HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

2021-01-01から1年間の記事一覧

習近平は毛沢東になった?;2人の指導者による支配はどこが違うのか

習近平の独裁的支配は、かつての毛沢東による文化大革命に発展してしまうのではないかとの説があることは、すでに紹介した。最近の中国恒大集団の経営危機が、習近平の「共同富裕」に示される、かなりイデオロギー的な傾向の規制から始まったからだ。もちろ…

英国がコロナ対策は最低だったと認める;閉鎖的な「集団思考」が14万人の死者をもたらした

英国の下院にある保健社会福祉委員会と科学技術委員会が『コロナウイルス:現在まで得られた教訓』と名づけたレポートを作成、10月12日、下院が発表した。150ページほどのもので、いかにして英国が「西ヨーロッパで最悪」(ザ・タイムズ紙13日付)…

中国が台湾に侵攻するとき;その条件を海峡危機論争から読み取る

中国の習近平が、10月9日、「台湾統一を必ず実現する」と演説して、台湾およびアメリカなどの台湾支援国を牽制した。これは辛亥革命110年の式典のなかでのことで、必ずしも武力統一を意味したものではないというが、同月7日に台湾の国防部長・邱国正…

習近平のイデオロギー的な独裁政治;それは大躍進か、それとも文化大革命か

経済の論理からいうと、最近の習近平がやっていることには、おかしなことが多すぎる。不動産バブルを抑制するために、デベロッパーへの資金の流れを断ってしまい、恒大集団を破綻に追いやった。そうかと思えば、二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言して、…

岸田元外相が自民党総裁に!;直後に海外メディアが下した岸田評を読む

第100代日本国首相には、岸田文雄元外務大臣が就任する。いまさら、自民党総裁選の長老支配の構造を指摘しても意味がないので、これからのことを考えてみよう。昨年、安倍元首相が放り出した政権を拾った菅首相が、直面せざるを得なかったコロナ禍は、ま…

デルタ株は克服できるか?;英国の最新調査から考えてみる

新型コロナウイルスについての最大の話題はいまやデルタ株となっている。いうまでもなく、これまで作られてきたワクチンが、効かないのではないかとの憂慮が生まれているからだ。報じられるデータもまちまちで、デルタ株の有効性は16%まで落ちたという報…

危機の中国は何を打ち出すのか;恒大集団の破綻後にやってくるもの

中国恒大集団の経営危機は、これからの中国経済を占う事件として、いま世界が注目された。その後も同本社前では、理財商品の弁償条件をめぐって抗議のデモが繰り返され、株式や債券の下落が続いている。当然のことながら、この事態は中国恒大にとどまらない…

いま中国経済に起こっていること;恒大集団の破綻はバブル崩壊の引き金だ

この数日間、いよいよ来るべきものが来たと思わせる出来事が連続して起こっている。ほかでもない、中国恒大集団の経営危機である。9月13日には投資家たちが100人ほど、恒大集団の本社に押しかけて、理財商品(資産運用商品)のデフォルトについて抗議…

中国がmRNA型のコロナワクチンを開発中!;世界のワクチン市場と戦略構造が大きく変わる

中国は、いまやっきになって、メッセンジャーRNA型のコロナワクチン開発を推進している。もちろん、実際にやっているのは国内の製薬会社だが、いよいよ最大の国営企業シノファームが本腰を入れているというので、海外マスコミがつぎつぎと取り上げている…

菅首相の退陣はただのオウンゴール;安倍前首相に続いてコロナからの敵前逃亡だ

菅首相が自民党の総裁選に出ないと表明して、一気に政局は混沌へと向かっている。これは、安倍首相とならんで新型コロナへの対応ミスによって追い込まれて、事実上の敵前逃亡をしたということだろう。菅首相が直面していたコロナ問題は、他の国の首脳に比べ…

アフガニスタン撤退の失敗;ほんとうの原因はどこにあったのか

アフガニスタンからの撤退で、バイデン大統領が失敗をしたことは明らかだ。では、何が失敗だったのか、そして、その背景にあったのは何か。いま同時進行で起こっている現実と、失敗について論じられた分析から、これからの中東と世界について、ほんの少しだ…

中国のデルタ株対策が熾烈をきわめている;自国のワクチンが信用できない苦しさか

中国の新型コロナ対策は、武漢以来、徹底的に封じ込めるのがその中心的手法である。だから、デルタ株に対しても、すこしでも感染拡大の兆候が見られれば、徹底的に封じ込めようとするのは当然かもしれない。しかし、その激しさを細かに見ていると、どうも、…

タリバンがアフガニスタンを制圧;このとき中国の「役割」は何だったのか

アメリカが引き揚げたアフガニスタンが、タリバンの手に落ちることは予想されていたが、これほど早く達成されてしまったことについては、やはり驚かざるを得ない。アフガニスタン軍は腐敗がひどく、タリバンが着々と準備をしていたと言われても、それだけで…

デルタ株で苦闘する中国;奇妙なワクチンのデータ隠蔽が首を絞めている

武漢のパンデミックを鎮静化させて以降、鉄壁の防御を誇ってきた中国のコロナ対策に、ところどころ綻びが生まれてきた。いうまでもなくデルタ株の感染拡大によるもので、同国の国家保健委員会は8月9日、新たに94件のコロナ感染を認めた。これで中国内で…

オリンピックは儲からない;それどころかコスト超過率172%の愚行だ

いまや東京オリンピックは「たけなわ」といってよいが、同時にコロナ対策で惚け顔の菅首相を報道で見るのは、しらけるとは言わないものの、まことにもって残念というべきだろう。しかし、ここまで強引にオリンピックをやって、さらなる感染におののきながら…

