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東谷暁による「事件」に対する解釈論

ウクライナ戦争

プーチンがベラルーシへの核兵器配備を決定;これでロシアの核戦争が始まるのか?

ロシアのプーチン大統領が、ベラルーシに戦術核兵器を配備すると述べていたが、いよいよ7月には実行するというので緊張が高まっている。アメリカやNATOとの核戦争が始まる危険はどこまで上昇したのか。これは単なるプーチンの威嚇なのか、それとも脅威…

米国のドローンと露国の戦闘機を「衝突」させたのは何か;これまでは珍しくない出来事だった

黒海の上空で3月14日に、アメリカの偵察ドローンMQ9と、ロシアのジョット戦闘機Su--27が衝突したと米軍は発表した。アメリカ側の発表ではMQ9のプロペラが損傷して、そのため海に墜落したという。このときロシア機が燃料をドローンにかけたとの指摘…

米中が台湾をめぐって戦うとどうなる?;すでに具体的な訓練も始まっている

中国の習近平国家主席は台湾問題について述べ、外部勢力の干渉に言及してアメリカを批判した。それはポーズだけだと思ったらまちがいだ。すでに中国もアメリカも台湾問題で、戦闘状態に入ったさいの準備を着々と続けている。それはシミュレーションだけでな…

ウクライナへの最大の脅威はトランプ?;大統領選に勝利しなくても西側世論は変化している

元米大統領トランプが、次の選挙で大統領に返り咲いたら、ウクライナ支援をただちに停止すると表明して話題になった。単なるトランプ流の放言だと思ったら間違うだろう。これは共和党右派の大会での発言だが、少し前に米共和党指名争いの模擬投票で62%の…

バフムトは撤退か戦闘継続なのか?;ウクライナ、ロシア双方の情報戦から見える真実

ウクライナ東部の要衝バフムトをめぐって、情報が錯綜している。ゼレンスキー大統領は徹底抗戦だと主張しているが、NATOのストルテンベルグ事務総長は2~3日で陥落するとの警告を発した。そのいっぽうで、アメリカの情報機関がロシアはいま動けなくな…

ゼレンスキーがバフムト撤退を思いとどまった理由;西側諸国からの武器弾薬の到着に賭ける

ウクライナのバフムトをめぐる戦況は、ゼレンスキー大統領が撤退を拒否したものの、緊迫した状態が続いている。ゼレンスキーがなぜバフムト防衛の継続を決めたのか。また、その決断についての軍事関係者による評価についても見ておこう。ひとことでいえば、…

ウクライナ軍がバフムトから撤退?;それは戦略的移動か、それとも敗走なのか

ウクライナ東部の戦場バフムトから、ウクライナ軍が撤退する瀬戸際にあるとの報道が繰り返されている。まだ、ゼレンスキー大統領は撤退の命令をくだしていないようだが、西側以外の3方向からロシア軍が迫っており、いまや最後の西側の道路も遮断されようと…

中国は本当にロシアに武器を供給していない?;政府高官発言をひっくり返したバイデン大統領の思惑とは

中国はロシアにドローンを供与しており、しかも、製造も手伝っているという報道があり、また、ブリンケン米国務長官の「中国はロシアに武器を供与しようとしている」との発言があったのに、直後、バイデン大統領が「それはない」と否定した。その後も報道機…

ウクライナ戦争はなぜ「休戦」にできないのか;バイデンはキーウで煽っただけだった

バイデン米大統領が電撃的にウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領と会談を行った。いっぽう、ロシアの経済はマイナス2.1%の成長と発表された。この2つはウクライナ戦争の終結に繋がっていくのだろうか。あっさり言ってしまえば、残念ながら両方と…

ウクライナ戦争の占領と奪還を振り返る;ロシア侵攻から1年の経緯を勢力図で見る

ロシア軍のウクライナ侵攻から1年が経過しようとしている。多くの出来事が急激に起こって、あまりにも複雑に絡み合っている。そのため、全体の大きな流れが分かり難くなってしまう危険がある。いちどこの1年を、敢えておおざっぱに振り返って、全体を捉え…

