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東谷暁による「事件」に対する解釈論

恒大集団のリゾート島計画も破綻した;いよいよ中国不動産バブル崩壊は核心へ

資金繰りで苦しむ恒大集団のリゾート地計画が事実上破綻した。1月4日、同社は、海南島で進めてきたリゾート施設「オーシャン・フラワー・アイランド(海花島)」をめぐり、地元当局から39棟の建物の撤去を命じられたことを公表した。この海花島はドバイの人工島リゾートをモデルに進めてきたプロジェクトだった。

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「1月4日のステイトメントで、恒大集団は39棟のビルディングを撤去するように命じられたことを認めた。中国南部海岸沖にある海南島の当局から命じられていたことは、すでにソーシャルメディアや中国メディアによって報じられていた」(ウォールストリート紙1月4日付)

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wsj.comより:リゾート人工島の計画も破綻した


1月3日には香港証券取引所の恒大集団の株式が、取引停止にされて話題になっていた。恒大は内部情報を開示するまでの一時的な措置だと述べていた。4日には再び取引が開始されて1.3%の上昇をみせているものの、勢いはないらしい。

そのいっぽうで、1月4日には恒大集団が発行した理財商品(資産運用商品)を購入した投資家たちが100人ほど、広州市の同社ビルに押しかけて、資金の返済を要求する抗議活動を行っている(ロイター1月4日付)。利回りが12%の商品で、購入するとグッチのバッグやダイソンの掃除機がもらえたという。抗議活動に参加した女性は「希望が持てない。不安だ。とはいえ、自分の権利ゆを主張しないと、さらに損することになる」と語った。

いよいよ、恒大集団の資金ぐりが本格的に滞ってきた様子で、これから恒大集団の本当の経営実態が、あとからあとから明らかになっていくと思われる。バブル崩壊したときの破綻企業によくみられるパターンだが、これは恒大集団だけの話ではない。このプロセスは、数十年続いてきた中国の不動産バブルの断末魔で、どこまでどれくらいの速度で内情をあらわにするかを予想させる事例になるだろう。

【追記】1月5日11:49 朝日新聞電子版1月5日7:00は「中国メディアは4日までに、この住宅について、地元政府が中国都市農村計画法違反に当たるとして10日以内に取り壊すよう命じたと報道。期日までに解体しなければ当局が取り壊すという。20年5月にも環境保護を理由に販売停止を要求されていた」という。

また、ワシントン・ポスト電子版1月4日4:13は「10日以内の撤去は恒大集団の出方次第によると、名前は不明だが当局の役人が官製メディアのナショナル・ビジネス・デイリーに語った。『もし恒大集団が政府に再考を願いでるなら、多少の時間がかかることになるプロセスをへることになる』という」。いずれにせよ、違法が理由になっているが、かなり政治的な撤去命令であるように思われる。