HatsugenToday

東谷暁による「事件」に対する解釈論

プーチン の検索結果:

ロシアが核兵器を使うとどうなる?;プーチンの威嚇で注目される水面下の交渉

ロシアのプーチン大統領が、部分的ながら「動員」を宣言し、同時に核使用を示唆した。部分的動員は効果が少ないとの予測が多いが、核兵器の使用について、アメリカおよび西側諸国の反応はどうだろうか。実は、アメリカおよびその同盟国は、これまでもロシアと非公式に接触して核使用を牽制していたのだ。 フィナンシャル・タイムズ紙9月24日付の「ウクライナの西側支援国はプーチンの発言の後に核抑止を強化している」は、核兵器をめぐる情報世界の裏舞台をのぞかせてくれる。アメリカと西側諸国の高官5名に取材…

プーチンが予備役30万人の動員を断行;いったいどの程度の効果があるのか

プーチン大統領は予備役30万人の動員を決めた。総動員ではなく「部分的動員」だそうだが、はたして不利になっていた戦局を転換できるのだろうか。西側の論評のほとんどがそれは不可能だと指摘している。いまの劣勢は動員数より武器の性能から来ている。さらには、投入される兵士たちは訓練がなされているのだろうか。 プーチンが部分的動員を決定する直前、外交誌フォーリンアフェアーズ電子版9月16日付が「プーチンによるウクライナでの次の一手」を掲載していた。この論文では、プーチンには2つの選択肢があ…

ロシアは核兵器を使用するのか;ハルキウ撤退で追い詰められたプーチン

…のため追い詰められたプーチンは、核兵器を使うのではないかとの予測も強まっている。はたして、プーチンはどのように考えているのか。また、使うとすればどのよう使用するのか。西側においてさまざまな議論が交わされている。 英経済誌ジ・エコノミスト9月14日号は「ロシア軍の撤退は核戦争の危険度を高めているか」を掲載して、プーチンは核兵器を使うのか、使うとすればどのようにかについて、いくつかの視点から、現在の議論を紹介している。順序は逆になるが、まず、どのような核兵器かについて、NATOの…

ウクライナのハルキウ奪還が意味するもの;米国高官たちの「警告」を裏読みする

…ハルキウを奪還されたプーチンはどう出るか ハルキウ州での作戦は、ロシア軍にとって「サプライズ」だったとの報道がある。南部のヘルソン奪還がウクライナ軍の最大の課題だと思われたので、ロシア軍も迷いはあったものの、北東部ハルキウ州の兵力を南部のヘルソン周辺に移動させていた。そこで生まれたスキを突いたのが、ウクライナ軍の奇襲的攻撃だった。 もちろん、ウクライナ軍のパワーアップには、アメリカから送られてきたハイマースなどの強力な武器が大きくかかわっている。ウクライナ軍はいまやロシア軍の…

ロシア経済制裁の失敗が示す未来;軍事の意味が改めて問われるとき

…して、ウラジミール・プーチンが使えるパワーを削ぎ取る。最終的には、ほかの戦争をしたがっている国を抑止して、世界の秩序を維持するということだった。 こうした「経済によって戦争を抑止する」という考え方は、1990年代のアメリカによるイラク戦争やアフガニスタン戦争の軍事による力任せのやり方が、いまやもう使えないという認識に立っていた。これからのロウグ・ステイト(ならず者国家)を押さえつける新しいやり方として生まれてきたものだった。しかし、それを経済規模世界で11位のロシアに試してみ…

核戦争を誘発する「ウクライナでの火遊び」;政治学者ミアシャイマーは警告する

…い。大国の論理を持つプーチンのロシアは、西側の国境が自国に接近し食い込んでくることに耐えられないので、戦争という手段に訴えてもそれを阻止するだろうと見ていた。そして、そのことは彼以前にも指摘されていたことだったのに、「幻想のような理想主義」でNATOを拡大した、アメリカの外交を批判したのである。 ミアシャイマーの議論は、すでにこのブログでも「ウクライナ危機の責任は西側にある;ジョン・ミアシャイマーの冷徹な分析」で紹介した。こんどは外交誌フォーリンアフェアーズ電子版8月17日付…

