HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

米国の平均寿命があまりに低いのはなぜか;他の先進国より6年も早く死ぬ謎を解明する

アメリカの平均寿命は、他の先進諸国に比べて6歳も低い。最近はオバマケアもなんとか定着傾向にあり、癌治療による生存率は世界一だ。それなのに何故? 世界の政治経済を支配している国の不思議な現象は、実は、これまで必ずしもよくわかっていなかった。し…

中国の台湾侵攻の時期をデータから読む;空軍基地の設備や経済指標で予測する試み

中国は本当に台湾に侵攻するのか。それは何時どのようにして? しかし、これまで中国が着々と進めてきた準備に変化が生まれている。侵攻を成功させるための基地の増設や、戦時中の食糧を維持するための穀類の備蓄に、かなり大きな変化が発見されるようになっ…

中国の外相が失脚した原因は何か;秦剛と王毅との暗闘を推理する

中国の元外務大臣・秦剛が行方不明になってから1カ月を超えた。外務大臣には政治局員に出世していた王毅が復帰したが、今回の混乱については憶測や噂が絶えない。それはもちろん事件の異常さにもよるが、米中の緊張が高まると同時に、ウクライナ戦争も微妙…

クリミア橋が再びウクライナに破壊される!;ロシアにとっての実質的および象徴的意味を考える

クリミア橋が再び攻撃され、かなりの損害が出たと報道されている。ロシアにとってクリミア半島とロシアをむすぶ唯一の橋といわれ、その破壊の度合いによっては、これからの戦局に大きな影響を生み出すと思われる。ロシアとしては、なぜ2度目の攻撃が阻止で…

中国経済が勢いを失っている;コロナ対策失敗のツケが大きく回ってきた

中国経済の第2四半期は予想どおり思わしくなかった。奇跡的な復活を煽っていたビジネス誌もあったが、無理やりコロナ政策を変更して150万人ともいわれる死者を出し、それでも経済が順調に成長したら、それこそ世界中の人間の努力をあざ笑うものになって…

プリゴジンのソーシャル・メディア帝国;なぜレストラン経営者が軍事ビジネスを支配できたか

反乱の直後は、ロシアを救う英雄のように称賛されたプリゴジンは、いまや行方知れずとなった。私邸に捜査の手がおよび、変装写真や膨大な資産が暴露されつつある。なかでも彼が支配していたソーシャル・メディアの規模は予想よりもかなり大きく、あれほどロ…

ゼレンスキーはNATOから何を得たのか;ウクライナ戦争の実像が浮かび上がる瞬間

はたしてウクライナはNATOから望むものを手に入れたのか。7月12日に閉会したNATO首脳会議に出席したゼレンスキー大統領は、「領土とNATO加盟を交換する気はない」と語っている。今後、NATOへの依存が大きくなればなるほど、ロシアによる…

プーチンは反乱直後にプリゴジンと会っていた;ロシア政府の発表は何を意味するか

プーチンは反乱直後のプリゴジンと会っていた。このとき、プーチンはプリゴジンを含む傭兵隊ワグネルの経営陣と司令官たち35人と約3時間、会談を続けたという。ロシアのペシュコフ大統領報道官が7月10日の記者会見で語ったことで、まだ、専門家たちの…

ウクライナはなぜロシアを一気に放逐しないのか;プリゴジンの乱で明らかになった肝心な事

プリゴジンの反乱によってロシアの脆弱な状況が露呈したと、メディアは毎日のように報じている。しかし、それならば、なぜウクライナは一気に攻勢をかけてロシア軍を放逐してしまわないのだろうか。この謎に迫るには、まず、プリゴジンの反乱とはどれほどの…

プーチンとプリゴジンは双子の兄弟だった;ただし兄は大統領になり弟はいかがわしい商売人だった

反乱は失敗したものの、悪辣なプーチンに逆らったとして、プリゴジンを英雄視する者が増えている。しかし、間違ってならないのは、彼は大量の若者の血を叩き売って這い上がった人物だという事実である。ワグネルにしても最初は民間軍事会社で報道していたが…

プリゴジン以後のプーチンの運命;戦争継続どころか政権も危うい?

