2020-01-01から1年間の記事一覧
安倍晋三首相が辞任の意向を決めたとのことである。あまりにも遅いというのが、まず、脳裏をよぎった感想である。これまでも、辞める機会はあったはずであり、そもそも、辞めるための準備をしておくべきだった。 今回の辞任を「病気を口実にした」とか「逃げ…
8月24日から、香港大学の研究者たちが、いちど新型コロナウイルスに感染して治癒した人が、4カ月半ほどで再び感染した例を発見したと発表して、話題になっている。この現象が頻度の高いものであるなら、新型コロナに対する集団免疫が生じない可能性があ…
コロナ禍に対応するなかで「同調圧力」や「空気」、つまり集団の有言無言による圧力に対する嫌悪が強まっている。他人の顔をうかがいながら暮らさなくてはならない、今の日本は息苦しい。それどころか、日本はファシズムのような恐るべき時代へと向かってい…
8月17日の政府発表によると、日本の4~6月期GDPは前期比で27・8%も減少した。これは1955年に政府統計を作成するようになってから最大の下落幅だというので、激しいショックが日本を覆った。民間シンクタンの予想が約23%だったこともあっ…
英国の経済が急激に縮小して、世界にショックを与えている。第2四半期のGDPが20%以上(前期比20.4%、年率換算59.8%)も下落したのだから当然だろう。しかし、日本のGDPだってそれ以上の下落が予想されている。日本経済研究センターが7…
数日前、テレビを見ていたらNHKが、「ワクチン供給でアストラゼネカと合意」とのニュースを流した。たしか、8月6日だったと思う。翌日にはもっと詳しい情報が報じられて、どうやら、以前からの懸案だった、コロナ・ワクチン開発で先行していたアストラ…
7月31日、加藤勝信厚生労働相は、米製薬会社ファイザーが開発中のコロナ・ワクチンが成功した場合、来年6月末までに6000万人分を、日本に供給してもらえるようになったと発表した。以前、安倍首相が答弁したさいには、英国のアストラゼネカ社と米国…
MMT(現代貨幣理論)の理論家で雇用問題を研究しているパブリナ・チェルネバが、米外交誌『フォーリン・アフェアズ』電子版7月22日付に「ジョブ・ギャランティ(雇用保障)は失業よりずっとコストが安い」を寄稿している。3300万人もの労働者が雇…
英国のメディアが、新型コロナウイルスのワクチンがうまくいきそうだと、沸き立っている。いうまでもなく、同国が誇るオックスフォード大学の研究グループが、かなりいいところまできたというのだから、意気が上がるのも当然だろう。この投稿は、その様子を…
7月16日、中国当局は第2四半期のGDP伸び率が、前年同期比で3.2%増と発表した。日本のある通信社が速報で手放しの肯定的報道をしたが、もちろん、世界中を見渡しても、そのまま肯定的に受け止めたマスコミはほとんどなかった。新型コロナに関心の…
東京都のコロナ感染が急伸して、なかなか数値が低下しない。もちろん、これはPCR検査を拡大している結果でもあるので、アメリカやブラジルのように死亡率が急進しているのとはまったく意味が異なる。しかし、東京都および政府のコメントが、よく理解できない…
何か気の利いたことを言いたい、衝撃的な言動で耳目をひきたいというときの安易な方法が、どこか外国の話をはなはだしく理想化して語るというのは、日本の古代からの悪癖である。これからやってくるコロナ禍の第2波には、スウェーデン方式がいいという言説…
いわゆる保守系の論者たちが、つぎつぎ安倍首相に失望したと、わざわざ場をつくって発言している。そのなかには何かにつけて「切腹」とかを持ち出す人もいるが、おそらく切腹などすまい。なぜなら悪いのは自分ではなく安倍だからだ。そして、今回の失望の理…
英経済誌『ジ・エコノミスト』の研究部門EIUが6月17日に発表した「OECD諸国のコロナ危機対応はどれくらい評価されるか」というレポートでは、「優・良・可・不可」で評価すると、日本は「可」でアメリカが「良」だというので話題になっている。 最初に思…
新型コロナウイルス対策の「スウェーデン方式」が、経済活動の維持においてもほとんど効果がないことが明らかになった。これでスウェーデン方式を大きな根拠としてきた生活と経済を優先するコロナ対策論も、その支えをほぼ失ったといってよい。もっとも、そ…