ゼレンスキーの「正体」(6)ウクライナ軍事組織への急接近と葛藤

…受けたとき、もちろんプーチンはゼレンスキーが、以前にテレビドラマでウクライナ大統領を演じたことを知っていた。「そのうち我々は会うことになるだろう」といったあとで、「ほんとうのところ、何かを演じるということと、何かであるということとは、まったく別のことだがね」と続けたという。 「演じる」と「である」ことの違いはどこにあるのか このエピソードは、最近刊行されたスティーブン・デリックスとマリナ・シェルクノワの『ゼレンスキー:現実の伝記』に出てくる話だ。いまの時点でこのエピソードを読…

ゼレンスキーの「正体」(4)プーチンとの直談判は空振りに終わる

…いにのって、ロシアのプーチン大統領との直接の会談を実現しようと画策しはじめた。ほかでもない、大統領選挙のさいの公約のひとつである「ドンバスでの紛争を終わらせる」を実現するためである。その可能性が生まれたと、ウクライナ国民に期待を持たせたのが、パリで開かれた「ノルマンディ・フォー」の2回目会談だった。 第1回目はノルマンディ上陸作戦70周年記念の式典に世界の首脳が集まったさい、破綻していた停戦協定ミンスク合意を再構築するため、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、ロシ…

ゼレンスキーの「正体」(3)ロシア系テレビで出発したウクライナ大統領の苦悩

…た彼にとって、実は、プーチンがウクライナに本格的な侵攻をする以前までは、ロシアは絶対的な敵ではありえなかった。 ゼレンスキーがいまになってロシアとの情報問題に神経質になっているのは、彼の「親戚と友達」とは、ロシア人脈とドンバスのロシア系勢力と繋がっている者が多いからではないだろうか。そしておそらく、ウクライナが戦場になり、国内にアメリカを中心とする西側勢力が入ってくることによって、NATOの情報機関にとっては、ゼレンスキーのロシア系人脈に対する懸念が生じているわけである。 ●…

ゼレンスキーの「正体」(1)圧倒的勝利の大統領選がもたらした闇

…み切ったのはロシアのプーチン大統領に他ならないが、ゼレンスキー政権は多くの問題を抱えていた。このシリーズでは、ゼレンスキー政権の内側を覗くことで、いまの世界情勢を見直してみたい。 2019年4月21日、ウォロディミル・ゼレンスキーは第6代ウクライナ大統領に当選した。すでに1回目の投票でゼレンスキーの優位は明らかだったが、決選投票で73%を超える支持を得るとは誰も予想しなかった。ゼレンスキーの選挙陣営でも、実は、ここまでの勝利は考えていなかった。テレビで人気のあるコメディアンで…

長期戦が確実視されるウクライナ戦争;ロシアもウクライナも消耗するだけになる

…トは不可能だろう。 プーチンはドンバスでの優勢に気をよくしてか「時とカネは自分に味方している」と思っていると同誌は推測している。たしかに、通貨ルーブルはウクライナ侵攻以前以上に高くなったが、それは金融政策のトリックであって、実体経済はじわじわと後退している。物価は18%上昇という数値が発表されている。自動車の生産は80%も下落し、高級車ポルシェの販売台数も95%落ちた(5%ではない、もちろんだけれど)。最近の報道では製造されている自動車にはエア・バッグなどの安全装置がついてい…

ウクライナの経済はどれほど縮小したか;西部に移動させつつ回復を試みつつあるが

…プレッシャーによって動揺することになるという。プレッシャーのひとつは現在のインフレであり、もうひとつがこれから予定されている選挙だ。とくに、アメリカの場合には、ウクライナ嫌いのプーチンを称賛したトランプが出馬する大統領選が、2023年にあることを忘れるわけにはいかない。同誌はどこかパセティックなこの記事を、次のような言葉で締めくくっている。 「ウクライナとその支援諸国は、プーチンを打ち破るためのヒト、カネ、そしてモノをもっている。しかし、彼ら全員に、その意志はあるのだろうか」