ロシアの傭兵隊長プリゴジンの反乱は、軍事組織内の対立を白日の下にさらしただけではなかった。ほかでもない、プーチン大統領による内政の手法のほころびも暴露してしまった。プーチンが直面しているのは、ウクライナによる反転攻勢の激化だけではなく、国…

ワグネルの反乱はプリゴジンの亡命で決着なのか;ロシアの内乱はウクライナ和平を遠ざける

ロシアの傭兵隊ワグネルの反乱は、創始者プリゴジンのベラルーシによる受け入れ、反乱軍への罪は問わない、反乱に参加しなかった隊員は正規軍に繰り入れるとの、一見、ずいぶんと寛容な線で落着しているように見える。しかし、プリゴジンがなぜここまで抵抗…

ウクライナの反転攻勢はいまどうなっているか;衛星データで推測する戦場の現実

いまウクライナの反転攻勢はどうなっているのか。宇宙から砲火の密度を観察することによって、戦況を推測したときのデータが公表されている。それで見ると意外なことに全体としては密度が低下しており、砲火はバフムト東方の地域に集中しているように見える…

プリゴジンはついにお払い箱になった?;彼がここまでやれた権力と根性の秘密

ロシアの傭兵隊ワグネルの創始者プリゴジンが排除されようとしている。プーチンは他の民兵組織を含めて、ショイグ国防相の指揮下に入れる方針を決めた。いよいよウクライナの反転攻勢が始まるなかで、ロシア軍組織を強化する意図があると思われる。プリゴジ…

ウクライナの反転攻勢は失敗したのか?;オーストリアの戦略専門家が分析する

満を持して反転攻勢をかけたウクライナ軍だったが、大きな成果が上がったようには見えない。それは予期されたことだったのだろうか? オーストリア軍のマルクス・ライスナー大佐は、独紙フランクフルター・アルゲマイネのインタビューに答えて、反転攻勢の緒…

ウクライナの反転攻勢で広がる「戦場の霧」;主戦場はどこか、レオパルトは強くないのか、ダムを破壊したのは誰か

ウクライナが大規模反攻に出たことは、同国のゼレンスキー大統領が認め、プーチン大統領も明確に同意している。明確でないのはどこが中心的な戦場なのか、独製戦車レオパルトが何両破壊されたのか、そしてヘルソンを水浸しにしたダムの破壊を誰が行ったかで…

ついにウクライナの反転攻勢が本格化した;ドイツ製戦車レオパルトが前線に姿をあらわす

ウクライナの反転攻勢はすでに開始されている。ドイツが供与した戦車レオパルトも、前線に登場したと報じられた。非公式ながらウクライナの兵士は同国の南東部の前線で反転攻勢に入っていると認めている。いっぽう、ロシア軍高官はザポリージャの戦線で西側…

ウクライナの今回の攻勢は何だったのか;精鋭部隊を含まない陽動作戦だが本番は間近だ

ウクライナ軍が反転攻勢を開始したとのニュースは世界を駆け巡った。ところが、肝心のウクライナ政府はそれを否定している。しかし、ドネツクでのロシア軍との衝突は間違いなくあった。何が始まって何が始まっていないのか。例によって両軍の情報戦は激しく…

世界的規模で少子高齢化が急進している;繁栄の未来を失いつつあるのは日本だけではない

日本は少子化と高齢化が急速に進み、そのため社会保障が早晩破綻するとの警告が発せられてから久しい。なかには人口動態がどうであれ、無限の財政出動をやれば破綻しないと主張する人たちもいるが、それは短期的には可能に見えても、数十年以上の長期になれ…

トランプが大統領再選でほぼ決まりの理由;叩かれればそれだけ支持が固まるメカニズム

アメリカ大統領選挙の候補者選びが事実上始まっているが、共和党はトランプが圧倒的な強さを誇っている。そんな馬鹿な、と思う人もいるかもしれないが、女性問題で告訴されたことすら「不当な弾圧」とされて、トランプには有利に働いている。どのようなメカ…

