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東谷暁による「事件」に対する解釈論

速報!ウクライナのバフムト陥落か?;ワグネルが東部でロシア国旗を掲げたとの情報

欧米の複数のメディアが、ウクライナの戦略的都市バフムトの東部を、ロシアの軍事民間会社が占拠したのではないかと報じている。ウクライナ政府はこの声明を否定しており、まだバフムトはウクライナがコントロールしていると述べているという。

写真はウォールストリート紙の同記事より

 

そのうちの1紙ウォールストリート紙4月3日アメリカ時間7時41分の電子版は「ウクライナのバフムトは戦いがエスカレートし、ワグナーのチーフは街の東部でロシア国旗を掲げたといっている」との記事を掲載している。

「最前線のバフムトでは、激しい戦いが続いているとウクライナの大統領がコメントするなかで、ロシアの民間軍事会社ワグナーグループのリーダーが、この街のシティ・ホールの近くでロシア国旗を掲げたと述べている」

ウォールストリート紙より

 

ウクライナ側の司令官はバフムトにいるロシア軍を消耗させており、ウクライナ軍はこの一帯を再び奪還するだろうと語っていた。そのいっぽうで、ロシアの国防相はこの都市を占領すれば、ロシア軍がさらにドンバス東部の勢力圏を拡大できるだろうと予告していた。この街は両軍にとって戦略的都市となっていたわけである。

そうしたなか、ワグナー・グループの創始者イフゲニー・プリゴジンは、「われわれの戦士たちは、バフムトの近くで戦っている。とくにこの街の戦いは熱いものになっている」と述べていたが、4月2日(日曜日)に発表したビデオのなかで、バフムトのシティ・ホールの近くで、彼がロシアの国旗を掲げる様子を紹介したという。

フィナンシャルタイムズ紙の関連記事より


「われわれは国際法的にもバフムートを占領した。部隊の隊長たちは行政の建物を占拠し、中心的な区域にはロシアの国旗を掲げることになるだろう。彼らはバフムトを占領したのだ」とプリゴジンはビデオのなかで興奮して語っている。そのいっぽうで、彼は4月1日(土曜日)深夜のビデオでは「ウクライナ軍は市の西側にまだ残っている」とも述べていたという。ここらへんが、疑問が生まれる根拠となっているようだ。

ウォールストリート紙より

 

ウクライナ大統領府主任のアンドリィ・ヨルマクは「ロシアのバフムト占領との主張はフェイクであり「とうてい本当ではありえない」とウクライナ民間軍事会社を非難しており、また国防副大臣ハンナ・マリアは、4月2日に「バフムトの状況は緊張が続いている」と語っていたという。

この時期にウクライナのゼレンスキー大統領はポーランドを訪れることになっていたが、いまのところ中止になったという情報は入っていない。状況も情報もかなり混乱していて、数時間後にはもう少し本当の状況があきらかになるか、あるいはまったくのフェイクだったということもありうるかもしれない。