ドイツは再び分断するのか?;グラフでウクライナをめぐる国内の亀裂を見る

EUおよびNATOのメンバーのなかで、ウクライナ危機をめぐるドイツの立場は最初から微妙だった。しかし、いまになっても国内の亀裂が大きいというのは、いったいどうしたことだろう。フランクフルター・アルゲマイネ紙が行った世論調査から、ウクライナ…

ウクライナに供与される戦車が届かない?;同盟・友好国が見せる表明と現実のギャップ

約束したはずのウクライナに対する戦車の供与が進んでいないらしい。このままだと、最初しぶっていたドイツだけが、かろうじて約束を守る事態になりかねない。アメリカの戦車エイブラムスがウクライナの戦場に届くのは、2年後という予想もあるというのだか…

プーチンはゼレンスキーを殺さない?;イスラエル元首相の証言が生み出す波紋

ウクライナ戦争が開始された後に、プーチン大統領と会談したしたイスラエル前首相のナフタリ・ベネットは、プーチンが「ゼレンスキーを殺すことはない」と約束したと発言して話題になっている。もちろん、これは暗殺などの手段で殺害はしないということだと…

ウクライナ戦争は回避できた?;コスティグリオラの『ケナン伝』から考える

ロシアがウクライナに侵攻してから1年になろうとしている。振り返るべきはウクライナ戦争の泥沼化が、以前より予言されていたことである。ソ連の「封じ込め」を提唱したジョージ・ケナンは、冷戦以後、アメリカがウクライナを支援しようとすれば、それは戦…

戦場への新型戦車投入はすぐには不可能だ;高性能武器でウクライナが勝利という神話

いよいよウクライナ軍にドイツの最新型戦車レオパルト2が供与されることになり、さらにアメリカは高性能戦車エイブラムスもウクライナに送るようだ。それはどれくらいの効果を持つのだろうか。そして、戦車で強化したウクライナ軍が待ち受ける前線に、ロシ…

戦時のウクライナで汚職高官の大量処分;その背後で何が起こっていたのか?【増補】

米国やEU諸国からの戦車供与が決まるなかで、ウクライナ国内は汚職事件にともなう政府高官の解任や辞任があいつでいる。なかでもシャポワロウ国防副大臣やティモシェンコ大統領副長官の辞任は、内外に大きな衝撃を与えており、その背後関係の究明やこれか…

ロシア民間軍事会社ワグネルからの脱走者が語る;いまの傭兵が味わう恐怖と屈辱

ロシアの民間軍事会社ワグネルからの離脱者たちが、ノルウェーへの亡命を希望した事件があった。これでワグネルの戦争犯罪が赤裸々に明かされると指摘されるいっぽう、この亡命希望者たちには同種の犯罪歴がないのかが問われている。民間軍事会社という言い…

ウクライナ戦争 これからの3つのシナリオ:いずれも困難な未来が待っている

ウクライナでの戦争は、ついに年を越してしまったが、これからの展開はどうなるのか。欧米の報道では、ウクライナの「勝利」は目前のようにも思えるが、その「勝利」とは果たして何を意味するのかも、曖昧なままになっている。まずは大雑把に現状を確認して…

ゼレンスキーのワシントン訪問で何が始まるか;武器や兵力が加速的に投入される泥沼戦

ウクライナのゼレンスキー大統領のワシントン訪問は、お祭りのような騒ぎだった。いっぽうで、その目的は何だったのかは、自明のようでいて分かりにくい。ロシアは武器弾薬が払底していて、兵員も足りないという報道がなされている。そのいっぽうで、ウクラ…

ロシア軍は兵士も大量に不足している;いま進行中の外国からのリクルート

ロシア軍は武器が枯渇しているとの情報は、すでに多くのメディアが伝えている。今度はさらに、武器だけでなく前線の兵士も不足していて、これから数カ月は動きが取れないだろうと、英国の情報機関が指摘している。では、ロシア軍はいま何をしているのだろう…