英国の1日の感染者5万人を超える;なにがこの悲惨な状態を生み出したか

英国は、まるでコロナ禍の見本市になり果てているかのようだ。7月17日には新規感染者が1日で5万人を超えて世界にショックを与え、同月18日には閣内のサジド・ジャビド保健相のコロナ感染が明らかになる。ジョンソン首相を含む閣僚が濃厚接触者となっ…

インフレ時代が始まった?;米国インフレ率5.4%が予感させる未来

7月13日に第2四半期におけるアメリカの消費者物価指数が5.4%に達したと発表されショックを与えている。エコノミストたちの予想はせいぜい2.6%くらいだったのに、その2倍を上回った。しかも、前期にくらべて0.9%という数字も大きいし、コア…

集団免疫神話が終わるとき;英国のコロナ規制が解除されるとどうなる?

英国では7月19日に、これまでのコロナ関連の規制をすべて終わりにするというので、賛否の議論が盛んになっている。なかでも大きいのは、このまま規制をやめてしまって、感染拡大がひどいことになるのではないかという憂慮だろう。そもそも、日本でもいろ…

日本はどこまで「復活」したか;コロナ後の現実が今やって来る

コロナ・パンデミックから、世界はゆっくりと復活に向かっている。もちろん、富裕国と非富裕国との大きな差や、コロナウイルスの変異株の発生など、問題はまだ多くある。しかし、昨年の同時期と比べれば、何種類ものワクチンの存在や、ある程度の国際協力体…

スコットランド、サッカー観戦で2000人が感染;専門家たちはさらなる拡大を憂慮している

スコットランドでは、開催されていたサッカー欧州選手権の観戦に出かけたファンが、6月30日までに約2000人が感染していたと報道された。もちろん、この数字はスコットランドの地元保険当局が発表した数値で、その広がりについて懸念されている。 英紙…

テレワークからどう脱出するか;始めるより止めるほうが難しい

これからワクチン接種が加速して、通常の状態に戻るなかで、これまでのテレワーク(リモートワーク)はどのようになっていくのか。それは実は世界中で、かなり大きな問題となっている。せっかく、自宅で仕事ができるようになったのだから継続して欲しいと思…

五輪やめられないのは、それがヤクだから;英経済誌のあまりにも正しい指摘

いまや東京オリンピックの開催と1万人の観客付きは既定の事実になったから、あれこれいっても始まらないという雰囲気が広がっている。あの尾身先生もまるめこまれて、やれやれ、やっぱりかと肩を落とした人がいるかもしれないが、お医者さまとはいえ、もと…

リモート・ワークは生産性を下げた?;これから常態に戻るさいの教訓を読む

このままワクチンの接種が進めば、いよいよコロナ禍のなかでのリモート・ワーク(テレ・ワーク)から抜け出して、以前の仕事のやり方に戻ることになりそうである。もちろん、リモート・ワークが有効になった分野では、ある程度の在宅労働が続けられるだろう…

米国は5%のインフレで政策を変えるか?;もう少し先まで行くと思いますが

アメリカの労働省が発表した5月のインフレ率は5%に達し、予想されたこととはいえ、現実となるとやはり衝撃は大きい。もちろん、政府やFRBは「一過性」だという見解を変えていないが、たとえば、民主党政権に批判的に振る舞うウォールストリート紙6月10…

米国の累積赤字は対GDP比220%まで可能?;ゴルディロックス理論が予想する可能性と限界

バイデン大統領は大胆な財政支出を行ない、ワクチンの接種率が高まるなかで、経済の回復を達成しつつあるように見える。しかし、この状態はいつまで続けられるのだろうか。具体的には対GDP比で何%まで財政累積赤字が許されるのだろうか。注目されている3人…

武漢の研究所から流出したという説は正しいのか;論争があぶり出すバイデン政権の思惑

バイデン大統領は、5月26日、新型コロナ・ウイルスの起源について、動物からの感染説と武漢の研究所からの流出説の2つがあることを指摘して、情報機関にさらに詳しい調査を命じた。その波紋は大きく広がり、メディアのなかにも激しくバイデン大統領の遅れ…

英国の諜報部員がウイルス流出説を支持?;ますます情報戦の性格を濃くするコロナ起源論争

英国の諜報部員たちが、新型コロナウイルスの「流出説」はあり得ることだと発言して話題になっている。中国の武漢にある「武漢ウイルス研究所」から漏れたという説について、英国情報機関の関係者がその可能性を、何らかの情報に基づいて肯定したというので…

バイデン大統領がコロナ起源の再調査を命じた;いま情報機関を繰り出す狙いは何か

バイデン大統領が、5月26日、ワクチン政策の成功を自画自賛するとともに、コロナウイルスの起源説について、情報機関に90日以内に再調査するよう命じたというので、報道の世界が沸き立っている。バイデンによれば、中国の武漢において発見されたコロナ…

GDPが戦後最大の落ち込みだって?;菅首相はまず「お詫び」するのをやめよ

今年の第1四半期の実質伸び率はマイナス5.1%で、報道によると2020年度もマイナス4.6%と戦後最大の落ち込みだという。直前の民間機関の予測が第1四半期は平均マイナス4.6%だったので、とんでもない落ち込みのようにがなり立てる論者もいる…

米国のインフレが昂進している;短期で終わるか長期となるかの分かれ目

アメリカ経済の回復に世界の注目が集まっているが、5月12日に発表された4月の消費者物価が前年比で4.2%もの上昇を見せてショックを与えた。同日の株式市場はS&P500が2%の下落を示した。こんなに急激に物価が上昇すれば、「金利を上げることを考…