衛星データから読むウクライナ決断の時期;激しい温度上昇は大規模反攻の前触れだ

ウクライナ軍の大規模反攻が何時何処で始まるのか。いまや世界中の注目が集まっている。それは宇宙から衛星で見ていれば、本当は分かっているのではないかと思うのは自然で、実際にサテライト・データによるAI分析が雑誌にも載っている。しかし、そこには…

ゼレンスキーがG7で得た武器とプレッシャー;そして大規模反攻を迎え撃つプーチンの策とは

ゼレンスキー大統領の広島訪問は、原爆に反対するためや、岸田総理大臣に会うためではなく、G7の支援を取り付けているとの演出を世界的に行うためだった。たしかにそれは達成されたかもしれないが、その分、あらたな重い問題がゼレンスキーの頭上にのしかか…

ウクライナをNATOに入れろと言うキッシンジャー;立場を変えた現実主義者の隠れた意図

ウクライナ戦争についてのキッシンジャー発言が話題になっている。これまでの立場を翻して、ウクライナをNATOに入れたほうが、ウクライナおよびヨーロッパにとって安全保障を確立しやすいと述べているのだ。イラク戦争のさいにも、それまでは中東の政治体制…

「素顔」のないプリゴジンの正体;傭兵隊ワグネルの創始者は何者か?

バフムトでのウクライナ軍反撃が続くなかで、傭兵隊ワグネルの創始者プリゴジンについての報道が際立ってきた。彼はウクライナ軍とも取引をしているとか、いや、それは彼を失脚させるためのプロパガンダとか、プリゴジンはもう捨て鉢になっているとかの「報…

ウクライナのロシア軍4機撃墜で「本当の戦争」に突入!;次の攻撃はザボリージャかクリミアか

ウクライナとロシアとの間で「本当の戦争」が始まった。ロシア国内でウクライナ勢力と思われる部隊の攻撃により、4機のロシア軍機が撃墜された。これまでウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナ領土内での防衛」を主張していたが、かなりの確率でこ…

バフムトでのウクライナの反撃は大規模反攻の狼煙なのか;「戦場の霧」の中でさらに過熱する情報戦

ウクライナはすでに大規模反攻に踏み切ったとの情報が流れている。ウクライナ東部のバフムトで小規模ながら奪還を達成しているからだ。もちろん、「戦場の霧」はきわめて濃いので不明な点は多いが、バフムトの反撃が大規模反攻そのものではないとしても、陽…

中国も長期停滞に陥りつつある?;「ピーク・チャイナ」論の憂鬱な予想

中国の経済的繁栄はピークを過ぎたのではないのか? それはゼロコロナを脱却して経済が急速に復活すると楽観したことの反動かもしれない。しかし、中国の経済成長予測は以前よりずっと控えめなものとなり、なかには成長の低下が始まるとする説すら現れている…

ロシア民間軍事会社ワグネルがバフムトを攻略か?;現代の傭兵隊長プリゴジンに翻弄される両軍

やれやれまたかというのが、ロシア国防相たちの思いだろう。ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジンは、激戦地バフムトで再び攻撃を開始したらしい。5月10日にはバフムトから撤退すると言っていたのに、ショイグ国防相が「必要な武器弾薬を送る」…

クレムリンへのドローン攻撃はロシアの自作自演?;むしろプーチンへの批判が高まる危険があった

クレムリンへのドローンによる攻撃は、自国内の反ウクライナ感情を煽るためのロシアによる自作自演だったとの説が世界中に流されている。これは論理的にもおかしいのではないのか。なぜなら、ウクライナによってロシアの中心地が攻撃され、しかも、それを阻…

ウクライナがドローンでクレムリンを直撃!;ロシアはプーチン暗殺の企てと非難している

クレムリンがドローンによる攻撃を受けたとの報道が1時間ほどまえからネット上に流れている。いまのところ明確ではないが、ロシア側の発表によれば、このドローン攻撃はプーチン大統領を狙ったものだったが、プーチンは無事でその他の損害もたいしたことは…