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東谷暁による「事件」に対する解釈論

ハリスとトランプの戦いは再び大接戦に!【増補】;いったんハリスが有利になり、またトランプが盛り返す

ハリスとトランプの戦いは、ハリス有利からトランプ有利に逆転し、そしてあと1週間を切ったところで大接戦になっている。なんだかアメリカ・マスコミがたくらんだのではないかと思えるほどだが、英経済誌ジ・エコノミストのかなり精度の高い予測によれば、50対50になったというのだ。【増補】部分は文末に


これまでもジ・エコノミストの予測を紹介してきたが、見ているだけで興奮するような経緯が続いており、同誌電子版10月31日付のデータでは「予断を許さない」という言葉がぴったりな状況が生まれている。バイデン大統領がトランプ支持者を「クズ」と呼んだというので、ハリスがさらにマイナスになるのかと思ったが、このクズ発言による危機などものともせずに、一気に6%上昇しているのは、やはり民主党支持者およびトランプ批判者が盛り返したからだろう。


そしてもうひとつ、やはり激戦州での動きがここにきて不安定になったのが大きい。一時はトランプが全部を取りそうな勢いだったが、ハリスが盛り返しているようだ。しかし、まだまだトランプのほうが4つの州を取っているので逆転したわけではないが、この流れが選挙まで続けばハリス大統領をみることになるかもしれない。


しかし、そうなった場合の予測も英経済紙フィナンシャル・タイムズ10月31日付が試みていて、ハリスが勝った場合には共和党の「軍団」が動き出して、トランプに対する法的な弾圧が加わったせいで、地方、州、全米のレベルでトランプはきわめて厳しい状況に置かれた点を何カ月にもわたって追及するつもりだと指摘している。トランプは負けたときには負けを認めないことで、アメリカの政治を混乱させるという予測はこれまでも多くあり、かなりの確率で現実のものとなりそうである。

この事態はもちろん予想されていたが、同誌は少し前まではトランプ優位が続くのではないかとの予想をしていた。しかし、現実には精密な統計学的な予測のテクニックより、世論の不安定さのほうがまさっていたというべきだろう。それはまさにアメリカの「分断」がいかに複雑であるかをも示している。

 

【増補】

11月3日のジ・エコノミストの統計では、ふたたびトランプが有利になっている。もはや、予断を許さないというより、結果は神のみぞ知るという乱戦である。データだけを紹介するので、ご覧いただきたい。いずれにせよ、激戦州の動向がこの乱戦の行方を決めてしまうだろう。

ご覧のように、激戦州でもハリスが優勢になったと報じられたが、ジ・エコノミストの統計では再び赤のトランプが盛り返してしまった。英経済紙フィナンシャルタイムズ11月3日付は「世論調査によれば民主党が激戦州で勢いを得ているが、この選挙は歴史に残る激戦となっている」と書いている。ジ・エコノミストのニュアンスとはちょっと違う。日本ではトランプの圧勝と大胆な予測を立てている人もいるようだが、その理由というのが「かくれトランプ支持者が多い」というものらしい。かくれハリス支持者もいるのではないかと思うが、それは統計には出てきにくいだろう。

 

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