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東谷暁による「事件」に対する解釈論

ついにウクライナの反転攻勢が本格化した;ドイツ製戦車レオパルトが前線に姿をあらわす

ウクライナの反転攻勢はすでに開始されている。ドイツが供与した戦車レオパルトも、前線に登場したと報じられた。非公式ながらウクライナの兵士は同国の南東部の前線で反転攻勢に入っていると認めている。いっぽう、ロシア軍高官はザポリージャの戦線で西側戦車を含むウクライナの反転攻勢を「撃退」したと発表した。


ウクライナ政府はドイツ製のタンクを同国南西部での戦闘に投入しており、すでにこれまで準備してきた反転攻勢の最初の本格的装備による攻撃を始めたことが明らかになった」と報じたのは英経済紙フィナンシャルタイムズ6月5日付である。同紙によれば、2人の軍人、西側のキーウ滞在の高官、そして軍事アナリストたちが新しい動きがあったことは明らかだとしている。

また、米紙ワシントンポスト6月6日付の速報は「これまで準備中だったウクライナ軍のロシア軍に対する反転攻勢がすでに始まっており、ウクライナによる領土奪還のため西側諸国の支援を得た戦争の局面に突入しつつある」と報じている。ウクライナ軍の兵士はすでに同国の南東部で戦っているが、戦闘についての発言は許可されていないので匿名を条件に証言しているとのことである。

ワシントンポスト紙より


海外のテレビ報道では、ダムの決壊によって水浸しとなったヘルソンを中心とする地域にロシア軍が攻撃を継続しており、海外の人権団体が救助活動を認めるように交渉していとのニュースも流れている。

ダムを破壊したのはロシア側だというのが、西側メディアの主張となっているが、以前にもダムの確保が問題になったとき、ロシアが自国領土だと本気で思っているなら、占領後を考えれば決壊させるようなことはしないだろうとの予測もあった。これがロシア側の破壊だとすれば、当面の戦闘を最優先せざるを得ない危機的な状況にあるということになる。

ジ・エコノミスト誌より

 

ドイツが提供した戦車が戦場に姿をあらわしたことが、なぜ本格的な反攻の始まりなのかについては、少し説明がいるかもしれない。それは武器というものは訓練が必要だということである。たとえ、西側諸国がハイテク武器を供与しても、それがウクライナ軍の兵士が使えなければ意味がない。だから、西側諸国は供与すると同時にインストラクターを「義勇兵」の名目で送り込んでいる。戦線に登場したということは、その準備がようやく終わったということである。


ウクライナ軍は南部での突破を確実にして、ロシア本土とザポリージャおよびヘルソンをつなぐ『陸橋』部分を奪取して、いまモスクワの占領下にあるクリミアへの補給線を切断しようとしている」というのが、前出フィナンシャル紙の見方で、これはこれまでも反転攻勢の第一目標であることは、このブログでも紹介してきた。この作戦が成功すればウクライナ軍の優勢は決定的になるだろう。とはいえ、それが戦争が終わるという最終的な勝利ではないことも確かである。