ウクライナ社会の裏を読む(2)なぜドンバス地方が火種になったのか

…いくことにしたい。 プーチンがウクライナ侵攻に踏み切る前から、この戦いはウクライナの「非ナチス化」を実行するのだと述べていたことは、まだ覚えている人もいるだろう。「侵略者が何をいっているんだ、盗人猛々しい」と思った人も多かったに違いない。フェディルコも「これはナンセンスな主張」と述べているが、それではまったく根も葉もない話なのかといえば、厳密にはそうではないのである。 ロシア侵攻前のドンバス勢力図。アゾフ連隊の勢力は青色 まず、フェディルコは、ロシア人にとってはプロパガンダと…

ロシア軍の本当のレベルはどのくらい?;状況や気分に左右されない評価が必要だ

…を指摘している。 「プーチン大統領のウクライナ侵攻には、大きな誤算があったことはたしかだ。しかし、NATOの一部にあるような、これまでの戦いだけから過剰に教訓を引き出すやり方は、長期的なヨーロッパの安全保障を見間違う危険がある。ロシアはすでに戦略的な敵対者でなくなったわけでも、また、単なる見かけだけの張り子のトラでもない。この数日のウクライナ東部でのロシア軍は、精彩を欠いていて、遅々として進まないが、それなりの成果を生んでいる」 この記事が掲載されたのが6月7日、ロシア側のル…

ウクライナ戦争は新冷戦に転じた;ロシアが破滅しても中国が表に出てくる

…を始めたのはロシアのプーチンだが、実際にはバイデン政権は中国に焦点を当てざるをえず、ウクライナ戦争はヨーロッパの安全保障の戦いであるだけでなく、もっとグローバルな秩序についての戦いでもあることが見えてくるわけである」 ラックマンが憂慮しているのは、こうした構図が明らかなのに、アメリカのバイデン大統領がいまいち「グローバル・サウス」との連携に力を入れていないことだ。あるいは、失敗していることである。たとえば、最近、ワシントンで開催されたASEANのサミットでは、非公式にではあっ…

核兵器の「新しい時代」が来た?;単に本来の意味を思い出しただけではないか

プーチン大統領が、今回のウクライナ侵攻の直前、すでにロシアは核戦争すら辞さないという姿勢を見せた。それに対して世界は「単なる脅し」と捉えて、ウクライナ侵攻もあり得ないと受け止めた。しかし、プーチンは多くの誤算があったものの、ウクライナ侵攻に踏み切った。では、核兵器の使用はどうなのか。プーチンは多くの誤算をしてしまう独裁者だからこそ、その脅威は存在していると考えるべきだろう。 英経済誌ジ・エコノミスト6月1日号は「核の新時代」との社説を掲載した。同誌は「たとえプーチンがウクライ…

ウクライナは「戦後」軍事大国になる;国内の軍勢力とアメリカの介入の賜物

…拡大を唱えたことに、プーチンは衝撃を受けて激しく反発するようになる。2014年にアメリカが支援する勢力が暴動を起こして、当時の親ロシア派の大統領を国外に放逐したとき、ロシアは戦争状態に入ったと捉えており、このとき以来ずっと、西側の対露経済制裁も継続されている。また、アメリカもウクライナへの軍事的支援を本格化していったことは周知のとおりである。 「2014年に始まった戦争は恒久的にウクライナの政治を変えてしまった」とフェディルコが書いているように、クリミアだけでなくロシアが侵攻…

CIA長官が語った現在の世界の緊迫度;ビル・バーンズが見る習近平、ウクライナ、プーチン、核戦争

…、台湾問題の行く末、プーチン大統領への感想と、重要なテーマに触れているので、なるだけ正確に、ただし簡単に紹介しておきたい。 フィナンシャルタイムズ5月8日付に掲載された「CIA長官が中国はウクライナ戦争に動揺していると発言」との記事は、ビル・バーンズ長官がすべてホンネを語っているとは限らないにしても、なかなか興味深い。バーンズ長官はもともと外交畑の人物だから、発言は深読みされることを回避したいのか、それとも一定の影響を前提としたものかをあれこれ考えて読むのも、バイデン政権の関…

