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東谷暁による「事件」に対する解釈論

中国のコロナ感染者はすでに2億5000万人に!;この巨大な波に対して日本はどうするのか

中国のコロナ感染者が2億5000万人に達したらしい。これは中国人口の約18%に相当し、12月に入ってから20日間での数値だという。ゼロコロナから転じて、ほとんど放置したような中国政府のやり方は、コロナ政策の体をなしていない。すでに海外からの批判もあるが、日本政府はこの国からの渡航をどうする気なのだろうか。

 

英経済紙フィナンシャル・タイムズ12月23日付は「中国は2億5000万人がコロナに感染したと推計している」との記事を掲載した。「この推計は、今週火曜日だけの感染者数、3700万人=中国人口の2.6%を含むもので、中国の感染研究機関であるCCDCPの副部長であるサン・ヤンが提示したものだ」。

ヤンによればコロナの感染率はいまも上昇し続けており、北京や四川省ではすでに半数以上の人が感染してしまったと推測されるとのことだ。この数値は専門家の内部だけで議論されているものだが、国家保健委員会(NHC)が発表した、コロナ感染の兆候がある人の数値である6万2592人とは大きな開きを見せている。もちろん、習近平はいまの事態に何のコメントもしていない。

信頼できるデータが発表されていないことに業を煮やしたアメリカ政府やWHOは、中国政府に感染者数、症状の度合い、入院者数などのデータを、公表するように要請しているようだ。しかし、そもそも、数日前に中国政府高官が「中国でのコロナによる死者数は、基礎疾患をもっていた死者を含まない」と発表したことからも、少なく見積もるためのさまざまな「仕掛け」があるとみられ、先進国での標準的な基準のデータは得られそうにない。

ft.comより:この20日で2億5000万の感染者が生じている

 

こうした状態の中国について、ゼロコロナを放棄したとき、すでに予想はされたはずなのだが、日本政府はどのように対応するのか、さっぱり方針が発表されていない。日本マスコミも「爆買い」を期待してきた小売業に配慮してのことか、問題の核心を突くような報道を避けている。しかし、もう、そんなレベルの感染爆発ではないことは、感染と死者数予想の数値をみただけで自明ではないのか。

 NHCは12月24日における地方感染者数を4103人としているが、いっぽう、上海では同日に2万460人の感染があったと発表していて、統一した基準というものがないことが暴露されている。また、中国当局は12月1日の死者をわずか8人としているが、前述のように基礎疾患をもっていた人はコロナ死ではないという、あまりにも勝手な基準で計算している。中国CDCのグループが発表した死者予測は100万人であり、ジ・エコノミストが公表したシミュレーションでは150万人と予測している。

こうした状況のなか、日本でも「中国ですら規制を解除したのだから、日本も従うべきだ」という、まったく倒錯した発言をする人がいる。中国はコロナ対策を放棄したのであって、別の対策に移行したのではない。まがりなりにも日本ではコロナ対策を継続しており、欧米諸国に比べて100万人あたりの死者が米英と比べて8分の1、スウェーデンと比べても5分の1程度のレベルを維持している日本と比べるのは馬鹿げている。中国なみの規制放棄をして感染爆発をさせていれば、たしかに感染による免疫をもつ人は増えただろう。しかし、同時に巨大な数のコロナ死者が生まれていたのである。

この投稿は速報であって、これからの報道を反映したものを予定している。日本の研究者たちはどう考えているのだろうか。こういうときのために、これまでの統計的な研究があったはずである。また、日本の政治家たちは、なぜ動いていないのだろうか。爆買い誘導やGOTO加速だけが政治ではないだろう。