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東谷暁による「事件」に対する解釈論

中国の感染爆発はこれからどうなる?;ネット上のサーチが示す悲惨な近未来

中国の感染爆発について、もう少し細かい部分をデータで見てみよう。ネット上のサーチエンジンから明らかになった近未来はかなりネガティブだ。そのいっぽうで中国政府は、海外からの渡航を奨励し、また、海外への渡航も加速しようとしている。「経済を回す」ためらしいが、どこまで勝手な国なのだろうか。しかし、この国の内部では年末にかけて、火葬場にさらに長い車の列が並ぶという予想も出ている。


すでに約2億5000万人が感染し、これからの数カ月で150~200万人の死者が予測されているというのに、中国政府はしゃかりきになって、経済を回そうとしている。しかし、こんなのは国際社会の反発を生んで、思い通りにはいくわけがない。すぐ近くの列島あたりには、自国に商機があると思っている政治家がいるかもしれないが、いま中国とのビジネスを展開するのは、単なる馬鹿げた暴挙になるだけだろう。

経済誌ジ・エコノミスト12月28日号は、中国最大のサーチエンジンバイドゥ」を用いて、急激に進展している中国の感染爆発の様子を浮き上がらせている。こうしたビッグデータ(ああ、もう懐かしい言葉になった)を使ったサーチは、現象の「代理」となる数値を利用するので、場合によればとんでもない予測をしてしまうこともある。そのことを念頭において、同誌のチームは妥当と思われる数値のみを並べている。

まず、「抗原」と「解熱剤」というキーワードの日毎の頻度数は、12月中頃にピークを迎えたという。抗原が9月と10月の平均の60倍に達し、解熱剤も37倍に達した。それまでの最高値と比べても、前者が14倍であり後者が13倍になっている。なお、このワードの抗原にはコロナの即時検査の数も含まれ、また、解熱剤には何種類かの家庭用薬品も含まれているとのことである。

The Economistより:中国の電車内での風景

 

もちろん、抗原や解熱剤というワードが増えたからといって、ただちにコロナ禍の激しさを示すとはいえないかもしれない。しかし、バイドゥのサーチでは同時に「熱」や「血中酸素」といったワードも頻度が急伸している。熱は9月と10月の平均の32倍、血中酸素は19倍に達している。また、「連花清瘟」というインフルエンザに用いられてきた漢方薬のワードは9月~10月に比べて40倍にも増加した。

興味深いのは、このように頻度数が急速に伸びたワードの中には、12月26日になると急速に頻度が低下したものがあったことだ。解熱剤、抗原、熱、連花清瘟などは、12月14日~17日をピークに、それぞれピークの26%、31%、32%、39%に下落してしまった。そのいっぽうで、血中酸素やコロナというワードは、依然として伸びているという。

この現象には、小休止であったり偶然であったりと、いろいろ理由が考えられるが、一番有力なのは「受容可能性の縮小」、つまり、あまりに急速に感染者が多くなったので、いま感染中のウイルスが、他の人に感染しなくなってしまった、という現象ではないかと見られているという。


もうひとつ、興味深い現象がみられた。それは「葬式サービス」というワードで、不思議なことに前回の感染ピークのころと、それほど変わらないレベルにとどまっていた。しかし、それは、感染が明らかになった時点から、その犠牲者になる時点までには、およそ2週間から3週間かかるのが一般的である。ということは、この期間がすぎれば急伸するわけでで、事実、すでに9月~10月の4倍に急伸して、前回の感染拡大のときより64%の増加がみられた。このペースで進めば、今年の最後の週が最悪の時期となるという。こんな状態で、いま「経済を回す」ことなどできるのだろうか?