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東谷暁による「事件」に対する解釈論

長生きするには孤独な生活をやめなさい;英国の死亡要因データ分析が教えてくれること

昔から孤独な老人は長生きできないといわれてきた。あるいは、高齢者夫婦のどちらかが亡くなると、もういっぽうも長くは生きていないともいわれる。ほとんど経験則で分かっていることだが、それを律儀にデータ化した研究が英国で発表された。一連の研究では他のファクターもたくさんデータ化してくれているので、いま高齢者になっている人、あるいはこれから高齢者になるひとも、ざっと見ておくと参考になると思われる。


この研究を得意のグラフ付で紹介してくれているのは、英経済誌ジ・エコノミスト2月19日付の「孤独な人は寿命が短いのか?」という記事で、まずは概要を読んでいただこう。「遺伝は意外に寿命に小さな影響しかもっていない。いっぽう、年齢と性別は死亡率の変動を47%も説明しており、環境要因とライフスタイル要因は17%。遺伝要因は3%にすぎない。残りは予測不可能で何ともいえない」。

大きい影響を与えていそうな遺伝は、寿命にはそれほどではない


ネイチャー・メディシン誌2月17日号に掲載された研究の結論から見てもらったが、同研究は生物医学データベース「UKバイオバンク」を使って、人びとが老化を遅らせ、長生きさせる要因は何なのかを探求している。このUKバイオバンクには、50万人の詳細な遺伝的・医学的データのほか、収入、ライフスタイル、生い立ちに関する情報が含まれているという。もちろん、これは英国のデータであり、また、この研究が人生を左右するとは思えないが、当面の自分の生活を考え直すきっかけにはなるかもしれない。

寝すぎているとかえって寿命には悪いかもしれない


たとえば、この研究では死亡率にもっとも強い影響を与える環境要因を特定しようとしている。喫煙者は、同じ年齢、性別をもつ非喫煙者と比べて、早死にするリスクが60%も高いことが分かる。より高い教育を受け、雇用され、裕福であることは、もっとも寿命を延ばす要因のひとつだ。また、運動が死のリスクを下げる確率は約25%にも達している。こういうことを知っていれば、いい成績をとってサラリーマンになり、高い給料をもらって適度な運動をすれば、多少は長生きできると思えるだろう。

この研究でやはり注目すべき点は、社会的なつながりが意外なほど長生きの要因となることを示したことである。パートナーと一緒に暮らすことは、運動と同じくらい有益。家族と定期的に会い、信頼できる人がいることも死亡リスクを下げる。逆に、孤独は早死にの高いリスク要因であり、社会的に孤立している人は細胞の炎症を起こしやすく、免疫反応が弱い傾向がある。ただし、こうした社会的要因は直接なものではない可能性もあり、間接的なものであるかもしれない。

肺疾患と肝臓疾患は環境要因がかなり大きいようだ


環境要因が他の要因よりもいくつかの疾患において大きな影響があることも分かった。肺疾患と肝臓疾患の羅漢率の約35%は環境要因によって説明できるという。ただし、遺伝が支配的な特定の癌の場合には、環境要因は小さくなる。たとえば乳癌は、BRCA2遺伝子の変異によって引き起こされることが多い。認知症などの脳疾患も遺伝的関連性が強く、APOE遺伝子の変異はアルツハイマー病の発症リスクを大幅に高めると思われる。

これらの研究結果を見るさいの注意点についても同誌は書いて入れくれる。いちばん大きな注意点は、この研究はデータ分析によって行われているので、あくまで相関関係についての示唆であり、因果関係による決定ではないということだ。「自宅に暖炉を設置して、チーズを大量に食べたからといって、老化を遅らせる効果はほとんどないが、これなどは英国においては富裕層かどうかとの強い関連が考えられる。とはいえ、この研究結果は社会的なつながりや精神的な健康が、早死にを防ぐのに身体的な体操と、同じくらい重要である可能性を示唆してくれている」。