興味深い点だけ拾っておくと、ロシアのスプートニクVの入院を防ぐ有効性が、セント・ペテルブルグでの治験では68~88%という数値が発表になっており、これはジョンソン&ジョンソンの79~84%に(入院を防ぐという点では)ほぼ相当するレベルにあるということ。
また、感染阻止の有効性については、なんといってもモデルナとファイザー=ビオテックのメッセンジャーRNA型ワクチンがずば抜けているが、アストラゼネカもカナダでのデータでは69~95%と、英国での61~72%よりずっとよい結果を出しているのは注目に値すると指摘している。
さらに、中国のワクチンについては、広範に使用されているシノヴァックやシノファームのワクチンは、残念ながらデルタ株に対して、それほどの数値を出していないことから、「こうした結果からすれば、中国の(ワクチンを接種するいっぽうで徹底した地域封鎖などの方法による)『ゼロ・コロナ政策』はあまり達成可能とは思われない」と述べている。