HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

日米FTAのみじめさ;TPPに参加した当然の帰結

この問題について、いまさらあれこれ安倍政権に苦言を呈したところで、安倍首相はいたくもかゆくもないだろう。さすがに、この8月25日にフランスのビアリッツで、得意満面のトランプ大統領にひきまわされて記者会見したときには、浮かない顔をしていたが…

世界経済の転落はもうそこまで来ている

争点らしい争点もないままに参議院選挙が終わり、政治の季節は過ぎ去ったような気持ちになっていたが、こんどはアメリカの経済があきらかに変調をきたしはじめた。いや、そんなことはとっくに分かっていたのだが、トランプ大統領の勢いに圧倒されて、国際経…

新しいお金の理論にはご注意を;支配するつもりで支配される

1980年代のアメリカ経済学は「マネタリズム」の時代だった。米ケインジアンとの激しい論争を制して台頭したミルトン・フリードマンの経済学が、「ヴードゥ経済学(呪術経済学)」と言われたアーサー・ラッファーの「サプライサイド経済学」とともに、レ…

お気の毒なケルトン教授;ご都合主義的な日本のMMT派

先日、MMT(現代貨幣理論)のマドンナであるステファニー・ケルトン教授が来日して講演と記者会見に臨んだ。講演や会見では、その時間のほとんどが、これまでのMMTの主張に終始しており、ネットを含む新聞や雑誌の報道も、こうした大筋の話に集中して…

MMTの思想的背景:歴史学と文化人類学

日本では最近になって注目されるようになったMMT(現代貨幣理論)だが、欧米ではそれなりに思想的な背景があって形成されたものであることは間違いがない。政治的な背景についてはすでに書いたので、ここでは経済学以外の分野での動向をみておくことにし…

忘れられた論争の歴史:ハイパーインフレと財政赤字危機

デフォルトとインフレについて、定義も条件もなしに論じる傾向があることは、すでに述べた(デフォルトとインフレ:定義なしのデタラメ論議)。今回はハイパーインフレと財政赤字について、すでに忘れ去られた、あるいは故意に忘れたことにされている研究に…

デフォルトとインフレ:定義なしのデタラメ論議

いよいよ消費税増税が現実のものとなりつつあるなかで、増税に反対する議論も盛り上がりをみせている。そのいっぽうで、日本の政府負債が対GDP比で230%に達していることから、財政破綻への恐怖がこれまで以上に高まるとともに、自国通貨でファイナン…