HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

いま始まるアベ・ロスの悲惨;安倍の取り巻きたちは新しいネタを探すだけ

安倍晋三首相が辞任の意向を決めたとのことである。あまりにも遅いというのが、まず、脳裏をよぎった感想である。これまでも、辞める機会はあったはずであり、そもそも、辞めるための準備をしておくべきだった。

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今回の辞任を「病気を口実にした」とか「逃げ出した」とか言って、その無責任を批判しようとは思わない。なぜなら、もうすでに無責任は十分に降り積もって、誰の目にも明らかだからである。

安倍首相の売り物であったはずの憲法改正についても、あれほど出鱈目な方針を出したことが、これからの憲法改正にとって、どれほどの悪影響を残したか、本人はまったく気がついていないだろう。つまり、そういう類の政治家だった。

もうひとつの売り物のようにした外交においても、ただ単に海外旅行をすることが、外交であったと考えていたとしか思えない。あれほどの回数で外国首脳と会談しておきながら、いったい何か業績が残せたのだろうか。TPPしかり、日米経済協定しかりである。アベノミクスなどは、ただのごった煮だった。

しかし、いま疲労感を伴って思い出すのは、実に多くのいわゆる保守系知識人が、安倍首相のもとに駆け付け、そして可能なかぎり堕落していったということである。政治に参画しないということは寂しいことだと述べたのはケインズだが、安倍首相の周囲に集まったいわゆる保守系知識人はたんなるミーハーか、自分のための利益誘導のための営業活動にすぎなかった。実に、寂しい風景が広がっていたというしかない。

これから始まる「アベ・ロス」は、こうしたグロテスクで悲惨な自称保守知識人たちの退却なのだろうか。そうではない。すでに保守系新聞が後継者と目される人物のインタビューを掲載し始めていたように、安倍首相の取り巻き立ちは、すぐにも新しいぶら下がりの対象、新しい金儲けのネタ、新しいトラの威探しをするだけのことだ。

いまさら、恥を知れなどとはいわない。これからも、よろしくやっていけばいい。そこら中に、新しいアベさん、新しい似非保守主義者、新しい政治アイドルがいくらでもころがっている。また、応援団をつくればいいし、どんな情けない行為でも、弁護すればいいのだ。この手合いの、見るもグロテスクな姿を観察することができるのが、安倍晋三の日本に残した唯一の貢献といえるだろう。

 

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