プーチンはウクライナ東部で勝てないときどうする;戦術核という甘い誘惑の危険性

プーチン大統領はウクライナ東部での戦いに勝てなければ、核兵器を使うだろうとの憂慮が生まれている。こんどのドンバス地方を舞台にした戦闘においては、ロシア軍の有利な戦術が使えるとの指摘もあるいっぽう、ロシア兵の士気が低く、武器も旧式が多く、作戦も拙劣なので、通常兵器では勝てないと判断するところまで追いつめられるというわけだ。 いまもウクライナの東部から南部にかけての地域で、両軍の戦闘は続いているが、ここにきてさまざまなニュースが報じられている。たとえば、英国のラジオLBCでは、同…

ウクライナ東部での戦争はどうなる;きわめて熾烈で残酷な戦いになる理由

…ても、明るい見通しをプーチンが赤の広場で発表できることである。あるシンクタンクのロシア担当者は「私自身はそうしたフェティシズムは信じていないが、ロシア軍としてはそうした成功の話題をもたらすことも大事なのだ」と述べている。物理的には全面的な衝突、そして、はずせない心理かつ政治における制約。ということは、プーチンは何があっても、もう後には下がれないのだ。 こうした諸条件のなかで行われる戦いというのは、苛烈になることを逃れられないのではないだろうか。すでにウクライナ側のドンバス地域…

ロシアの旗艦モスクワ、最後の数時間の真相;海神が海王に情報を提供して火神が爆発した

…なさの一例となって、プーチン体制の脆弱さをあらわすものとされている。しかし、この事態についてはどうも単純には捉えられない背景があると思われる。 すでに「モスクワの沈没は米国のスパイ機が見つけた;代理戦争の様相を深めるウクライナ戦争」で、この出来事にはアメリカのスパイ機が関わっていたことと、このスパイ機が戦術上の情報をウクライナに提供していたとすれば、もうアメリカは十分に参戦しているわけで、ウクライナ戦争は代理戦争に移行していると示唆しておいた。 その後もさまざまなメディアがこ…

ウクライナ戦争が引き起こした世界的食糧高騰;途上国の貧困層を激しく直撃している

…る。これらがすべて、プーチンの情報操作によって行われたとは思えないから、いまのところは、ロシア国内が戦場になっていないことが、最大のファクターだと思われる。 週刊誌の広告に「ロシアは物価が3倍に」とあったので見てみたら、今は週に2%の上昇を見せているので1年後には3倍だという意味だった。おそらく、(1+0.02)^53(2%を複利計算で53乗する)といった単純なシミュレーションによるものだと思われる。さらに上昇すれば、ロシア政府は価格統制を強化すると思われるので、単純にそうな…

ウクライナ戦争の台湾問題にとっての教訓;中国は「4年は台湾侵攻しない」は本当か?

…。ジャーナリズムではプーチンをパラノイアの異常な独裁者として描き出し、習近平を毛沢東以来の専制的支配者として論じることで、ウクライナ侵攻と台湾侵攻をパラレルに論じる傾向が強い。これはジャーナリズムに限らず、政治学者の間ですらひとつの「方法論」として定着したやり方といえる。 たとえば、あえて比較するが、恐るべき独裁者だったヒトラーはドイツ第三帝国の確立のために無謀な戦争に踏み込んでいったと説明するさい、彼の心理的な傾向や欠陥を指摘して、こうした「異常」な戦争は「異常」な性格から…

経済制裁下のロシア国民の消費生活;見かけよりずっと健全な理由とは何か

…で、西側の経済制裁でプーチンを失脚させたい人には、不愉快なものかもしれない。もちろん、ロシア経済はかなりの下方圧力を受けている。しかし、そうでない分野もある。 まず、同誌が掲げているグラフから見てみよう(下の3つのグラフ)。一番上のグラフはロシアの通貨ルーブルの上下を示したもので、一時は対ドルの値で急激な下落を見せたが、「その後、戦争開始前のレベルに戻りつつある」(グラフ上)。株価はさすがに3分の1まで急落したが、取引停止を解除してからは、さほどの下落はなく、逆にちょっと上昇…