失業率と自殺数との間には強い相関関係がある。つまり、失業が多くなると自殺する人が増えるのである。この相関関係については各分野からの多くの研究があって、ほとんど疑いのない事実と考えてよさそうである。 この相関関係をさらに拡大解釈して、失業率と…
新型コロナウィルスに対する「スウェーデン方式」は、ほぼ失敗だったと考えてよさそうである。もちろん、これからの第2波において集団免疫が0.5%にも達していないと推定される日本では、それゆえに悲惨な死亡率を記録しないとは限らない。しかし、それ…
6月5日に発表されたアメリカの労働統計は、前回の失業率14.7%から改善したのでトランプ大統領はご満悦で「これはⅤ字回復なんかではない、ロケット発進というべきだ」とうそぶいた。発表前の予想では19%くらいまで行くといわれていたのだから、トラ…
旅から帰ってきたら、麻生副総理が「コロナの死者数が低いのは、日本の民度のおかげ」だと発言して話題になっていた。いかにも麻生さんの言いそうなことだし、ネット上でも「日本人の秩序観や衛生感覚のたまもの」と述べている人は多い。しかし、そうだとす…
新型コロナウイルスの経済的打撃から立ち上がる方法として、先進諸国が採用しているのが青天井かのように加速される財政支出である。もちろん、日本も同様で5月27日に閣議決定された第2次補正予算は31.9兆円、第1次の25.7兆円と合わせて約58…
ウォール街の楽観的ムードが、あまりに実体経済と離れていることが、注目されるようになってきた。連日、ニューヨーク株式取引所の株価は上がっているのに、ロックダウンが解除されても、消費や製造の立ち上がる速度が遅いからである。 この問題を早くから指…
なんとも後味の悪い出来事である。黒川検事長はやめることになったのだから、これでよかったとは、とても言えない。そもそも、これまでのルールを自分の都合で破る人間がいて、そのためこの人が居残ることになっていたわけである。本来、やめるべきは、自分…
アメリカの株価が続伸して、エコノミストのなかには「もうカラ売りができない」と述べている人もいる。つまり、このまま回復基調に入ってしまうと、暴落を前提として仕掛けるカラ売りでは大損してしまうからだ。しかし、そのいっぽうでアメリカの失業率は2…
安倍晋三政権は大都市以外の緊急事態宣言の解除を進めているが、そのいっぽうで地方都市に新たなクラスターが発生してショックを与えている。米トランプ政権も経済再開を目指して経済支援策を打ち出し、株価はかなり回復したように見えるが、失業は急進して…
たとえ悲観論を多く集めても、いくらなんでも長期的に、いまの状態が続くことはないと予測するのが普通である。しかし、早々と新型コロナウイルスの封鎖から脱出したはずの中国経済が、思ったより大きなリバウンドを見せない。いい気味だと感じる人もいるか…
今回は世界の経済がどうなっていくかを見てみよう。ポスト・コロナ社会にあっては、当面は貿易が縮小するから、デフレになると予想する人たちは多い。しかし、需要がないために経済が萎縮するわけではない。サプライチェーンが寸断されるから萎縮するのであ…
第1回で述べたように、コロナ禍が終わった後のポスト・コロナの時代にあっても、仕事や娯楽のあり方が先進国において大きく変わるとは思えない。それらが、濃密な接触を前提として行われることは、これからもほぼ同じだろう。では、経済の仕組みも同じよう…
前回述べたテレワークのデータには、驚いた人がいたようだ。新型コロナウイルスへの対抗措置として緊急事態宣言が発せられても、実施率13%そこそこというのには憤りを感じた人もいて、私の友人は「アメリカは85%だぜ。お前のデータおかしくないか」と…
感染症流行が過ぎ去ったのちに、世界はどんな変貌をとげているのだろうか。目の前の新型コロナウイルスの蔓延も阻止できないのに、そんなことを考えても仕方がないと思う人がいるかもしれない。しかし、目の前の新型コロナ蔓延を克服するにしても、その後の…
まちがいなく、これからやってくるのは「失業の時代」である。これまでも、「就職氷河期」に就職できなかった世代の問題が論じられ、「ロスジェネ」が日本の労働問題の巨大な問題として語られてきた。しかし、これからくる「失業の時代」は、生活のみならず…