ウクライナへ供与のハイマースにロシアを撃てない細工;米国はそんなことよりすべきことがある

アメリカがウクライナに供与しているロケット砲ハイマースは、最初からロシア国内を攻撃できないように改造されていたと報じられている。いまさら驚くことでもないが、ウクライナ戦争における代理戦争の性格に加えて、かなりの管理戦争であることも明らかに…

ゼレンスキーは何故クリミアに攻め込まないのか?;歴史と戦略の観点から考えてみる

ウクライナがヘルソンを奪還したことで、クリミアの奪還も近いと思った人は多かった。なぜ、ゼレンスキーはすぐにクリミアに攻め込まないのか。ここにはクリミアに特徴的な戦略上の理由があるといわれる。そしてそれは、ウクライナ戦争の本質にかかわる難題…

ポーランドに着弾したミサイルはどこから来た?;バイデン米大統領の苦しい選択

ポーランドにミサイルが着弾したため、ポーランド外務省はロシア製であることを指摘しつつ、2名の死者が出たと発表した。しかし、アメリカのバイデン大統領は直後に「ロシアからとは考えにくい」とコメントした。ロシアがウクライナに100発のミサイルを…

ヘルソン奪還が生み出すジレンマ;遠のくウクライナとロシアの対話

ウクライナはヘルソンを奪還したが、和平への道のりはまだ遠い。それどころか、この要衝を取り戻したゆえに、これまで隠れていた問題が顕在化している。ロシアの特殊部隊についての研究やロシア史の著作で知られるマーク・ガレオッティが、ウクライナ戦争の…

核戦争の演習を始めたNATOとロシア;エスカレートするのか、コミュニケーションなのか?

ロシアとNATOの核兵器をめぐる駆け引きは続いている。10月17日からはベルギーでNATOによる核戦争の訓練が始まり、ロシアでは10月末ころに核兵器の演習が行われるという。そんなことをすれば、お互いに刺激し合って核攻撃によるエスカレーショ…

プーチンは核攻撃で勝利する?;米国とNATOは核で反撃できない

プーチンは間違いなく追いつめられている。しかし、そのことがますます核使用に「正当性」を与えつつあるとの指摘がある。いまやロシアはアメリカおよびNATOをバックに控えたウクライナに母国を蹂躙されている。したがって、プーチンのこれからの決断は…

プーチンの核攻撃に対して何が起こる?;米・英・仏は核兵器で反撃するのか

プーチンはウクライナ東部を一方的に併合したが、戦況が思わしくないことには変わりがない。ますます核兵器を使う可能性が高まっているわけだが、では、核兵器を使用した後、世界はどうなるのだろうか。使われる核兵器は「戦術核」と指摘されているが、それ…

ロシアが核兵器を使うとどうなる?;プーチンの威嚇で注目される水面下の交渉

ロシアのプーチン大統領が、部分的ながら「動員」を宣言し、同時に核使用を示唆した。部分的動員は効果が少ないとの予測が多いが、核兵器の使用について、アメリカおよび西側諸国の反応はどうだろうか。実は、アメリカおよびその同盟国は、これまでもロシア…

プーチンが予備役30万人の動員を断行;いったいどの程度の効果があるのか

プーチン大統領は予備役30万人の動員を決めた。総動員ではなく「部分的動員」だそうだが、はたして不利になっていた戦局を転換できるのだろうか。西側の論評のほとんどがそれは不可能だと指摘している。いまの劣勢は動員数より武器の性能から来ている。さ…

ロシアは核兵器を使用するのか;ハルキウ撤退で追い詰められたプーチン

ウクライナ軍によるハルキウ州での反撃が成功して、ロシア軍は撤退を余儀なくされた。そのため追い詰められたプーチンは、核兵器を使うのではないかとの予測も強まっている。はたして、プーチンはどのように考えているのか。また、使うとすればどのよう使用…