ウクライナとロシアの停戦交渉は難航する;「中立化」で合意しても具体化には困難が多い

…いるという。しかも、プーチンの顧問でスポークスマンでもあるデミトリー・ペスコフは、「ロシア側は交渉の進展を望んでいるわけではなく、今のところ残念ながら、重要な項目については語ることはできない」と発言している。 交渉のなかでウクライナ側は、自国の核武装を放棄する旨を述べているが、NATOの第5条に代わる安全保障の仕組みついても大きな課題になっているようだ。前出のアラハミアたちが憂慮しているのは、交渉が妥結に至っても、決定事項を保障するためには、ロシアだけでなくアメリカ、英国、カ…

ウクライナ軍の兵士たちの肖像;祖国防衛戦を遂行しているのは誰なのか

…シャイマーによれば、プーチンは冷戦終結以降、西側の勢力が旧ソ連の版図におよんだことに、屈辱とショックを感じていた。ソ連崩壊によって縮小した自国が、直接に西側の軍事同盟であるNATO(北太平洋条約機構)と対峙するのを憤ると同時に恐れていたわけだ。 そのため2008年に開かれたブカレスト首脳会議で、米国のブッシュ政権がウクライナやグルジア(現ジョージア)をNATOに加盟させる方針を打ち出したとき、プーチンは激しく怒りをあらわにしたという。この会議ではNATO側のメルケル独首相やサ…

いかにしてロシアは核を使うのか;ウクライナ戦争が核戦争に移行するとき

…えなくなっている。 プーチン大統領はウクライナ侵攻の前に核を含む軍事演習を展開し、侵攻直後にも使用の可能性があることを宣言している。「プーチンは侵攻の直後、高いレベルではないとはいえ、ロシアの核兵器使用を警告した。ロシアの核兵器についてプーチンが発言したのは、これが初めてのことだった」(ウォールストリート紙3月22日付アップデート)。 核兵器を使用すれば世界の世論はロシアを総攻撃することが予想され、完全に孤立することはもとより、核攻撃を含む報復の理由を西側に与えることになる。…

ウクライナとロシアの交渉はなぜ進まない?;「戦争も交渉のうち」と見る戦争取引モデルからの分析

…。もちろん、そこにはプーチンが戦争遂行の野望をもち、ゼレンスキーに抗戦継続の意志があるからだが、さらに、いまや流動的な戦争の状況そのものが、それぞれの交渉条件となってしまったからだ。「戦争も交渉のうち」との視点から分析している、米国陸軍士官学校の教官による、きわめて冷徹な分析を紹介しておこう。 ウエスト・ポイントといえば米国陸軍士官学校のことで、軍人エリート養成の拠点である。この士官学校で国際関係論を講じているロバート・パーソン准教授が、現実主義とされる外交誌「ザ・ナショナル…

ロシアはウクライナの中立化と武器制限を提案;それが停戦の条件だが、いったい誰が保障するのか

…頭にある。そもそも、プーチン大統領がこの案にどこまで乗り気なのかすら不明なのだ。(しかもプーチンは、3月17日に「目的は必ず達成する」と発言している。もう揺さぶりをかけているのだ)「ウクライナの高官は、ロシアのプーチン大統領が完全に和平への意志があるのかを疑問視し、また、ロシア側はたんに軍列を整えるために時間稼ぎをしているだけではないか、との疑いは消えないと述べている」。 そして、いちばん大きいのが、この和平交渉とその決定事項をいったい誰が保障してくれるのかという問題である。…

ウクライナ危機の責任は西側にある;ジョン・ミアシャイマーの冷徹な分析

…ら紹介しておこう。「プーチンは確かにロシア軍の実力を見誤り、ウクライナの抗戦を甘く見たかもしれない。しかし、追い詰められた冷酷な大国が何をやるか、けっして過少評価すべきでない」というものだ。つまり、このままではロシアとNATOとの戦争となり、アメリカを巻き込んだ核戦争の脅威にも直面するというのだ。 ミアシャイマーのウクライナ論については「ウクライナ、台湾、そして日本(5)ゼレンスキーに責任はないのか」で触れたが、国際政治学者のなかでも「リアリスト」に分類されており、世界政治を…